海外移住の資金はいくら必要か体験者が明かした

バンコク
海外移住のための資金に必要な金額はどの程度か?

いくらあれば困らないか?

これまで2度の移住の経験から、
その目安をお伝えしようと思う。


私の場合、まずは日本からマレーシアに移り、
2年の居住の後でフィリピンへ来た。

そして、この2回の間には大きな金額の差があったので、
そのことも合わせてお伝えする。


移住の際の初期費用


海外移住の初期資金として必要なのは、
渡航費用(航空券代)、部屋が見つかるまでのホテル代、
賃貸物件の初期費用、または購入する場合はその費用、
携帯電話等の生活に必要なものの雑費等。

これに加え、現地で就労して仕事をする場合には、
給料が振り込まれるまでの間の生活費も求められる。

そして、国によって資金の大きな差につながるのは、
賃貸物件に支払う最初の費用の部分。

この点は、マレーシアとフィリピンを比較しながら
見ていくのが分かりやすい。


家具・家電は自前で用意しなくていいことが多い


海外では家具や家電が最初からついている
fully furnishedの部屋が多い。

それであれば、
かさばる家具を持っていく必要はないため、
持ち物も最小限に済ませることが可能。

海外引越の業者を使うか、
あるいは自分で持っていける範囲で済ますかでコストは変わる。

まだ住所も決まっていない状態だと、
荷物を郵送するのも大変なので、
いい機会だと思って私は海外移住時に
大半の持ち物を処分してしまった。


おかげで、最初にマレーシアに移った時には
預入荷物が1つと手持ちのバッグが1つ、
フィリピンに行った時は機内に持ち込める荷物だけになった。

こうして荷物が少なくなって身軽になると、
海外移住のハードルが下がっていく。

特に家具が付いている部屋であれば
ホテルに行くような感覚で引っ越せるため、
別の国に住むためのフットワークを軽くしていくことが可能。


マレーシアの場合

クアラルンプールの花屋
初めての海外移住となったマレーシアの場合、
まず日本からの片道の航空券代が必要だった。

日本の税務の関係でなかなか渡航の日取りが決まらず、
バタバタしていたこともあって
直前に割高な航空券を買うことになってしまったが、
それが4万円代。

もっと時期を前もって決められれば、
LCCのキャンペーン等を利用して安いフライトにすることも可能。


事前に知人に不動産会社は紹介してもらっていたので、
マレーシアに到着して早々に候補物件の内見に出かけた。

その日のうちにコンドミニアムの契約が決まり、
そこから入居までの3日はホテルに宿泊。


部屋の賃貸契約の際の費用

賃貸物件の契約に必要だったのは、
1ヶ月分の前払家賃と敷金に相当する2ヶ月分のデポジット、
水道光熱費の保障費のユーティリティーデポジットが5,000円ほど、
それからスタンプ税が多少かかった。

つまり、3ヶ月の家賃とプラスαの金額。

デポジットは問題がなければ返される。


マレーシアでは1年毎に住むコンドミニアムを変えたので、
2つの部屋に居住した。

それぞれ担当する不動産会社も違い、
1年目は退去になると仕事を全くしないどころか
連絡すらほとんど取れないという悪質な会社で、
デポジットの金額も退去後に聞いていた額と違っていた。

そのことを連絡すると、
「誰がそんなことを言った」と開き直る始末だった。

予想していたので退去時のやり取りは録音もしていたが、
関わり合いになるのが面倒だったので放置した。


2年目の業者からはデポジットが全額返金され、
特にトラブルになることもなかった。

マレーシアの不動産業者はいい加減なところも多く、
そもそもホームページを見て連絡しても
半数以上は返信すら来ない。

それを前提に部屋探しをしておかないと、
いつまでも来るあてのない返信を待って
いたずらに時間だけが過ぎていくことになってしまう。


他に生活のために必要だったのは、
月4,000円ほどのインターネット代や
携帯電話のSIMがたしか1,200円ほど。

車やバイクは所有しなかったので、
これらの資金は必要なかった。

マレーシアに移住して車を買う場合、
現地で輸入車(日本車含む)を購入すると
関税の関係で日本で買う時よりも高くなる。

街中ではTOYOTAやNISSANの車をよく見かけるが、
現地ではちょっとした高級車扱い。


MM2Hというリタイアメントビザを取ると
税金なしでの輸入が可能だが、
私はマレーシアで運転する気もなかったし、
ずっと暮らす気にもならなかったので
ビザだけ取って車は持たなかった。

