ブルガリア人とルーマニア人がEU内で働けるようになった


2014年1月1日からブルガリア人とルーマニア人にとっては、大きく自由度が増すことになった。

というのも、彼らはこれまでEU各国で自由に就労することが出来なかったが、1月1日よりEU加盟国内で自由に移動したり、あるいは仕事を求めることが出来るようになったため。

参考:日本経済新聞、欧州内の移動自由化鈍る 東欧2カ国の検問廃止、EUが延期

これはどういうことかというと、原則としてEU加盟国はそれぞれの国民が各国に自由に移動をしたり、あるいはそこで働くことが出来るという基本的な理念がある。

しかしながらこれには制限があって、新規で加盟した国に関しては最大で7年間、自分の国の中でしか就労出来ないと制限をかけることが出来る。

例えばドイツのような人件費が高い国においては、移民が大量に流入してくることによって、自国民の失業率が上昇してしまうというリスクがある。

ただでさえヨーロッパ各国は、中東やアフリカから移民が流れてきやすい地理的な条件になっているため、自国民の雇用を守るためにそういった移民の流入を防ごうとする傾向にある。

もちろん安い賃金で使うことが出来るという意味で移民は魅力的ではあるものの、それ以上に雇用を奪われた自国民の不満がたまって、結果的に政府の支持率が落ちるとか、そういった問題にも繋がってくる。

この点については、北海道大学のこちらのレポートが参考になった。

ブルガリアやルーマニアのような東欧の国は、ドイツやフランスに比べると著しく労働単価が安い。

そのため彼らは安い賃金でも働くため、結果的にEUの中でも先進国の国民の雇用を奪うことになってしまう。

こういった問題があるため、各国でブルガリア人やルーマニア人の就労は、これまで制限されてきた。


ブルガリア・ルーマニアの現地を見て感じたこと


私も2015年に両国の都市を周ってきた。

具体的には、ブルガリアはソフィア、プロブディフ、ベリコタルノボ、ルーマニアはブカレスト、ブラショフ、シギショアラ、シビウを訪れた。

どちらも貧民らしき人を頻繁に見かけたし、プロブディフではパソコンの盗難にあうし、ドイツやフランス等の豊かな国に警戒されるのも、さもありなんという感じがする。


ルーマニア及びブルガリアは2007年にEUに加盟していて、2014年になってからついに就労を制限できる期間が終了し、彼らは他国で働くことが出来る権利を得ただけではなく、社会保障も受けることが出来るようになった。

こういった問題は、それぞれの先進国の中で頭の痛い問題となっている。

何しろ自国民の雇用が奪われる上に、社会保障費を外国人に支払われなければならないことになり、特に手厚い社会保障を用意している国においては、短期の労働者にまで利益を供与することになるので、ますます財政を逼迫させることになる。

EUのいわゆる豊かな国も、すでに経済的な余裕はなくなっている。

それぞれの国が少子高齢化する傾向にあるし、今後の見通しはますます暗い。

その中で、これまでその国に貢献してきたわけでもない外国人が流れて来て、ブルガリア人やルーマニア人が社会保障までしっかりと受けて、限られた財政からお金を引っ張っていくことになってしまうと、ターゲットとなる限られた数か国、すなわちイギリスやドイツ、フランス等の国は、その問題に対処せざるを得ない状況になっている。

EUという一つの共同体としての統合を進めるという理念と、未だに是正されることのない各国の格差。

この両者の間でそれぞれの国、そしてそれぞれの国民が自らの利害関係を主張しながら揺れ動いているのが、今のEUの現状だというのが、ブルガリア人やルーマニア人の就労制限の撤廃を巡って垣間見ることが出来る現実となっている。


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