ベトナム(ホーチミン、ハノイ)の物価を現地で確認してきた




ベトナムは物価が安い国として、旅行先や移住先として名を上げられることもあるが、実際のところどうなのか、周辺諸国との比較もしながら、現地に入って調べてみることにした。

今回対象となったのは、南部のホーチミン、そして北部のハノイに加えて、中部のダナンとフエも行ってきた。

本来は、中部のホイアンにも行ってくる予定だったが、思いのほかフエの居心地が良かったこともあり、そちらでの滞在日数を増やすためにホイアン行きは次回にまわすことにした。

まず最初に、ベトナムの物価の安さを感じたのはタクシー料金で、初乗りが9000ドン、日本円にすると約45円だった。

ホーチミンにある、タンソンニャット国際空港からブイビエン通りやファングラオ通りの近くにあるホテルまで、約7キロの距離だったが、金額は900円弱。

日本と比較してももちろんそうだが、東南アジア諸国でもかなりタクシー代は安い。

逆に、ホーチミンにしろハノイにしろ、地下鉄やスカイトレイン等の使いやすい公共交通機関はなく、旅行者にとってバスはハードルが高いので、基本的にタクシーでの移動が多くなるが、その点の負担は非常に小さい。

ちなみにハノイの場合は、空港から街中まで距離があり、ホアンキエム湖という中心部まではだいたい1700円位だった。

尚、ベトナムにはバイクタクシーも数多く存在していて、道を歩いていると声をかけられることも頻繁にあるが、荷物を持っていると危ないし、ヘルメットも着用しなければいけないので、使いまわしで衛生的に問題があるのかも不安が残る。

そして、メーター製のタクシーと違い、バイクタクシーは金額は交渉性で、こちらが外国人であると思ってそれなりに料金を吹っかけてくるので、結局は普通のタクシーを使った方が安かったりする。

ただし、バイクタクシーのメリットとして、バイク専用レーンが用意されていたり、車の間をすり抜けていけるので、到着までの時間が早いということが挙げられる。

尚、ベトナムにおいてタクシーはメーター製であると決められてはいるが、実際にはメーターを使わないドライバーも多く、安心して乗れるタクシー会社としては、ピナサンタクシーとマイリンタクシーが有名。

私もこの2社を主に使っていたが、トラブルに見舞われることはなかった。

以前住んでいたマレーシアと比べると、タクシーのトラブルは少ない印象。

ベトナムのタクシーの評判は悪いが、マレーシアに比べればかわいいものという印象を受けた。

それ以外のホーチミンやハノイでの基本的な物価として見てみると、ワインミーというフランスパンに、ペーストや野菜をはさんだサンドイッチだと、だいたい市内のスタンド、つまり屋台で食べた場合70円位から、チェーという氷菓子だったら60円程度から、ローカルな食堂で麺料理を食べるのであれば150円位からとなっている。

その一方で、ある程度の品質水準というか、格の店であれば、特に安いわけではなく、例えば、ベトナムに進出しているスターバックスやハイランドコーヒー、コーヒービーンズといったチェーン系のカフェに入った場合、コーヒーが1杯で300円以上する。

ここら辺は、日本と大して物価の差がなく、現地を考えると割高だが、店は賑わっているというのが不思議なもの。

しかも外国人ばかりならわかるが、ベトナム以外のタイやマレーシア、フィリピン等と同じで、ローカルの人も大勢いて、日本とは異なる消費傾向を見てとることができる。

ホーチミンで和食を食べようと思えば、ランチセットでも800円位からが多いので、この辺りもベトナムの物価とは独立して歩みを進めている印象。

それに対して、ホーチミンのブイビエン通りという多くの欧米人が集まっているエリアだと、おしゃれなバーに入っても、本格的なハンバーガーやパスタが600円位で食べられたり、意外と洋食系は高くない印象がある。

もちろん、きれいに整ったイタリアンレストラン等に行けば、1食1500円位はするし、この辺りは先進国との差が小さくなってくる。

これはベトナムの物価に限らず、東南アジアの新興国に共通して言えること。

そのため、外国人として外国人らしい暮らしをする場合には意外と生活費は下がらない傾向にある。

ビールで比較してみるのであれば、ローカルなレストランで瓶ビールを頼むと80円位で飲めるが、ちゃんとしたレストランになれば300円位するし、ホーチミンの夜景が見えるおしゃれなバーでカクテルを飲んだりすれば、1杯が700円から800円位することもある。

