マレーシアのロングステイは海外初心者以外にはお勧めできない




かつてマレーシアに2年間ロングステイしたことがある。

その後はフィリピンに移ったり、これといった居住国を設けずに、ホテル暮らしを1年以上続けたりといった形で、他の国も見て回っているが、その結果として、移住先ナンバー1のマレーシアの実態というのを考えてみると、人気が過熱しすぎてイメージが先行しているという感がある。

実際現地に住んだり、あるいはペナンやマラッカ等に旅行で訪れたりして感じているのは、マレーシアはロングステイ先としてそこまで魅力的ではないということ。

但し、住んでいた当時の私は、そこまで不満を抱えていたかというと、少なくとも今ほどマレーシアという国を低く評価していたわけではない。

それは単純に世界を知らなかったということであり、無知によって比較対象があまりにも少なかったということが理由として挙げられる。

また、もう一つの理由として、当時はまだ円高の状態だったので、1リンギットが30円を下回っているというのが当たり前だった。

例えば、1リンギット26円とか27円の時代だったので、現在と比べると物価もだいぶ安く感じた。

新興国だけに当然ながらインフラを起こしており、年々物価自体が上昇する上、為替のレートの関係で、日本人にとっては円換算をした時のマレーシアのロングステイの費用というのは、益々上がっている。

非応対効果ということを考えると、どんどんバランスが悪くなってきているというのも、この数年の変化の一つ。

こういったことを考えてみると、他の国はあまり知らない状態で、マレーシアにロングステイして、その後に他の国に移住をするとか、そういった形であれば、ステップアップしていくことができるので、良いのではないかと思う。

逆にもっと住みやすい国で暮らしてから、マレーシアに移住するというのはかなり厳しい。

これは明らかなステップダウンになるので、ストレスが相当かかるものと思われるし、実際に私もMM2Hというリタイアメントビザを持ちながら、今現在マレーシアに住むということを、全く考えられなくなった。

東南アジアにロングステイしたい日本人は多いと思うが、その場合には他に人気国として、タイやフィリピン、あるいはベトナムやカンボジアやインドネシアといった国が挙げられる。

特に人気なのは、やはりマレーシア以外だと、タイとフィリピンの二ヶ国。

フィリピンには実際に1年以上マカティに住んでいたし、セブやパングラオ島という島にもそれぞれ1ヶ月以上滞在したりすることで、住み心地というのを現地で実感することができた。

タイに関しても、バンコクには1ヶ月の滞在を何度もしているし、日本を離れてから頻繁に訪れてきた国の一つ。

そういった体験からすると、両国はあきらかにマレーシアよりもロングステイ先としての魅力が高い。

物価に関しては、最も高いのはマレーシアで、特に人件費の面でタイやフィリピンを悪い意味で圧倒している。

ざっくり言うと、人件費が倍ぐらいになるので、当然ながらそれは商品の値段にも跳ね返ってくる。

更に言うと、もっともホスピタリティが低いのもマレーシア。

特にインド系の住人の店員であるとか、タクシーの運転手等は、非常に愛想も悪いし、特にタクシーの運転手は、頻繁不正な料金を吹っかけてきたりとか、わけのわからない交渉をしてくるということで、現地住民の間では、忌み嫌われる存在になっている。

これまでマレーシアが、ロングステイ先として人気だった理由の一つとしては、MM2Hというビザが比較的取りやすかったこと。

逆にタイの場合は、一時期リタイアメントビザやビジネスビザを除くと、誰でも取れるようなビザがないような状態だったので、ロングステイをしたいと思っても、観光ビザの30日という範囲以内でしか、滞在することができず、実質的に住めないという問題点もあった。

しかしながらその後タイも、タイランドイージーアクセスや、エリートカードといった制度を復活させたため、年齢を問わず一定の資金を出せば、誰でも住むことができることになった。

イージーアクセスであれば、5年間のビザを取るのにだいたい200万円弱ぐらいで取得できるので、マレーシアでMM2Hを取ろうとするよりも、金額的には安い。

マレーシアの場合は、50歳未満でMM2Hを取ろうとすると、1千万円以上の定期預金を組まなければいけないし、約1700万円程度の金融資産が条件となっている。

更にこの条件というのも、より厳しくハードルを上げようという話も大臣が公に提案しているぐらいなので、明らかに実体価値とビザの価値がかい離しつつある。

フィリピンの場合であれば、私が取った永住権であっても、5万USドル、現在の価値でいっても、600万円程度一度国外から送金するだけでよく、しかもその600万円は定期預金にする必要もなくて、フィリピンの国外に持ち出すこともできるし、フィリピンの国内で自由に使うこともできる。

