海外在住の日本人はマナーが現地化していく


日本人というと世界の中でも礼儀正しい民族とか、奥ゆかしさを持っているところが美点として称えられたりする。

しかしながら、海外生活が長い人を見ていると、だんだん現地の人のマナーに近づいていくことを感じる。

例えば喫煙率一つとってみても、日本在住の日本人の平均的な喫煙率と海外駐在員の喫煙率では、明らかな違いがあるように感じる。

日本料理屋等を見ても、例えばマレーシアでは一般的に室内では禁煙で、室外に設置された席が喫煙席というのが一般的な認識。

しかし、多くの日本料理屋では例え室内であっても喫煙席になっていることが少なくない。

もちろん日本料理屋の場合、基本的に屋外に席を置くことがないのでその関係もあるが、受動喫煙で煙たくて嫌な思いをする人よりも、タバコを吸いながら食事をしたいというニーズの方が強いことを窺い知ることが出来る。

そしてまた、日本料理屋での会話も、現地のスタッフを貶めるようなものであったり、あまり聞いていて気持ちの良いものではなかったりする。

こういったことを見ていると、環境が人を作ることを感じるし、残念ながら日本人であるというだけですべてが担保されるほど、生易しいものではないことが窺い知れる。

これには仕方がない部分もあって、現地の駐在員は多くの場合、多かれ少なかれ現地の人と関わることになる。

それは取引先としてという場合もあれば、顧客として、あるいは部下としてということもある。

そうなってくると彼らの商習慣、あるいは仕事や人間関係に対する意識が、どうしても伝染して影響してくる。

普段からいい加減な人とばかり接していれば、どうしても自分だけきっちりと約束や時間を守るという意識が希薄になっていくわけだし、他人に対して粗暴な対応をする人とばかりコミュニケーションを取っていれば、自分だけ丁寧に人と接するのは難しくなっていく。

そういった意味で言うと、環境が人に及ぼす影響は大きいし、駐在員をはじめとした海外生活者も、住んでいる国によって影響を受けるのは当然のこと。

もっと分かりやすいところで言えば、美容院で髪を切ってもらう時に、どうしても現地のテイストが取り入れられることになるので、そういった意味でだんだんローカル化してきたり、服装にしてもある日本人の知人はマレーシアで日本と同じ格好をしていると浮くので仕方なく地味にしていると語っていたように、知らず知らずのうちにその国に溶け込む努力をしていることが多い。

そういったことを考えてみると、日本人がその独自性を全く失わずに海外で長期的に生活をしていくのは、かなり難しい。

特に日本人の場合、外国人からカモとして見られていることも多いので、余計なトラブルを避けるためにも目立たないようにしようという配慮をするのが一般的。

そう考えてみると、海外生活を終えて日本に戻った人が周囲とのギャップに苦しむのも、ある意味仕方がないのかもしれない。


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