私が聞いたホームステイ経験者の話だと、ホストファミリーと2日目で仲たがいをしてしまって、4泊あるうちの残りの3日は針のむしろにいる思いだったという。
2日目に喧嘩をしたというのも大した理由ではなくて、シャワーを浴びている時間が少々長かっただけという。
それも特に長いというだけでなく、せいぜい15分程度だったということなので、水の消費に対する感覚の違いが原因だったと思われる。
そのホストファミリーはオーストラリアの人たちで、そこにホームステイに行ったのは日本人だった。
おそらくは、1日目から何らかの不満が募っていて、最初からギクシャクしたところはあったという。
ホストファミリーの方も協力的な雰囲気はなく、最初からつっけんどんなところがあったという話を聞いている。
お金目当てのホストファミリーも
この体験談を耳にして最初に思ったのは、このホストファミリーはお金だけを目当てにしてホームステイの留学生を受け入れていて、交流を楽しむ気持ちがまったくなかったのではないかということ。これは特殊な話ではなくて、仲介している団体がホストファミリーに払う報酬を目当てにしていることは多い。
これはこれで1つのビジネスではあるし、即座に非難されなければいけない筋合いでもない。
ただ、本来のホームステイの目的からすると完全に外れている行為であることは間違いない。
少なくともその日本人はオーストラリアに対する好意が消えてしまったというし、海外に出ることにも恐怖感を感じてしまったという。
しかも、初めての海外旅行でもあったので、なおさらカルチャーショックが強く、もうそれからしばらくは外国にいきたくないという思いまで抱えてしまった。
本来であれば、ホームステイを境にしてより国際的な感覚を身につけるはずだったが、結果的には全くの逆効果になってしまった。
残念なことに、どの国にも嫌な人間はいるし、非礼であったり、思いやりがない人もいる。
まして日本のおもてなしの心を海外の人たちに求めるのは無理な注文。
そう考えると、ホームステイに行くときはよほどしっかりと宿泊先の家族の評判を調べてから決めるとか、あるいはコミュニケーション能力を磨いてから行くとか、自分自身の心身の鍛錬の場と考えていく必要がある。
浮かれた気分で、いかにも楽しそうにホームステイを語る人もいるが、そこには落とし穴があることも事実。
もちろんそういった家族は一握りかもしれないし、基本的には快く訪問者を受け入れてくれることが多いのも事実だと思う。
しかし、常に例外はあるし、数日間の宿泊ということになれば、それなりにストレスも募る。
ホテル暮らしとは違って、同じ屋根の下で過ごすことになるので、食事も一緒に過ごすことになる。
完全に無言でテーブルを囲む食卓は気まずいものだし、現実にそうした話も聞いたこともある。
さらにいうと、本来空港までの送迎をしてくれる約束だったのが、もう帰りは自分で帰れと言われ、しかもタクシーを呼んでもらうこともできず、タクシーが全く止まらない道を1時間以上も歩いてようやくタクシーを拾うことができたという留学生もいた。
こうした悪質なホストファミリーが存在することも、ホームステイを考える上では知っておいた方がいいだろう。