ベルリン移住は魅力的だが、深刻な懸念も出て来た


ポツダム広場付近
ドイツの首都、ベルリンは移住先として考えた場合、より人口の多い都市であるフランクフルトよりも魅力的なのではないかという風に思う。

まず、街自体が巨大すぎず、かといって小さすぎないちょうどいいサイズなので、都会の利便性はそれなりに享受できる反面で、ごみごみとした人口が密集しすぎている悪影響というのを避けられる。

私はここのところずっと東南アジアに住んで来たし、ホテル暮らしを始めてからもアジアにいる事が多かったのでマニラで暮らしたり、バンコクで長期滞在をしたり、あるいはジャカルタやクアラルンプールに泊まっていたりと、アジアの大都市にいる事が多かった。

多くのヨーロッパの都市よりも東南アジアの首都の方が遥かに人口密集度が高く、人がぎゅうぎゅうに押し詰められている感じがする。

ヨーロッパで暮らすのであればもっとゆとりのある場所で暮らしたいし、ベルリンはその為に適した環境となっている。

もちろんインフラは整っている訳なので、その点においての強みもある。

これまで住んでいたアジアとの対比というのも楽しみたいので、そう言った意味では、ベルリンは移住に際して面白い選択肢となるだろう。



また、ヨーロッパの中でもアーティストや起業家が集まる街の一つなので、文化的な意味でも面白い。

ここら辺は東南アジアで暮らしていると中々味わう事が出来ないところで、文化的に成熟した国々の中で新しく事を成そうとしている人たちが集まって来るというのはまた違った雰囲気があっていいのではないだろうか。


ビザの面での強みも

ドイツの場合、フリーランスビザが取りやすいため、私のような個人事業主であっても比較的移住がしやすい。

これはベルリンだけではなくて、フランクフルトやミュンヘン、ニュルンベルク等でも同じ事。

多くの国では、法人を設立しなければいけないとか、現地の人を雇わないといけないとか、そう言った縛りが課さられている事も多い。

例えば、タイの場合であればただ単に会社を作るだけではなく、日本人1名に対して現地人を4名ほど雇用しなければいけないし、1年目から利益を出さないと2年目以降のビザが発給されなくなってしまう。

その点ドイツの場合は、かなりフリーランスビザが緩いため下手なアジアの国よりもビザを取りやすい場合すらある模様。

ただし、現地の会社からのリファレンスレターが必要なので、ビザを取る為の活動を意識的に行わなければいけないという意味では、いっその事お金で解決した方が早いような気もする。

なにしろ、一番新しい販路を開拓しなければいけない訳で、今現在やっているビジネスの延長線上とはいえ、あまり効率が良いとは言えない。

ここら辺はビザを取るに際して現実的に考えなければいけない所だが、何にしてもフリーランスビザが用意されているというのは非常に大きな強み。

多くの国では、自分がどこかに就職して雇われの身になるのであればビザを取りやすいが、ビジネスを持っている状態で移住するとなると中々ハードルが高いので、ドイツ移住に際してはそこら辺が朗報となる。

ちなみにヨーロッパでは他にも、オランダが日本人にとってのハードルの低い国として認識されているが、これは就業許可が必要ないという判決が出ただけで、滞在許可は依然として必要なので、別に勝手に住み着く事が出来るという訳ではない。

この点については私のところにも何件か質問が来ていたが、結局現地で就労する人が楽になったというだけの話で、私のように自分自身でビジネスを持った状態で移住する場合には、あまり関係のないところという事になる。

また、各国が投資ビザを発行したりしているが、こういった物を取るのも一つの方法。

例えばハンガリーであれば、25万ユーロの5年もの特別国債を買うことで永住権を出してくれるという制度もあるので、いちいち現地企業のリファレンスレターを用意してもらうよりもそう言ったところを選択するというのも一つの選択肢となる。

ちなみに、ドイツの場合フリーランスビザに限らず、きちんと合法的な滞在を5年間続け、納税もしていると永住権を貰えるという制度もあるので、ここら辺は非常に魅力的なところ。

何しろドイツの永住権を取れれば、ベルリンやフランクフルトはもちろん、ドイツ以外のEUの国、正確に言えばシェンゲン協定に加盟している国に実質的に住めるようになるのでこれは大きい。


ただし、今後の治安には多いに不安が

人通りの少ない道を気楽に歩ける街か?
ドイツと言えば、シリアをはじめとした各国からの難民の受け入れに積極的で、この点においても世界的な存在感を維持しようという努力が見て取れる。

さらに、難民の受け入れを拒否した東欧の国々に対して辛辣な発言も繰り返して来たが、実際行動も伴っていて、ヨーロッパの中でも最も多くの難民を受け入れ、2位のスウェーデンの倍以上の人数を受け入れているという実績がある。

