実は悪いヨーロッパの治安。対策と危険な国のランキングも紹介

ベルリン
ヨーロッパの治安について、
ここのところ1年のうち3ヶ月を向こうで過ごした経験から
感じたところをまとめてみようと思う。

まず、このエリアはイギリス・ドイツ・フランスを中心に
ベルギーやオランダ、フィンランド・ノルウェー・スウェーデン等、
いわゆる先進国とされる国も多く含まれている。

一方で東欧の中でも所得の低い国もあり、
ブルガリアやルーマニア、アルバニア等がある。

たとえばアルバニアの一人あたりGDPは4,786ドル。

これはタイやジャマイカに劣る数字。

北欧ノルウェーの96,930ドルと比べると、
およそ20分の1となる。


これだけ地域内でも経済格差があるのだが、
多くの人が持っているイメージとしては、
ヨーロッパの中でも貧しい国の治安が悪いということ。

これはあながち間違いではない。

事実、ブルガリアやルーマニアは現地を訪れ、
不穏な空気は感じた。

ブルガリアのプロブディフではパソコンの盗難にもあったし、
他のホテルでは「この国ではよくある」と言われた。

プロブディフの街並み

こうしたイメージ通りの部分もある一方で、
いわゆる先進国はどうなのか?

ここには誤解もあるように思う。


一言で先進国と言っても、
ヨーロッパの治安において無視できない存在は移民。

元々シェンゲン協定によって
加盟国は域内の移動の自由が認められている。

そのため、ポーランド人やがイギリスに出稼ぎに来たり、
ルーマニア人がドイツに職を求めたりといったことがある。

ヨーロッパ内でも大きな経済格差がある以上、
このような人の流れができるのは当然のこと。


しかし、これだけでも治安面では十分にマイナス。

貧しい国から来た人が犯罪に走るだけではなく、
職を奪われた現地の人の間には不満と鬱憤が貯まる。

生活苦の上に苛立ちが募れば、穏やかではいられなくなる人もいる。


こうしたヨーロッパ内での問題に加え、
地理的に隣接した中東・アフリカからの移民についても
長年にわたって主に先進国を苦しめてきた。

彼らはギリシャやイタリア、トルコ等を経由して
イギリスやドイツ等に移住を希望する。

どうせなら豊かな国に住みたいというのはもっともで、
所得水準の高い国で働ければ母国に残した家族に
仕送りをすることだってできる。


ただ、移民の失業率が高いことはすでに統計的に明かされているし、
彼らによる犯罪が多発していることも同様。

移民が住み着いたエリアの治安が悪くなることは、
もはやヨーロッパの先進国を見れば明らかになっている。


そのため、イギリスやフランス、ドイツ等は
世界的に見ても治安が素晴らしく良いとは到底言えない。

むしろ近年では悪化する傾向にあることすら指摘されている。

しかも移民(特に難民の場合)は人権問題もはらみ、
メディアとしても扱いづらいところ。

そのため、テレビや新聞では
大々的に報道されない問題が起きていることも指摘されている。

たとえばドイツのケルンでは、
年越しに際して駅前に1,000人ほどの移民が集まり、
暴徒化して女性に乱暴をはたらいたと言う。

どうやら警察も人数が足りず、十分に対応できなかったらしい。


難民問題に揺れるヨーロッパ、
特に難民受け入れが消極的なハンガリー等に
辛辣な言葉を浴びせてきたドイツでは、
彼らの権利を侵害するような言動は簡単には行えない。

結果、マスメディアは大きくこの事件を報道することなく、
ネットメディア等によって明かされてから
何日も前の事件に言及する始末だった。

駅前で堂々と集団暴行が行われる国の治安が良いのか?

