ベトナムは暦として旧暦を採用しているので、正月の場合も1月1日ではなくて、毎年違う日が正月という扱いになる。
このベトナムの旧暦の正月はテトと呼ばれていて、この時期は何かと普段と違う扱いとなる。
主にベトナム人労働者にとってはプラスに働くことが多く、例えばテトの前には2か月分の給料をもらうことができる。
日本で言う冬のボーナスとは違って、このテトの前の2か月分の給料は法的にも保障されているものなので、業績が悪いから出さないとか、あるいはその社員の働きが悪かったから支給しないとか、そういった企業側の自由は認められていない。
毎月給料が1か月分もらえるのと同じように、テトの前に関しては2か月分もらえるのがベトナムの労働者の当然の権利となっている。
さらに言うと、テトの時期においては様々な人からお年玉をもらうことができる。
労働者であれば上司や社長からもらうことができるし、あるいは店舗で働いている人であれば、常連客からもらうこともできるということなので、テトは労働者階級にとっては収入面でプラスの時期になっている。
では、気になる金額はいくらぐらいかと言うと、会社でもらうお年玉に関してはだいたい500円弱が相場で、関係が薄くなってくると支給される金額も小さくなっていって、一般の飲食店等で働いていてお客さんからもらえるお年玉は数十円程度になる。
このように、サラリーマンやアルバイトをしているベトナム人にとっては、テトの時期は金回りがよくなる一方で、出費も何かと多い時期でもある。
テトで休みを取ったと思ったら
休みも取れるので、里帰りをする人も多い。そこで起きる問題は、休暇後も戻ってこない人が存在するということ。
日本においても、ボーナス支給後に離職する人は比較的多いものの、ベトナム人はそれ以上にこうしてなし崩し的に退社する傾向がみられるらしい。
具体的にどれぐらいかと言うと、だいたい10%ぐらいの人が正月休暇が明けた後も職場に復帰しないでそのまま辞めてしまう。
会社によっては40%の人が辞めてしまう場合もあるということなので、こうなってくると通常営業ができないという問題も生じてくる。
ただでさえ、テトの時期の前後は、ほとんどの業種において売上が下がる。
というのも、まともにビジネスが回らなくなるというか、たとえ休暇前であっても、役所や会社が一部、事実上の営業していないとか、そういったこともあるので、どうしてもその時期は、通常のビジネス活動ができなくなる。
マレーシアのラマダンとか、フィリピンのクリスマス前も同じような状況になるので、こういった感覚は納得できる。
経営者としては、出費が増える一方で売上が落ちるということで、テトの時期は毎年かなり苦労するらしい。
そして、テトが終わって戻ってこない社員の分を補充しようと思って雇用する企業が多いので、この時期はどうしても求人が増えて、新しい仕事を見つけやすい時期ということになっている。
ちょうどテトの終わりにホーチミンを訪れ、そのまま北上してダナンやフエ、ハノイを訪れたが、タンソンニャット国際空港からホーチミン市内まではガラガラで、ピナサンタクシーに乗って15分ほどで到着した。
その時はさすがに閉店している店が多く、空港近くほど閑散としていた。
その時にはホーチミンに移住して現地の日系会社に勤務している女性とブイビエン通りのクレイジーバッファローというバーで食事をしたが、あの後の時期の社内は大変だったのかもしれない。