多民族国家マレーシアに住んでみて見えてきた多文化社会の問題点とは




マレーシアは東南アジアの中でも、民族構成が多様であると言われる。

その為、いわゆる多文化社会と定義付けられるわけだが、それについて好意的な見方をする人もいれば、逆に問題視する人もいる。

実際にこの国に2年間住んでみて、見えてきたことについて記しておこうと思う。

まず、現実問題として、マレーシアは多文化社会といっても、基本的には3つの民族から構成されている。

まず一つ目は、圧倒的多数を占めるマレー系の人。

割合的に言うと、だいたい65%ぐらいになる。

次に多いのが中華系で、こちらは24%程度。

そして最後がインド系で約7%となっている。

マレーシアなのだから、マレー系が多いと思われがちだが、実際には約1/4が中国系ということだし、特にジョホールバルのような町であれば、なおさらその人数は多い印象がある。

逆にクアラルンプールでは、インド系が一部のエリア、例えば中心部のブキビンタンとか、そういったところではよく見かける。

当然ながら、こういった多文化社会とは、様々な軋轢をもたらすもので、実際に民族間対立というのは、歴史的にも度々起こっている。

それに対して、調整を行うために、ブミプトラ政策というものを作り、多数派を占めるマレー系の保護を図ったりもしている。

逆に言えば、政策的な配慮をしなければいけないほど、それぞれに民族対立というのは起っているわけだし、実際私の友人がマレー系や中華系の20歳過ぎの若者たちに話を聞いても、それぞれ差別をし、忌み嫌っているところがあり、「何であいつらと遊ばなければいけないのかわからない」といったような反応を示されたという。

これは別にマレーシアだけの話ではなくて、アメリカなどでも見られる傾向で、基本的には同じ民族であるとか、同じような国の出身地であるとか、そういった人同士で群れる傾向にある。

これは、国家というアイデンティティを持っている大人ばかりの話ではなくて、例えばアメリカの小学生とか、幼稚園児とか、そういった年齢であっても、同じ人種同士でかたまる傾向があるということは、もはや公然の事実となっている。

更に言うと、マレーシアの場合、単なる多文化社会ということではなくて、3つしか民族がないということもあり、それぞれの力関係というのも、意識せざるを得ない。

もちろん厳密に言えば、マレー系と中華系とインド系以外にも住んでいるわけだし、例えば、日本人もマレーシアにはかなりの数の移住者がいる。

とはいえ、日本人移住者がマレーシアという国家に、影響及ぼすほどではないし、それ以外の白人とか韓国人とか、そういった民族についても同様のことが言える。

では、主要な民族において、どのような特長があるかというと、マレー系はなんといっても人数が多いということ。

現在の民主主義の時代において、数の力というのは、それ自体が大きな武器となる。

数の論理において、約65%と最多の割合を占め、全体の2/3を近くを占めているマレー系というのは、この辺においてマレーシアのマジョリティと言える。

一方、中華系であれば、なんといっても、経済や政治の中枢に潜り込み、実質的に力を持っているということがある。

主にこの2つの民族が火花を散らしているところがあって、実際マレー系のペナンの議員が、家郷はカジノや非合法な事業によって利益を上げていると発言し、糾弾されたこともある。

これは、このペナンの議員特有の問題ではなくて、度々こういったことというのは、起っていると思われる。

単なる一政治家の失言というよりは、多くの国民が思っていることを、うっかりと立場を忘れて口に出してしまったというのが、実際のところではないだろうか。

最後のインド系に関して言うと、割合が少ない上に、基本的に貧しく、更に言うと、犯罪を犯す割合も人口比で見た時に多く、そういった意味で言うと、厄介者というだけで、これといった力を持っているわけではない。

インドネシアでは、中国人を大量に殺害する事件が起きたこともあったが、そういった極端な負の歴史だけではなく、日常的な民族間対立が起こるのが、多文化社会の現実となっている。

しかしながら、そういったことが非生産的であるだけではなく、場合によっては危険を及ぼすことにもなり兼ねないので、当然ながらマレーシアにおいても、普段はなるべくそういったことが起こらないように、配慮はされている。

基本的に宗教には寛容だし、何しろ3つの民族で、それぞれ主にイスラム教と、道教や仏教とヒンズー教というように、信仰している宗教も違い、更に言うとそれに伴って、ラマダンやハリラヤ、旧正月などが行われている。

よく言えば、互いの民族を尊重しているということになるし、悪く言えばまとめることができないので、それぞれを認めざるを得なくて、うまく祝祭日を整理統合できない状態であるとも言える。

こういったところが、多民族に対して寛容であるという風にも受け止めることが可能なので、そういった点において、マレーシアを称賛する声もあるが、実際に住んで、その国のニュースなどを見ていると、そこまで長閑な場所ではないということがわかるし、特にクアラルンプールなどに行くと、治安も特によくないということは、歩いていてもなんとなく感じることが出来るだろうし、いわゆる移住先ナンバーワンと言われるような国としては、あまりにもイメージと実態が伴っていないというのが、私が住んでみて至った結論。

そして、これまで世界各国回ってきたが、多文化社会になるほど、結局のところ治安が悪化していくし、特にそれは貧しい移民を受け入れることによって、傾向として顕著になっていく。



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執筆者、伊田武蔵
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