なお、このMM2Hを取得する場合、
50歳未満なら30万リンギット(1,000万円程度)、
50歳以上なら半分の15万リンギットを
預託金として現地銀行に定期預金で入れる必要がある。

このビザがなければ移住できないわけではないので、
どんなビザで居住するかで、
この点の費用は大きく変わってくる。

就労ビザで暮らすのであれば、
リタイアメントビザであるMM2Hの取得はもちろん必要ない。


フィリピンの場合

マニラ
同じ海外移住でも、
フィリピンの場合はより多くの資金が必要だった。

というのは、賃貸物件の支払額が大きかったため。

これは単純に家賃の高い部屋に住んだということもあるが、
それ以上に商慣習の違いが大きい。


フィリピンでは初期費用が大きくなった

フィリピンの賃貸契約においては、
小切手を最初に12ヶ月分振り出し、
まとめてオーナー(大家)に渡すのが標準。

小切手の日付は1ヶ月ごとになっていて、
支払期日が来るとオーナーは小切手を引き出せるようになる。

これならオーナーとしても滞納や踏み倒しの心配をしなくていいし、
入居者も実際に銀行から引き落とされるのは1ヶ月ごとなので
特に不利益があるわけではない。


しかし、ここで外国人にはちょっとした問題が起こる。

あなたが日本からの海外移住を考えているのなら、
フィリピン人でもなければ、
今はまだフィリピンに住んでいるわけでもないはず。

そして、フィリピンの銀行は、
原則として非居住者の口座開設を認めていない。

つまり、住み始めて住所証明になる水道光熱費の請求書等を得るまで
口座を持つことができない。

銀行口座がなければ小切手も出せないので、
結果としてどうなったか?

12ヶ月分の家賃を最初に一括払い。


そこにデポジットが2ヶ月分加算されるので、
最初に14ヶ月分の家賃を一度に支払うことになる、
まとまった資金が必要だった。

月10万円の部屋に住むのなら140万円、
家賃が15万円なら210万円ということになる。

また、それなりに大きな金額になるため、
不動産会社の口座に香港から海外送金をしたのだが、
それにも2日ほど時間がかかった。

というのも、1日の送金上限額を越えていたため。

日本からの移住の場合、
どのようにして送金するかも考えておく必要がある。

すでにフィリピンに来ているのなら、
わざわざ日本の窓口まで出向いて
海外送金の手続きをするわけにはいかないので。

そこら辺も色々方法はあるが、
なにしろ変更が頻繁なので
メルマガでリアルタイムな情報を共有したいと思う。


その他の費用はマレーシアと大差ないが、
ある程度の現金が必要というのがフィリピンの特徴。

ただし、入居後に銀行口座の開設をすれば、
それ以降は小切手が使える。

つまり2年目以降は小切手による月ごとの支払いが可能なので、
このようなまとまった資金は要らない。


ちなみに、私がフィリピンに移住した際には、
マニラあるマカティ市に住んでいた。

その後、1年半ほどホテル暮らしをしながら色々な国を周り、
それからセブ島のコンドミニアムを借りた。

同じフィリピンなので、
もちろん銀行の小切手は使用できる。

おかげでこの時には家賃を一括払いではなく、
小切手だけまとめて渡して月ごとの引き出しとなった。


国や居住形態による差は大きい

同じ海外移住の資金と言っても、
マレーシアとフィリピンでは初期に必要な金額が
家賃11ヶ月分違った。

毎月の収入は安定していても
まとまった現金がないという場合には、
あらかじめ対策を考えておかないと厳しい。

交渉によっては、
6ヶ月分の家賃を前払いして、
残りは後日小切手での支払いということで
対応してくれるオーナーもいるが、
このあたりは不動産会社が一律に管理しているのではなく、
あくまで個々のオーナー次第。

