マニラでドアの外から鍵を回す音が聞こえ続ける


部屋の外でガチャガチャと鍵を開けようとする音がしている。

最初は私の部屋のドアかと思って警戒したが、
外を見てみると隣室らしい。


30代と思われる女性の姿が見えたが、
彼女はバッグの中をしきりに引っかき回している。

鍵をいじっている人物は他にもう1人いるらしい。

その人物の姿はこちらからは見えない。



女性は仕事帰りらしく、
マニラの中ではOLらしいというか、
きっちりしたスーツを来ていた。

日本人なのかもしれない。

現地のビジネスマンの場合、そこまでフォーマルにする人は
比較的少ないので。



ひとまず自分の身の危険がないことがわかったところで、
ドアからは離れた。

その後、iPadで小説を読んでいた。

その間もガチャガチャと単調な音は続いている。

もう1度見てみたら、コンドミニアムの警備員も来ていた。

鍵が開かないので、スタッフが増えたらしい。

とは言え、彼らも鍵屋であるはずはなく、
ただ鍵穴に鍵を挿しては苦戦しているだけの様子で
進展がないのは耳だけでも容易に予想できる。

どういう事情なのかは分からないが、
鍵の保管方法に問題があって部屋に対応する鍵がどれなのか
判別がつかなくなってしまったのかもしれない。

フィリピンという国なら、
そうしたミスが起きることも十分に考えられる。


あるいは鍵か鍵穴そのものに問題があるのか?

専門家ではないので詳しいことは分からないが、
おそらく製造の技術はそれほど難しくはないはず。

専用の金型を使えば簡単に作ることができると聞いたことがある。



管理上の問題なのか、製造上のミスか。

どちらにしても、早寝の人ならそろそろベッドに入る時間になっても
いまだに部屋に入ることすらできない隣人には同乗する。

今日が入居の日なのだろうから、
第一印象は最悪だろう。

ひょっとしたら、マニラに来たのも今日が初日かもしれない。

これもフィリピンの洗礼なのだろうか。


それとも本人がただ不運なだけなのか。


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