つまり、5万USドルを保有できる程度の財産があるということの証明さえできれば、そのお金をどう使うかは、ビザの手続きが済んだ後は自由なので、圧倒的に自由度は高いということになる。


マレーシアの生活費

では、仮にマレーシアにロングステイをする場合に、生活費がどのくらいになるかということを、ざっくりとまとめておこうと思う。

日本人がそれなりに、セキュリティーの整った外国人向けのコンドミニアムに住むということを考えると、クアラルンプールの場合で言えば、単身者であっても、最低でも月に6万円から7万円程度から、ある程度のグレードのコンドミニアムであれば、10万円を超えてきたりすることも珍しくもない。

私も、モントキアラという日本人が多く住んでいる、クアラルンプール郊外のコンドミニアムを見てきたが、日本の地方で暮らす場合と比べても、部屋自体の金額というのは決して安くはない。

但しプールが付いていたりするので、そういった施設の部分でいうと、日本とは全く別の生活を送ることができるというのは事実。

この辺りは好き嫌いにも左右される部分だが、それなりに家賃がかかるということは、見逃すことはできない。

更に、ローカルフードであれば、1食200円とか300円で食べることができるし、インド系の屋台であれば、ナン付のカレーを100円ぐらいで食べることもできるが、和食レストラン等に行けば、クアラルンプールであれば、ランチメニューであっても1000円弱はする。

しかもクアラルンプールの日本食のレベルというのは、バンコクやマニラに比べると、明らかに劣っている。

価格はやや高く、質は2割3割落ちるという印象がある。

この金額であれば、日本国内で外食をするのとたいして変わりはなく、もはやマレーシアは新興国だから、生活コストが安いというのが単なる幻想であるということがわかる。

しかもこの先長期的に見て、日本が円安傾向にいくのであれば、尚更生活費というのは、円換算した時に高くなるし、当然のこととして成長国である以上、インフレ自体は止まらないものと思われる。

ということは、マレーシアの物価そのものも、年々上がっていくわけなので、生活コストが大幅に安くなるということはない。

むしろ、このくらいの生活費であれば、東欧の一部の国に住んだりすることもできるくらいなので、わざわざインフラも整っていなく、サービス業の対応もいい加減で、治安も決していいとは言えないマレーシアに、住む理由があるのかどうかということは、かなり疑問になってくる。


ロングステイは慎重に行うべきなのか?

ここまではリスクを中心に話してきたが、実際問題として、私は下見なしでマレーシアにロングステイをしてきたし、その選択自体を後悔しているわけではない。

確かに知識不足の感は否めなかったが、だからこそ2年間も住むことができたというのも事実。

ある程度世界各国を回って、それぞれの住み心地とか、移住環境というものを肌で実感してきた上で、マレーシアに2年間住むというのは、もはや嫌がらせに近いものがあり、とてもではないが受け入れることができない。

ステップアップをしていくか、ステップダウンをしていくかということを考えれば、当然ながら生活の質というのは、上げていった方がトータルで見た時に満足度が上がるわけで、マレーシアにロングステイをするというのは、初期の段階でしかできないのではないかという風にすら感じる。

特に東南アジアに詳しくなってくると、わざわざ今の段階でこの国に行くメリットというのは少ない。

数少ないメリットをあげるのであれば、日本人向けの業者がそれなりに多いので、ビザにしろ不動産にしろ、取得の際にはサポートを受けることができるし、ネット上探しても日本語での情報を検索するのが容易であるということ。

但し、こういった条件というのは、バンコクやマニラについても共通しているわけなので、特別マレーシアやクアラルンプールに有意性があるわけではない。

ましてペナンの汚い海に、高い家賃を払う気にもならないので、こういったところも論外。

そう考えてみると、イメージだけで最初はざっくりとロングステイをしてみるというのも、悪くはないのではないかという風に思う。

マレーシアの場合は、ビザなしでも90日は滞在できるわけだし、1回出国をして再び入国をする、いわゆるビザランを繰り返すことも、1年ぐらいだったら可能。

その間とりあえず、コンドミニアムを1年契約で借りてみるなり、ホテル暮らしをするなりして生活をしてみて、もっと他に魅力的な場所があるとわかった段階で、本格的に移住をするということも十分に考えられる。

ロングステイは、永住の前段階である必要はないわけなので、ある意味で言えば、マレーシアでの体験を踏み台にして、よりより環境の場所に移動していくということも、1つの選択肢として有りだと思う。



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執筆者、伊田武蔵
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