海外に移住すればアーリーリタイアしやすい時代は終わった




物価の安い国にでも移住して海外でアーリーリタイア生活を楽しもうと人生設計をしている人も居るが、残念なことに10年前と現在では全く状況が異なっていると言わざるを得ない。

例えばオーストラリアという国を見てみた場合、日本人の中流層が移住をしようと思っても数千万円台後半以上の資産を持っていることは当たり前に要求されるようになったので、非常にハードルが上がった。

さらに言えばオーストラリアは今現在世界の中でも屈指の物価の高さのを誇り、最低賃金ランキングでも1位に輝くほどである。

例えば普通のレストランでピザやパスタを食べるだけでも3,000円ぐらいかかったりするので、日本に比べて物価が安いどころかむしろ生活費は東京以上に高騰してる。

このような状況の中で日本でアーリーリタイアをするのに手持ちの資金が心細いからオーストラリアやニュージーランドに行こうという選択肢は既に潰れてしまった。

円安と新興国の物価高

オーストラリアやニュージーランドといったオセアニアがダメなのであれば、多くの日本人がアーリーリタイアしやすい国々として思い浮かべるのはタイやマレーシア、フィリピン、インドネシア、シンガポール等の新興国になると思う。

東南アジアは日本からも近いため気軽に一時帰国を出来ることもあり、実際にこれらの国に住んでいる人も多い。

私自身もフィリピンやマレーシアで暮らしたり、タイヤやインドネシアに観光ビザの期限ぎりぎりまで滞在したりしているが、こういった国の物価が今現在本当に安いのかと言うと、実際のところそうでもない。

まず一つ目の要因としては新興国は安定的にインフレが続いているので、毎年物価が上がっていくと言う現実がある。

さらに言うと、為替が円安になったことによって円換算をした場合に食事にしろコンドミニアムの賃料にしろ割高感を覚えるようになった。

例えば、タイで今まで800円で食べられていた食事に1,200円かかったりとか、そういったことが円安の影響で起こり、日本に比べて著しく生活費を下げることができると言う感覚はない。

例えばバンコクで標準的な日本人あるいはタイ人以外の外国人としての暮らしをしようと思うのであれば、一人ぐらいの場合であっても付きに15万円〜20万円弱ぐらいは必要になる。

もちろんある程度節約をすることは出来るが、それでも10万円以上必要である。

それ以下になってしまうと治安の面で不安を覚えるような生活をしなくてはいけないとか、日本人の感覚すると、貧乏暮らしとかあるいは下手をすると極貧生活と形容したくなるような暮らしをしなくてはいけなくなったりする。

そのため、月に5万円や7万円ぐらいで生活できると思って新興国にやってくると、現実とのギャップに愕然とする羽目になる。

各国の初任給を見てもあまり意味がない

確かに新興国であるタイやフィリピン、マレーシア等の初任給というのは安く、国によっては大卒であっても月に3万円ぐらいとか、そこからスタートするわけで、当然ながらその金額でも現地の人は生活できていることになる。

しかしながら私たち日本人が海外に住もうと思えばアーリーリタイアにしろそうでないにしろ、さらに言えば実際の収入額や試算額に関わらず、日本人=お金持ちという見られかたをするわけで、安全を買うという意識が必要になる。

現地の人たちと同じ生活ができるというのは、文化的な面や衛生面から考えても恐らく日本人の1%か2%ぐらいしか受け入れられないと思うし、さらに実際問題として安全を確保するということになると尚更コストがかかる。

現地の人と結婚をすればまだしも、そうではないのであれば、やはり外国人としての生活コストがかかると考えておいたほうが妥当である。

そうなってくると、現地の人の初任給とかあるいは平均的なサラリーマンの月収とかそういったものが安いからといって、移住した場合の生活コストを安く見積もるというのは間違いとなる。

特定の国に資産を依存する危険性

アーリーリタイアをするということになると、それ以降の収入は基本的に年金ぐらいしかないという事になる。

となるとある程度の資産を持っているということがほとんどの前提になると思うが、資産を特定の国で保有してしまうとそれ自体がリスクになる。

特に通貨の分散をしておかないと、その通貨が下がった場合に困ることになる。

例えばタイに移住して生活している場合、資産の全てを日本円で運用していると日本円が暴落したときにタイバーツの生活費が相対的に割高になる。

あるいは、タイで生活しているから全てタイバーツで資産を持っているとしても、今度はタイバーツが下がったときに日本への一時帰国した時にかかるコストが上がったり、あるいはタイ生活に飽きて日本に戻ろうとしても、両替したときに日本円として資産が大きく目減りするようなこともある。

海外で暮らす場合であれば尚更資産の分散というのは必要になる。

私自身も各国の通貨に分散するということを心がけていて、今現在米ドルや香港ドル、マレーシアのリンギット、フィリピンのペソ、日本円、ユーロを中心に通貨の分散をしつつ、さらにはファンドや不動産、事業投資等を組み合わせることによって、インフレ等にも対策を打っている。

フィリピンでセミリタイアしてみたが・・・

今現在はセブに住んでいるが、その前にはマニラ市内にあるマカティという商業エリアに住んでいたこともある。

その時にはサラリーマン時代の夢だったセミリタイアのことを思い出し、とりあえず試しにやってみることにした。

結果としてどうだったかというと、セミリタイアをしてみたところで暇すぎてやることがなかった。

退屈というのは嫌なもので、自分の価値自体を感じられなくなる。

何かを学んだところで、今後アウトプットをする場がないと思えばやる気が失われていくし生きがいもない。

アーリーリタイアしたいと願う人は多くても、その一方で定年を境にして退職後にやることがなく鬱になってしまう中高年が多いことも事実である。

そう考えるとアーリーリタイアが必ずしも賞賛されるほどすばらしい生活だとは思わないし、海外に慣れていない場合だと仕事が無いということと、日本を離れての海外暮らしというダブルパンチで慣れない生活習慣にストレスが溜まる事もある。

そういったリスクを考えると大胆な決断を下す前に、まずは小さく実験をしてみて自分の肌に合うかどうかということを確認しておく事をお勧めする。



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執筆者、伊田武蔵
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