このように、一言でベトナムの物価が安いと言えるわけではないし、どの層に向けた商品かによって変わってくるし、あるいは店によっても大きな違いが出てくる。


市内で買い物をした場合の物価水準

ベトナムには多数のコンビニが進出していて、ビズマートやショップアンドゴー、シティーマートといった日本人には馴染みがないものから、サークルK、ファミリーマート、ミニストップといったお馴染みのものまである。

こういった店に入ると、どの位の物価で買い物ができるのかというと、例えば、500ミリリットルのローカルのメーカーの水であれば25円程度から、これに対して、エビアンであれば150円位はする。

このように、ブランド価値があるかどうかで大きく金額が変わってくる。

350ミリリットルの缶ビールであれば50円位で売っているし、コカコーラもだいたい45円位から。

ちょっと変わったところだと、おたふくソースは900円位していて驚いたことがある。

もちろん日本食材店であれば、価格が上がるのは当然のことだが、だいたい2倍から3倍位の価格というのが、東南アジアの日本食材店の相場なので、900円というのはかなり割高な印象を受けた。

それ以外でも、映画であればだいたい6万ドン位なので、日本円にするとだいたい300円位から。

ベトナム式マッサージであれば、1時間800円位からだが、場所によってはチップの請求が激しいらしい。

特に、ドンコイ通りにある一部のマッサージ店だと、法外とも思える位のチップの金額を要求してきて、断ると乱暴な扱いを受けたりとかそういった被害も報告されているので、そこら辺は厄介なところだが、幸いなことに、私が滞在している間は、ホーチミンでもハノイでも、そういった悪質なマッサージ師に遭うことはなかった。

少し変わったところだと、アオザイをオーダーメイドした場合、だいたい8000円位となっている。

アオザイとは、女性が着るベトナムの民族衣装で、チャイナドレスに近いが、もう少しシックなイメージのデザインになっている。

他にも、フェイシャルエステであれば1500円位から、ヘアサロンであれば、ローカルの場合300円程で切ってくれるらしいが、こちらは未体験なのでよくわからない。

もちろん、きれいな店であれば、数百円で切ってくれるわけではなく、3000円とか4000円で切ってもらうことになるので、ここも店によって差が激しいところの一つ。


ベトナムで特に安いのは・・・

旅行者としてベトナムの物価を見た場合、特筆すべきはホテル代の安さ。

例えば、すぐ近くのバンコクは、東南アジアの中でも比較的ホテル代が安いが、バンコクで1万円のホテルが、ホーチミンやハノイでは7000円程度、中部のフエやダナンにいたっては、下手をすると5000円は切る場合もあるという印象。

旅行者にとって、ホテル代は大きな出費となるし、この部分が安いというのは、水のような細かい出費を節約するよりもはるかに大きな効果をもたらす。

トリップアドバイザーの調べによると、ハノイは世界一旅行者にとっての物価が安い国と評価されたこともあるが、ホテル代に限ってみると、確かに東南アジアの中でも特筆すべき金額となっている。

単純にタイよりもベトナムの方が経済的に遅れているのだから当然という話でもなく、例えば、ミャンマーのヤンゴンであれば、バンコクの2倍位ホテル代がかかることもあり、単純に国の経済力とホテル代は比例しているわけではない。

そう考えてみると、ベトナムにおいてホテルの質と価格の関係というのは、非常にコストパフォーマンスの高いものとなっている。

次の訪問は、ビザ無しではなく、観光ビザを取得して、3か月ベトナム中部にいようかと思っているが、その場合もこのホテル代の安さを考えると、わざわざコンドミニアム等を賃貸で契約するよりも、ホテル暮らしをした方が、無駄な手間がかからなくていいと思っている。


