香港の九龍公園で見たハレー・クリシュナ手法




香港の九龍公園という大きな公園で座っていたら、
花のリボンを服に付けてくるインド系の2人組がいた。

両面テープなので服に穴はあかないにしろ
はっきり言って迷惑なのだが、
にこやかにやってくるので邪険にもしづらい。

彼らが去ったら外そうと思っていたら、
署名を頼まれた。

何の署名かよく分からないが、
とりあえず適当な偽名を書いておいた。

次に要求されたのは募金。

これで明らかになった。


勝手に胸に付けられたこの迷惑なリボンは、
最初からそのためのものだったということが。

カラクリが分かったところで、募金は断った。

男たちは急ににこやかな表情を消し、
急に真顔に戻って
私の胸からひったくるようにリボンを外して去っていった。



このやり口は、ハレー・クリシュナという
宗教団体が使う典型的な手口。

彼らがそうだったのか、
やり方を真似していただけなのかは分からない。


ハレー・クリシュナはこの手法を使い、
かつてアメリカで多額の募金を集めた。

空港などの旅行者が集まる所に出ては、
一方的に花や教典を押し付けてその見返りを求める。

この手口が社会問題になり、
アメリカでは警戒されて先細りのようだが、
新しく開拓した東欧市場では
鼻息あらく活動しているという話は聞いたことがある。

香港での活動については知らないが。



ハレー・クリシュナというのが
元々各地で募金や商品販売を巡り、
トラブルを巻き起こしていたという逸話が、
今回の件で垣間見えた。

何しろ、突然近づいてきて
軽く拒否しているのにリボンをつけ始め、
見返りを要求するのだからトラブルも起こるだろう。


彼らがなぜこうした手口を使うかというと、
行動心理学で返報性の原理と呼ばれる手法を使うため。

簡単に言えば、
先に与えられればお返しをしたくなるというもの。

つまり、花というプレゼントを受けたことで、
そのお礼をしなければいけないという
心理状態を作り出すことが目的。


わざわざ従来の花をリボンに変更して服に付けたことで、
手渡すよりも迷惑行為になっていたのは
何が目的なのか理解しがたいが。

受け取るという積極的な行動を取らない相手も
巻き込む算段なのだろうか?


知識として、
これらの手口が存在することは知っていた。

しかし、実際に遭遇するとは。

ちなみに、当然ながら花をもらっても基本的に困る。

そして多くの人は、すぐに捨てる。

ハレー・クリシュナには、
その捨てられた花を回収し再利用する係もいるらしい。

再利用と言っても、同じ用途に使うだけだが。

ゴミ箱に入った可能性のある花を
渡されるのだからたまらない。



ここまで露骨ではなくても、
返報性の原理は試食や試供品でも利用されている。

「与えられたのだから、お礼をしなくては」

「試食だけじゃ申し訳ないから、
 別に美味しくなかったけど1つだけ買っていこうか」

このプレッシャーは思い当たるところがあるはずだ。


しかも、この返報性の原理は、
相手に好意を持っていなくても成立する。

つまり、相手にしてもらったことが嬉しくなくても、
恩知らずと思われることを本能的に恐れて
反射的に恩を返そうとしてしまう。

人間の社会的動物としての側面を
利用した手法だと言える。



妙に恩着せがましい人がいたとしたら、
この原理を相手が利用しているかもしれない。

特にセールスの場面ではよく使われるので、
引っかからないように注意が必要な手法。

たとえば、買うとも言っていないのに
長々と相手に説明してもらえば、
買わないと悪いと思ってしまう。

この心理を意図的に利用する店員もいる。

本当の善意への感謝なのか、
ただ感情を利用されているのか、
この見極めを意識するだけでも
セールスへの耐性は強くなる。




ここまでは返報性の原理の負の側面。

返報性の原理にはプラスの側面もある。

つまり、他人に価値を与えれば報酬を受けられるという
価値の循環の側面だ。

この感情がなかったら、
人間は目先の損得勘定で動くことになってしまう。

人のために何かをしても、
それが報われない世界になってしまうのだから。




新宿のコールセンターで派遣社員をしていた頃、
「手相の勉強をしているので、手を見せていただけませんか?」
と声をかけられたことが1度だけある。

あの時は気持ち悪くて無視して去ったが、
今なら手を見せながら話を聞いてみたい。

彼らはどんな手法を用いるのか確認するためだけに。

別に高額な水晶とか買うわけではないし、
単なる興味本位で見てみたい。


香港での出来事のように、
面白い発見があるのかもしれない。



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執筆者、伊田武蔵
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