中国においては、様々な環境汚染が進んでいる。
大気汚染はPM2.5の値を見てわかる通り非常に深刻だし、地下の水資源も同様に汚染が進んでいて、飲み水としては到底使えないものが2/3という悲惨なデータすらある。
こういった環境で暮らしていくことを嫌がって、海外に移住したいと望む中国人は潜在的に1億人以上いると言われている。
この人数はただ単に漠然とした希望として他の国に住みたいと思っている人ではなくて、ある程度現実的なレベルでそれを考えられる人の人数。
中国の場合、人口が10億人以上いるわけなので、そのうちの1割であっても1億人を越えることになる。
1億人の人数が海外に流出しようとしているということになると、日本人が全員他の国に行こうとするのと同じだけのインパクトになる。
実際問題として、そこまで自由が許される国ではないし、ある程度の所得があったとしても、生まれた町によっては中国国内の移動すら制限されていて、海外に行くことは許されていない場合もある。
したがって、さすがに1億人が移動するという民族大移動のようなことは起こらないにしても、富裕層を中心として着実に中国人が海外に出ているのは間違いない。
移住先としては、アメリカやカナダのような先進国がある一方で、やはり中国語が通じてなおかつ物価が安い、そして華僑のコネもある国が注目されている。
その代表格はマレーシアで、MM2Hというリタイアメントビザも容易に取れるし、実質的に経済を華僑が牛耳っている国なので、そういった意味で言うと中国人にとっては非常に住みやすい。
中国人の場合、中間層であれば英語がろくに話せないことも多い。
そうなってくると、中国語が通じる国が彼らにとって住みやすいことになるが、マレーシアの場合、英語と中国語の表記がレストランでもされていることが多いし、そういった意味で、中国人にとっては抵抗なく移住することができる国ということになる。
物価も安いので、その点においても負担がない。
大きな資産を持っている富裕層であればともかく、例えば数百万円台後半とか、1千万円台前半程度の資産しか持っていないような中間層であれば、やはり物価の高い国に住むことは難しいし、バンクーバーのような世界の中でも生活コストが高い国に移住することは現実的ではない。
それに比べると、マレーシアが住みやすい国なのは間違いないので、そういった所に注目が集まっている。
そして、その現象がマレーシアにどのような影響を及ぼしているかというと、リタイアメントビザの最低預金額の引き上げの議論に繋がっている。
移住費用や生活費が安いというだけの理由でマレーシアに来る中途半端な資産しか持っていない人を集めるよりも、そろそろ本当の富裕層だけに絞って移住者を募ろうという動きがマレーシアでも出てきている。