ベトナムのお金で困ること

ラオスやインドネシアと同様に、日本人旅行者というよりも、多くの外国人旅行者を戸惑わせるのが、ベトナムの通貨の0の多さ。

大まかに言えば、日本円を200倍にしたものがドンになるので、1万ドンが50円ということになる。

現地では、ドンの紙幣を見て0を2つ取り、更にそれを半分にしたものが大まかな日本円の価値として計算していたが、何しろ桁が多いので把握しづらい上、口頭で金額を提示する場合も、看板等に金額が書かれている場合も、0を2つ省略している場合と、0を3つ省略している場合があり、どちらかによって、10倍の価格差になってしまう。

そのため、交渉の際には、慌てずに頭の中で計算して、購入を決定する前にこの金額で間違いないかというのを実際にお札を出して見せておく方が安心。

間違っても、それらしいお札を何枚か用意して、向こうに狙わせるというのはしてはいけないこと。

これは無知に付け込んで、一桁多く取られる可能性がある。

逆に、バイクタクシー等であれば、料金が後払いなので、最初にお札を提示してそれで間違いないかという確認をとっておかないと、後で言いがかりをつけられる心配もある。

尚、ベトナム旅行中は小銭を受け取ったことが一度もない。

一応紙幣以外に硬貨も存在はするらしいが、あまりにも金額が小さいので、基本的には全て紙幣でのやり取りとなる。

1000ドンという紙幣があるが、これも日本円に直すと約5円なので、小銭がじゃらじゃらとするよりは紙幣に統一してくれた方が助かる。

ちなみに、私が手に入れた限り一番大きな高額紙幣は50万ドンだったが、これも日本円に直せば2500円程度の価値しかないので、数字の割には意外に金額は大きくない。

ビザプラス等のキャッシュカードを持っていれば、ATMから普通にドンをおろせるので、ベトナムに入ったらATMを使えば現地通貨を利用することができるし、米ドルで支払いができる場面が多い。

更に言えば、街中ではドル表記の店とドン表記の店があるが、例えばドル表記の場合であっても、ドンでの支払いを断られたことはない。

尚、ベトナムの物価はかなり急激に上昇しているので、相対的に見ると日本との生活費や旅費の差は徐々に狭まっている。


近隣諸国と比べると?

ベトナムを旅行するということを考えた場合、タイやラオス、カンボジア等がすぐ近くの国として存在するが、交通の容易さということを考えても、あるいは年間の訪問者数を考えても、特に影響が大きいのはタイだと思われる。

では、バンコクと、ホーチミンあるいはハノイを比較した場合にどうかというと、まず先述の通り、ホテル代に関してはベトナムの方が3割から4割程度割安な印象。

しかしながら、それ以外の食費等の部分では大きな差はなく、両者は拮抗している。

ただし、レストランの質や食の多様性ということで言えば、圧倒的にバンコクに分があり、勝負にならないというのが現状。

バンコクが通ってきた道を、ベトナムのホーチミンやハノイが追っているというのが今の段階で、市内交通を見てもスカイトレインやMRTによって、空港からも、あるいは市内の移動もスムーズにできるバンコクに比べ、タクシーに頼らざるをえないホーチミン、そしてハノイは、まだまだこの点についても不便。

当然ながら、市内移動については、公共交通機関が発達しているバンコクの方が割安だし、トラブルに見舞われることも少ないので、旅行者として気楽に移動ができる。

とはいえ、市内交通にかかる金額といえばたかがしれているし、ホテル代の安さを考えれば、やはり物価だけならベトナムに軍配が上がると言っていいだろう。

そう考えてみると、バンコクは質の高さや選択肢の多さが強みで、ホーチミンやハノイは安さが魅力ということになる。

とはいえ、アクセスのしやすさということを考えると、バンコク経由でホーチミンやハノイに入ることも多く、その移動の手間を考えると、わざわざベトナムまで繰り返し足を運びたいかということになると疑問が残るのも事実。

ビザ無しだと15日しか滞在できないという制約もあり、個人的には3か月有効な観光ビザを取りに行って、それからその3か月をホーチミンでもハノイでもなく、中部のフエやホイアンでリラックスしてのんびりと過ごすというのはありだと思っているし、来年上旬のプランとして有力候補になっている。



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執筆者、伊田武蔵
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