しかしながら、海外を回っていれば当たり前の事として肌感覚で分かる通り、移民の多い地域というのは露骨に治安が乱れる。

もちろん、これが富裕層の移民であるとか、スペシャリストで手に職がある人の移民であれば別だが、いわゆる貧しい移民を受け入れるというのはそのまま治安の悪化につながり、そしてそれは既にドイツの中でも兆候として出て来ている。

ではこれからベルリンを含め、ドイツの各都市の治安が今のレベルを維持できるのかというと、その可能性については決して楽観視できない。

というよりも、私自身は、むしろ今後ドイツの治安は居住している人のレベルいえば、あるいはきちんとした警察の統計を見れば明らかに悪化したと判断出来るレベルになって行くと予想している。

つまり、せっかくベルリンに移住したとしても、この後の5年間と大量の難民が入ってくるまでの5年間では明らかに安全度が変わってくるのでは無いかと思う。

確かに、ベルリンは移住先として様々な魅力がある。

ドイツの中でも、フランクフルト等と比べると生活費や物価が安く、ヨーロッパ経済の顔と言っても良い国の割には、比較的安く居住できるというメリットもある。

ビザが取りやすいとか、人口密度が高すぎないというのも魅力的。



しかしながら、さすがに治安が悪いというのは決定的で、さらに言えば、移民が起こしたと思われる大規模な暴行がケルン等でも何件か報告されているが、それを警察が隠蔽しようとした事実も指摘されていて、そう言った事を考えてみると中々厳しいものがある。



ベルリン移住は選択肢としては排除する段階には無いが、治安面についてはかなり慎重に考えて行かなければならないと思っている。

ヨーロッパの中でも、移民、難民の影響を強く受ける国な訳なので、ある意味ではヨーロッパの最前線とも言える。

ひとまず、ヨーロッパはもう少し様子を見ながら、現地の空気感というのを実際に訪れる事も含めて掴んで行きたい。


ベルリンの代替候補

ブダペストにある漁夫の砦
熱狂的なベルリン信者というわけではないので、この街以外でも候補になりえる街は複数ある。

雰囲気や文化が近い街もあれば、まったく異なる場合も。


たとえば、私が以前に住んだフィリピンのマニラやセブは、どう考えてもドイツとは似ても似つかない。

両方とも住環境として優れた部分があるが、さすがに代わりになる存在ではないだろう。

ドイツ諸都市は多かれ少なかれ、ベルリンに近いものがあるのは当然。

たとえばフランクフルトやニュルンベルク、ケルン、ミュンヘン等。

これらは言うまでもないので、ここではひとまず割愛。

個人的にはミュンヘンのやや郊外か、ニュルンベルクは緑が多くて惹かれるところ。


周辺国に候補を求めるなら、例えばプラハは文化圏としてもドイツに近しく、言語はチェコ語なので異なるが、元々ドイツ語も話せないので私の場合には関係ない。

物価で考えると、ベルリンよりもプラハの方がずっと安い。

レストランでの食事で言えば、半額程度で住んでしまう印象。

同じレベルの料理が半額なら、どちらの方がいいかと言われると、やはりプラハに心が傾く部分も。


しかもチェコは単なる後進国ではなく、文化・芸術の面でも高いレベルにあることは改めてここで説明する必要もない国。

プラハと言えば、クラシック音楽の中でも重要な地位を占める街。

暮らしやすさを考えても、ベルリンに見劣りしない。


他にも東欧ならハンガリーやポーランドもチェコと物価は同等だし、治安もドイツに見劣りしない。

街並みも大都市部を中心に美しい。

また、ブダペストやワルシャワはそれなりに市内交通も発達していて利便性も悪くない。



他には隣国のオーストリアはよりドイツと文化的・歴史的に近い関係にある。

東欧ほど物価は安くないが、ドイツよりは2割ほど安い印象だった。

ただし、接客等の態度は良くなく、旅行先としては魅力的なものの、移住先という視点で見るといまいちに感じた。


北西に位置するオランダも日本人にとってヨーロッパの中で住みやすい街として知られる。

ちなみに、日本人はオランダで働く際、労働許可証を取らなくてよいという判決が出たことが話題になったが、誤解している人もいるようなので、補足を。

たしかに労働許可証がなくても現地で就職や起業はできるが、元々住むためには他に滞在許可が必要。

つまり、労働許可と滞在許可の2つが必要だったのが、後者のみに変更されただけ。

勝手にオランダに移住して、住み着いてよくなったわけではない。


そのため、移住のハードルで考えた時、ベルリンに対してアムステルダムやハーグが著しく簡単というわけではない。

この点はご注意を。



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執筆者、伊田武蔵
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