貧富の差が激しいフィリピンで本当の格差社会の姿を垣間見る


マレーシアの次に移住してきたフィリピンは、日本よりもはるかに格差が激しい国。

具体的にどういうことかというと、貧しい人達は日々の食べ物にも困るし、道端でお金を恵んでもらっている。

ボロボロの格好をして、明らかにシャワーを何日も浴びていないこともうかがえるし、教育を受ける機会すらない。

その一方で、富裕層には優遇された政策や税制が用意されていて、個人でも何兆円という単位の資産を持っているといわれている。

日本のお金持ちのトップとフィリピンの富裕層のトップクラスを比べた場合、フィリピンの方がむしろお金を持っているといわれている。

これは税制の問題が大きくて、特に富裕層が政治に働きかける力が強いので、様々な面で優遇されている。


富裕層に有利な社会制度

たとえば税務署が銀行に情報を開示させることは、日本であれば常識。

しかしフィリピンにおいては、こうした行政の権力が著しく制限されている。

これは単なる偶然や法の不整備の問題ではなくて、富裕層が政治家に働きかけたことによって意図的に作りだしているシステム。

そのため、富める者は富み、貧しい者はますます貧しくなるという格差の循環ができている。

富の再生産と呼べる環境があり、富裕層は世界的にも豊かなレベルにまで上り詰められる。

フィリピンで有名な富裕層と言えば、もっとも有名なのはシューマートグループの創業者、Henry Sy氏で、資産総額は130億ドルを越えるとされる。

円でもペソでもなく、ドルなのは間違いではない。

他にもフィリピン航空のCEOのLucio Tan氏やInternational Container Terminal Services,IncのEnrique Razon,Jr氏も資産額は約50億ドルとされる。

もちろん公表されている資産のみで上記の額なので、それ以外にも資産が存在することが推測される。


中間層の薄いフィリピン

フィリピンにおいて中間層は少ない。

もっともこれは日本人が思う中間層ということで、たとえば年収が400万円〜500万円ぐらいのクラスはかなり限られてくる。

何しろフィリピンは初任給が3万円ぐらいの国なので、この場合だと年収が40万円程度になる。

日本であれば完全に貧困層になるわけだが、フィリピンであればこれが普通。

逆に300万円ももらっていたら高給取りということになる。

そのため、4〜500万円の年収をもらっているのは、富裕層というほどでもなく、標準よりはずっと上の中途半端な立ち位置になるので、かなり少ない。

サラリーマンとしては相当上の方である一方で、起業家や経営者、投資家としては相当下のクラスになるので、必然的に手薄な層ということになる。

日本人でいうところの年収2000万円の層が少ないのと同じ。

ちなみに日本人で年収2000万円というのは、全人口の約0.4%しかいないらしい。

フィリピンのような貧富の差が激しい国で暮らしていると、たとえばレストラン1つとっても、店の格によって入ってくるお客さんは完全に分かれている。

日本人であれば一食1000円のレストランに入ることは特に抵抗はない。

格差社会と言われていても、たまには背伸びをしてそのくらいの店に入ることはフリーターでも十分にできる。

しかしフィリピンの一般的な人というのは、そうした店に入ることは基本的にできない。
日本貿易振興機構、アジア経済研究所のレポートもご参考に。)

何しろ一食80円くらいで食べることができる国なので、おそらく日本人の感覚でいうと、フリーターが一食1万円以上の食事をするのと同じくらいの抵抗感があるのだと思う。

結果として、レストランにしても買い物をする場所にしても、所得によってはっきりと分けられている。


住むエリアも分けられる

治安の面から考えても、富裕層が暮らす地域は、やはり特別な警戒がされている。

高級な戸建てが並ぶエリアであれば、周辺を壁で覆って入居者以外が一切入ってこれないように入口で警備員がチェックしている地域も多い。

いわゆるゲーテッドコミュニティが確立されているが、これは特にフィリピンが治安が悪いからというわけでもなく、東南アジアでは一人辺りのGDPが上位のマレーシアでも同様にゲーテッドコミュニティは見受けられる。

私もフィリピンに住む前はマレーシアに住んでいたが、最初に住んだコンドミニアムから徒歩一分ほどの位置はゲーテッドコミュニティになっていて、2箇所ほど出入り口があるが24時間警備員が常駐し、出入りを見張っていた。

特別富裕層ではなくても、外国人が戸建住宅に住むのであれば、こうしたエリアを選ぶことは珍しくない。


日本も他人事ではない

フィリピンを見ていると、格差社会が叫ばれる日本よりもはるかに貧富の差が激しく、二極化が進んでいる現実を垣間見ることができる。

そして、社会のセーフティネットが不可欠であることも実感として感じる。

やはり子どもが教育を受けられないのは貧困の連鎖に繋がってしまうので、それは避けなくてはいけないこと。

これは今後の日本の課題でもあるのかもしれない。

格差によって教育の機会が違ってくることは、東大に進む家庭の所得の平均値を調べた調査結果によって、すでに明らかになっている。

東大生の家庭の所得が平均よりも有意に高いことからも、所得と教育には相関関係が見られる。

誰もが平等な中流社会に戻す必要は感じないが、少なくても挑戦するチャンスは与えられるべきだし、あまりの格差は治安の悪化をもたらす。

そうなれば、誰も幸せにならない。

現在進行形で人口が増え、経済が成長しているフィリピンと、逆に成熟から衰退のフェーズに入った日本では異なる点も多い。

しかし、対岸の火事と吐き捨てられないほど、事態は切迫しているのかもしれない。


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