貧困率だけを見てジニ係数を無視するのはアンフェア




人が何かを視聴するときに、自分に都合のいいデータだけを並べて、主張の裏付けとならない、あるいはそれを真っ向から否定するようなデータについては無視するということは一般に行われているし、ある意味で言えば、プレゼンは主張を通すためのものであって、客観的な正しい判断を仰ぐものではないという風に定義するのであれば、その姿勢が必ずしも間違っているとはいえない。

しかしながら当然聞き手としては易々と騙されて話し手の誘導に応じるわけには行かない。

そのためには注意深い洞察が必要だし、反証となるようなデータが存在しないかということも気を配る必要がある。

たとえば最近よく言われていることとして、貧困率の上昇というものがあり、子供の居る世帯においては6人に1人が貧困であるとか、片親の家庭にいたっては54%を超えているというデータもある。

こういった子供関連のデータというのは往々にして世論を感情で煽るものである場合も少なくないので注意が必要。

社会的弱者であり保護の対象である子供を議題に上げることによって、自身の主張を美しいものに仕立て上げるという本来議論すべき論点からずらすというテクニックが頻繁に使われる。

確かに相対的貧困率と言うことで考えると、日本はOECDの中でもかなり上位に入っており、1980年代の半ばから相対的貧困率が上がっていく傾向にある。

その背景としては、高齢化によって所得が無くなる人が増え、十分に預貯金や不動産等の資産を持ち、暮らしに困っているわけではないものの、相対的貧困率の定義からすると可処分所得の中央値の半分以下という判定を受ける世帯が増えたりとか、後は非正規雇用が定着していくことによって派遣社員や契約社員、さらに言えば、フリーターやパート等の雇用が増えて言ったことによって現役世代の中でも格差が大きくなったことが上げられる。

それ以外にも、イノベーションとかグローバル化さらには離婚率の上昇による相対的貧困率の高まりを論じる声もある。

ちなみにOECDの統計によると、日本の相対的貧困率は、イスラエル・メキシコ・トルコ・チリ・アメリカに次いで6番目となっており、スペインやギリシャ・イタリアよりも高い結果となっている。

ちなみにこのときの相対的貧困率は日本は16%でスペインが15.4%、ギリシャが14.3%、イタリアが13%となっている。

ヨーロッパの経済危機に見舞われた南欧諸国が日本よりも相対的貧困率が低いというのはショッキングに見えるが、これは2010年のOECDのデータなので年を追っていくとまた数字が変わっていくものと思われる。

また、貧困率には相対的貧困率のほかにも絶対的貧困率というものもあり、さらに言えばジニ係数等の複数の指標があって、どれがベストであるということを一概には言えない。

これ以外にもたとえば世界貧困線は1日あたり1ドル以下という基準を設けているが、これが日本に当てはまらないことは容易にわかる。

しかしながら、ジニ係数のような指標を見てみると、むしろ格差は小さくなっているという結果も出ているので、一概に日本人が貧しくなっているとか格差が激しくなっているかというと、その点については疑問も残る。

また、肌感覚として言うと、私がしばらく移住生活をしているこのセブという土地はまだまだバラックが多数残り、ITパークやアヤラーモールのような中心地のすぐ近くであっても何日も洗濯してないであろう服を着た人たちがバラックに住み、日本であれば考えられないようなボロボロの店で普通に買い物しているという光景が広がる。

日本に一時帰国して、『セブよりも日本のほうが貧困が激しい』と言われてもやはりピンと来ないという部分はあるし、どのレベルで貧困を論じるかによっても話は大きく変わってくるだろう。



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執筆者、伊田武蔵
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