言い換えれば、交渉次第ということになる。


まとめると、
海外移住に必要な資金の大半は、
賃貸物件の契約に必要なお金ということになる。

そして、その金額は国ごとの商慣習によって左右されるため、
あらかじめ下調べをしておく必要がある。

マレーシアのようなタイプか、
フィリピンのようなタイプかによって、
家賃11ヶ月分の金額の差が生じるので。

もっとも、結果的に支払う金額はどちらも同じなので、
異なるのは支払いタイミングだけ。

フィリピンの方がマレーシアよりも
滞在するのにコストがかかるわけではない。


入居前のホテル代については、
HotelsCombinedBooking.comといった
ホテルの予約サイトを見ればあらかじめ金額の見当がつく。

また、airbnbを利用すれば、
ホテル代よりも資金を節約しつつ、
現地の住宅を体験できるというメリットも。

ある程度住みたいエリアが決まっていて、
不動産会社ともあらかじめ連絡が取れているのであれば、
一週間程度のホテル住まいになるのが一般的だが、
念のため資金は余分に用意しておいた方が安心。

また、ホテル代はクレジットカード払いをすれば、
まとまった現金を持ち歩く必要はない。


他の移住人気国の場合

台北
国によって住宅事情やビザの事情が異なるが、
ここでは私が住むことをシミュレーションし、
2ヶ月後には住む予定の台湾のほか、
特筆すべき事情がある国についても触れておく。

まずは台湾に移住する場合。


海外の中でも地理的・文化的に日本に近い台湾だが、
住み始めるためのハードルは低い。

ビザなしで入国しても90日滞在でき、
入出国を繰り返す場合の規制もゆるいため、
1年程度の生活にはビザが不要。

現地の不動産業者のオフィスを訪れて話を聞いたところ、
最初にデポジットで2ヶ月分の家賃と
1ヶ月分の前払家賃、手数料で家賃1ヶ月分が発生。

あとは毎月の家賃の支払いになるので、
初期資金は標準的。

フィリピンのように1年分を前倒しで払う必要はない。


また、賃貸物件は1年契約が大部分とのことだが、
仮に期間満了前に退去する場合には
デポジットから家賃一ヶ月分が差し引かれるだけ。

この点でも負担は小さくなっている。


ということで、台湾に移住する場合の資金は
家賃4ヶ月分と当初のホテル代、
日本から台湾への航空券代、その他雑費のみ。

台湾への片道航空券は安いときなら1万円を切るし、
日本の中で引っ越すのとコスト的には大差ない。


続いてタイの場合。


こちらは住宅事情は置いておくとして、
ビザの問題を考える必要がある。

以前と違って最近のタイはビザランに厳しいので、
移住にはなんらかのビザが必須。

リタイアメントビザは条件がゆるく、
80万バーツの定期預金をタイに入れておくとか、
複数ある条件の1つを満たせばいい。

ただし、年齡要件の50歳以上を満たさないといけない。


50歳未満でビザを取ろうとすると、
ビジネスビザは難易度が高い。

適当に法人を作ってもだめで、
タイ人を4人雇用しないといけなかったり、
黒字にしないと翌年以降のビザの更新ができない場合があったり。

実態としての活動が必須となる。


他にタイランドエリートカードやイージーアクセスがあり、
前者は20年、後者は5年滞在できるビザが付いてくる。

費用はそれぞれ200万バーツと50万バーツで、
約720万円と180万円。

これは定期預金に入れたりするのではなく、
タイ側に支払ったら戻ってこない。

そのため、ある程度の資金的な余裕がある場合のみ
検討対象となるもの。

50歳未満でタイに移住しようとする場合、
ビザを取るためのコストも考えておく必要がある。


国によっては数千万円単位、
あるいはさらに1つ上の億単位のお金が求められる場合もあるため、
時には生活費や物価の話が無意味に思えることも。

原則として先進国の方がビザの取得費用は高い。

ワーカービザは別だが、
リタイアメントビザや投資家ビザについては
この傾向が顕著になっている。

こうした事情もあるので、
海外移住を考えるならビザの条件をクリアするのが
もっとも大きなハードルになることが多い。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
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