地方へ移住する方が海外生活を始めるより難しい


すでに海外で暮らすようになってから4年半が経ったが、こうして振り返ってみると、日本で地方に移住する方が難易度としては、むしろ高いのではないかという風に感じる。

私も将来的には、再び日本で暮らすということも視野には入れているし、不確定ではあるものの、そういった未来も漠然と思い描いている。

その時には、東京や大都市圏ではなくて、地方都市であるとか、あるいは限界集落まではいかないにしても、田舎暮らしを一時的に行ってみるということも考えている。

しかしながら日本国内で引っ越しをして、地方に移住するというのも、実を言うとなかなかハードルが高い。

土地勘がないところであれば、そもそもどういったエリアに住むかという検討を付けること自体が難しく、そうなってくると下見をして、色々な場所を見て回らなければいけないかもしれない。

都会暮らしが長ければ、地方の感覚というのが掴めないので、足のことであるとか、電車やバスの頻度であったりとか、そういったことも感覚のズレを修正していく必要がある。

そして何より大変なのは、地方移住に際しての引っ越し費用。

荷物が多ければ、この部分の料金がかさむことになる。

下手をすると、家具を買い換えた方が安いという結果にもなり兼ねない。

日本国内で引っ越しをする場合であれば、荷物を総入れ替えをして全て捨ててしまい、新しいところで購入するという人はレアなので、基本的には持っていくということを考えるはず。

となると、引っ越し業者に頼むか、もしくは自分や友人たちに手伝ってもらい、引っ越しを完了させることになる。

とはいえ地方への移住というのも、距離がかなり遠いのであれば、友人たちに手伝ってもらうというのも、なかなか心が痛むところなので、やはり業者に頼む人が多いと思う。

それに対して、海外に移住した場合にどうだったかというと、私の場合は、自分が持っていける範囲の荷物だけを持って、それ以外は捨ててしまった。

では、地方に引っ越す際も、同じことができるのではないかという話だが、それは全然条件が違ってくる。

というのも、海外の場合多くの国は、家具付きの家というのが多く、私がこれまで住んできたのもフルファーニッシュドと呼ばれる、家具や家電が付いた部屋。

冷蔵庫とか、テレビとか、洗濯機とか、ソファーとか、机とか、そういったかさばるものが全て部屋に備え付けなので、いちいち自分のものを持っていく必要がない。

ということで、私自身はそういった家具を所有することなく、賃貸物件の中にそういった家具も含まれているという扱いだった。

しかしながら日本だと、ウィークリーマンションのような例外を除いて、基本的には家具家電は自分で用意するものであって、家主が準備して提供するもではない。

そうなってくると、小移住に際して、引っ越し費用がかさむという理由で、家具を一旦処分すると、まずその処分代がかかるうえに、新居の近くで新しいものを調達する際の購入費がかかることになる。

仕事に関しても、日本国内の移動とはいえ、ある程度距離のある場所に移住するのであれば、実質的に現在の仕事を続けられるということはなかなかないはず。

私のように自営業で、場所にとらわれずに働けるのであれば関係ないが、サラリーマンであれば、会社から通える範囲に住むことが必須となるわけなので、転勤等を伴う場合でなければ、自分の意志で好きな場所に住むということはできない。

そうなってくると、必然的に新しい仕事を見つけるということも必要になり、年齢によっては転職がなかなかうまくいかないというリスクもある。

これに関していうと、海外に移住する場合であっても同じようなリスクはあるし、住む国の状況によっては、日本人が比較的就職しやすい国もあれば、ほとんど仕事が見つからないとか、最低限TOEIC900点程度の英語力がないと話にならないとか、条件は様々。

日本の地方に関しても、限界集落のようなところもあれば、トヨタの工場のお膝元のように、そこそこの仕事の量はあるものの業務はきつく、給料が安いとか色々と条件というのは異なってくる。

しかしながら、日本全体として見ると、やはり東京に比べて地方というのは仕事が少なく、職種にしても給与所得にしても、幅が狭くなってしまう傾向にある。

結局のところ、地方に移住するということを考えても、学生が就職に際して引っ越すとか、転勤を受け入れた場合とか、そういった例外を除くと、ほとんどの場合人生を投げ打つような覚悟で、引っ越すことになる。

そう考えると、引っ越し費用が安く、余計な荷物も持っていかなくて済むだけ、海外に移ってしまう方が、ある部分ではハードルが低い。

もちろんビザの問題を解消しなければいけないとか、人によっては言語や文化との接し方について、学ばなければいけないとか、そういったこともあるので、一概に外国暮らしの方が楽であるというつもりはないが、実を言うと海外で暮らし始めるのも、日本の中で全然違う地方に引っ越すのも、そこまでの難易度の差はないのではないかというのが、これまでの経験で思うところ。

そして、どちらにしても言えることは、環境を変えるというのは、大きな負担でもあるし、実際その翌年にはストレスが原因で、病気になるリスクも若干高まるという統計も出ている。

この統計というのは、引っ越しだけが原因ではなくて、離婚とか親族や家族との死別であるとか、あるいは転職とか、そういった様々な環境変化の影響について言及されていて、引っ越しもその一因となっている。

そういったデメリットもあるものの、既存の人間関係から解き放たれるとか、新しい生活習慣を確立するチャンスでもあるので、そういった意味でも上手に活用してほしいところ。

やはり環境が変わった時というのは、これまでの習慣を一気に置き去りにして、日常生活を再度組立直すのに適したタイミングということになる。



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執筆者、伊田武蔵
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