もはやこれはドイツだけではなく、
ヨーロッパ全体、特に移民が多く流れてくる先進国全体の問題となっている。



ヨーロッパで危険な国ランキング

ブルガリアの住宅
イギリスのエコノミスト誌が発表した
世界平和度指数を元にして、
ヨーロッパの危険な国ランキングを作成した。

では、10位までをどうぞ。

1位:ロシア(世界平和度指数:156位)
2位:ウクライナ(世界平和度指数:114位)
3位:ベラルーシ(世界平和度指数:98位)
4位:モンテネグロ(世界平和度指数:75位)
5位:コソボ(世界平和度指数:74位)
6位:アルバニア(世界平和度指数:71位)
7位:ギリシャ(世界平和度指数:70位)
8位:セルビア(世界平和度指数:64位)
9位:フランス(世界平和度指数:55位)
10位:キプロス(世界平和度指数:51位)


もっとも危険とされたのがロシアで、
それ以外の主要国ではフランスが9位にランクインした。

また、先程一人あたりGDPが少ない国の例に挙げた
アルバニアは6位。

また、アテネ神殿やミコノス島などを擁する観光立国で
多くの旅行者を惹きつけるギリシャも7位に入った。



各国の犯罪の傾向をチェック

ルーマニア・シビウ
旅行に行く前に、
行き先の国でどのような犯罪が多いかを知っておけば
多少なりともリスクは減らせる。

たとえば、ニセ警官によるスリが多いと知っていれば、
いきなり警官らしき人物に声をかけられた時に
思考停止せずに済む。

備えあれば憂いなしというのは、
慣れない異国の地では鉄則となることわざ。

ハンガリーのブダペストでは、
ニセ警官が東駅やセーチェーニ鎖橋等で
違法な両替をしたと言いがかりをつけてくるケースが多い。

これに対し、アムステルダムだと
同じニセ警官であっても中央駅やダム広場等で
荷物検査を装ってスリをはたらく手口が横行。


こうした典型例を知っておくだけでも、
多少なりとも対策を立てやすい。


スペインのマドリッドやバルセロナでは、
いわゆる首絞め強盗が多発している。

なんと日本人の強盗による被害については、
およそ30%がスペインに集中しているほど。

バルセロナ

その中でも典型的なのが首絞め強盗で、
複数犯による犯行であることが多い。

不審なグループが近づいてきた時は、
すぐに立ち去るか、安全な場所に避難するのが無難。


他にもギリシャでは白タクによる詐欺が典型的。

こうした各地の特色を知っておくと、
より具体的な対策を講じられる。

一言でヨーロッパと言っても、
犯行の方法論には異なる傾向があるので。


一般論として言えば、
日本と違って子供のスリが多いこと。

これはヨーロッパ特有ではなく、
フィリピンやインドネシアでも言えることではある。


また、各国の長距離鉄道駅は
旅行者を狙ったスリや置き引き、強盗によって
治安が悪化する傾向にある。

代表的なのはルーマニア・ブカレストの北駅や
フランス・パリの東駅。

欧州の鉄道旅行は絶景を見られるのが魅力だが、
移動の際は駅からは手早く離れた方が
トラブルに巻き込まれるリスクは減らすことができる。



かつての治安に戻る日は来ない!?

フランクフルト
2015年にはシリアから大量の難民がヨーロッパに流れてきた。

国を出た人は400万人以上と報道され、
その一部は北へ、ヨーロッパへと移動。

トルコは200万人以上を受け入れているし、
ドイツでも1ヶ月に20万人以上を受け入れたりしている。

2015年と言えばフランスで同時多発テロ事件が起きたが、
その犯人のうち少なくとも2人は難民としてやって来た。


もはや治安が以前の水準に戻るのかどうか?

こうした背景を見ると楽観的な観測が持てなくなる。

シリアに平和が戻れば帰国する人も大勢いるだろう。

しかし、残る人の数も相当数にのぼるのは目に見えている。

ただでさえ難民によって平和を脅かされてきた国々が、
これからどのように回復していけるのか?

