自炊の森の運命が著作権問題の実験例になりそうな件


本を裁断してスキャンする自炊の森というサービスがある。

これ自体は電子書籍化というありがちな業種で、
別に珍しいことではない。


昨今、著作権の問題が取り沙汰され、
正式にNOを突きつけた作家もいる。

東野圭吾をはじめとして、
それらの作家の作品は取り扱わないと明記する業者も多い。

法的に不透明な部分があるだけではなく、
そもそも日本の出版業界が電子書籍への対応が遅いこともあり、
今後もどう展開していくのか分からないところがある。



基本的に横一線に並んでいる電子書籍化サービスの中で、
自炊の森は独自のサービスをしている。

それは自炊の種というもので、
店側が用意した本をスキャンできるというもの。

つまり、自分が本を持ち込むわけではなく、
あくまで本を用意するのは店。


もはやスキャンした後の電子データを販売しているのと、
実質的にほとんど変わらない気がしてくる。

自炊の森がどのような意図でやっているかは分からないが、
完全に電子データを売るのとは違い、
あくまでも場所の提供と主張するためなのかもしれない。

そう考えると、
漫画喫茶と変わらないと説明できなくもないので、
法的にグレーな部分に移行できる。


しかし、仮にスキャンしたデータを販売すれば、
どう考えても著作権の侵害になる。


このような論法で考えているのかどうかは知らないが、
実際にこういったサービスを行っていて、
スキャンの代金のみでいいという。

当然ながら、他の代行業者よりも叩かれる可能性は高い。

順当に行けば、自炊の森に何か問題が起こったら、
そこから他の業者へ波及するということも考えられる。

それにしても、大胆というか強気なやり方だと思う。



ちなみに、サイト上からも自炊の種で扱っている書籍を検索できたので、
参考までに伊坂幸太郎で検索してみた。

出てきたのは5冊で、
首折り男のための協奏曲、魔王、グラスホッパー、
アヒルと鴨のコインロッカー、マリアビートルだった。

ゴールデンスランバーやモダンタイムスはないらしい。



元々、書籍は友人間での貸し借りも普通に行われているし、
漫画喫茶のビジネスモデルはどうなのかとか、
立ち読みができるようにしているコンビニやブックオフも
客寄せとして間接的に利益を得ていることになる。

そもそも古本屋も作者には利益が入らない。


こうした出版業界の曖昧さというか、
情報を扱うからこそ起こる問題が
本格的に噴出してきてしまっている感じがする。

簡単に複製できるデータになってしまえば、
収集がつかない状態にもなりかねないし、
実際に本はともかく漫画はひどい状態になっているので。

日本語ばかりではなく、
翻訳までされてばらまかれているという現実がある。

音楽とともにコピーが出回っているので、
今後の対策がどうなっていくのかは気になるところ。



自炊の森のサービスの是非はともかく、
電子書籍化のサービス自体はなくされると困る。

海外居住者にとっては貴重なものなので。

一部の業者は、わざわざスキャン後に紙をバラバラに裁断するとか、
特殊な液で溶かすことを明言している。

これは著作権に配慮してのことで、
言い換えれば個人利用としての範囲内であることを明らかにして、
法的な問題を回避しようということ。



自炊の森はその対局にあるわけで、
傍目から見ても大丈夫なのかと心配になる。

ただ、漫画喫茶がスキャンサービスを提供していると思えば、
そこまで飛び抜けて問題とも思えなくなってくる。

こうなってくると、
もう明確なルールを決めた方がいいような気も・・・。


とは言え、そのルールが及ぶ範囲は、
実質的に国内だけ。

海外の街を歩いていると、
公開中の映画がすでに道端でDVDになって売られている。

金額も100円とか。


著作権が通じない相手が無数にいるわけで、
国際的に徹底するのは事実上不可能。

これは漫画家や映画関係者、アーティストには厳しい時代。



逆に、小説家やその他の活字の著者に関しては、
そこまでポピュラーじゃないおかげで
このような被害にはさらされる機会が少なくて済んでいる。

それはそれで皮肉な話ではあるが、
一概に著作権の保護が難しいと言っても
被害のレベルも様々というのがよく分かる。



今後、自炊の森がどのようになっていくのか。

これは電子書籍化サービスの業界の行方を占う上で
面白い試金石になるのかもしれない。



メールアドレス

よく読まれている記事

1位:世界一周を日常に変える方法

2位:【無料】海外移住オンラインセミナー

3位:パワハラ・リストラからの人生逆転















本当に伝えたかったこと


メールアドレス
取扱い上の注意
執筆者、伊田武蔵
伊田のこれまで
カテゴリー
人気記事

ページの先頭へ