そう考えると、2015年を境にヨーロッパの治安、
特に先進国については様相が変わったと考えるべきなのかもしれない。


残念だが、今後数年間で元の水準に戻ることを期待しても、
その期待は裏切られる気がしてならない。

むしろ新しい地での生活に疲れ、
職が見つからないことや現地に同化できないストレスから
移民による犯罪が増加していくシナリオも現実味を持つ。

イギリスやフランス、ドイツに行く時には
銃社会のアメリカよりもよほど危険とか、
タイやマレーシアのような新興国よりもピリピリしているとか、
そういった評価を受けるようになっても不思議はない。

ヨーロッパを訪れるのが好きな私としては、残念な限りだが。


失業率の高い国にも要注意

ワルシャワ
難民問題からさかのぼって欧州経済危機について見ると、
ギリシャやポルトガル、スペインといった
旅行者にも人気の国が問題を抱えていることが明らかになった。

そして失業率の高さも驚かされるレベルに。

たとえばスペインの場合、失業率が26%で、
若年層に限定すると60%と報道された。


若者の2人に1人以上が職を持てないというのはすごい話だ。

これが治安に関係しないわけがない。

そして個人的な経験として振り返ってみると、
ヨーロッパで人種差別的な罵詈雑言を飛ばしてくるのは、
大抵の場合若者だった。

たとえばリスボンの郊外にあるモンサント森林公園に行った帰り、
公園(というより山)と街の間にある人気のない道で
延々ポルトガル語で怒鳴ってきたのは高校生ぐらいの2人組。


ムダにエネルギーの余っている若者が職とお金に困り、
そこに鬱憤をぶつけるのにちょうどいい相手がいたら?

白人が有色人種を見下しているのは過去の話ではない。

彼らの中には人種的な優位性を感じている人が少なからずいる。

職もなく生活に困っている人の自尊心がそこに向かい、
さらに身体が小さく気弱で知られる日本人が狙われたら?

これは悲観論でもなく、普通にあること。

身体能力が高くて身体の大きいアフリカ系よりも、
弱々しそうなところを狙うのは自然な心理だろう。


ついでに言うと、日本人は中国人と間違われるので、
「チーナ!チーナ!」とバカにされたこともあった。

完全な誤解で迷惑な話だが、
何かと嫌われ者の中国人と間違われるのも
ヨーロッパでのリスクの1つとなる。


5年前の情報はあてにならない

マンチェスター
ヨーロッパの治安は難民問題を中心に、
リアルタイムに変容している。

これからゆっくり色々な街を開拓しようとしていたハンガリーは、
難民が大量に流れこんできて大変なことになっていた。

個人的に思い出深いブダペスト東駅も、
難民でごった返している映像が世界に流れた。


以前は安全な街だったブダペストも、
今ではどのような状況になっているか分からない。

ハンガリーは難民に翻弄された。

受け入れを拒否する姿勢を
ドイツを中心に他国からも批判された。

そんな状況にあった彼らの中に
外国人への排斥感情が芽生えたとしても不思議ではない。

一部の人が外国人にヒステリックな感情をぶつけたとしても、
ある意味では予定調和とすら言えるだろう。

しかし、旅行者にとっては大きなストレスだ。



ヨーロッパの主要国だけではなく、
このように多くの国において以前のセオリーが通じなくなってしまった。

今後も東欧を中心に何度も訪れ、
そのたびにビザなしでの滞在期限である90日近くまでいる予定だったが、
柔軟な対応を余儀なくされている。

ただ単に命や財産が奪われなければいいというわけではなく、
快適な旅ができる環境かどうかを見極めなければいけない。

必要以上に歓迎してもらいたいとは思わないが、
外国人への嫌悪感を露わにされるのはやはり嫌なもの。

そんな部分も見極めていくのは、
今後ヨーロッパを訪れる際に必須のこと。

純粋な治安に加え、こうした側面も含めて考えるとなると、
なかなか一筋縄ではいかないだろう。


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