クアラルンプールのフェデラルホテルの中に入っている海宝丸という寿司屋に行ってきた。
寿司屋に行ってきたと言っても実際に食べたのは寿司ではなくてタラの鍋。
この店というのはかなりの高級店らしく、寿司に関して言えば二貫で1500円とか。
下手をすると2000円、3000円するようなものも置いてある。
ほとんどのスタッフはマレーシア人なので、かなり人件費も安く抑えられるわけだし、それでいて日本でもそこそこ高級店の寿司屋と同じような金額がするので、かなり利益率というのは高いのではないかと思う。
尤もすべての商品が高いわけではなくて、タラの鍋に関して言えば700円とか800円でお腹いっぱい食べることが出来るので、かなり商品によって差があるという印象は受けた。
他に焼き物や煮物というのも、1000円しないものがかなりメニューとして多かったので、寿司に関してはこっているということでかなり強気な値段設定になっているのに対して、それ以外の和食というのは、クオリティが高い割にはお手頃な値段で食べることが出来る店だった。
そしてこの海宝丸の中には何冊か雑誌というのも置いてあって、普段は手に取ることのない週刊現代の紙面というのを見る機会があった。
その中で空鉄という空から空撮した鉄道の様子というのが特集されていた。
しばらく日本には戻っていないとはいえ、各地で電車を見るということはある。
実際に今日もクアラルンプールのモノレールや、あるいは鉄道を目の前で見たということもあった。
しかしながら、こういった見慣れた風景であっても見る角度を変えることによって、文字通り全く別の景色になる。
まして空撮するように真上から見るということは通常であればなかなかないので、非常に新鮮な光景として雑誌の中で紹介されていた。
例えば、これはホテルの自分が泊まっている階から外を眺めた場合と実際にその道を歩いた場合に、全く別の景色として見えるということにも似ている。
例えば、いま私が泊まっている部屋からはクアラ・ルンプール・タワーという特徴的な建築物が見えているが、道を歩いていると周囲の建物に阻まれて、クアラ・ルンプール・タワーは目にすることが出来ない。
ということは、ホテルの部屋から見た景色を頼りにクアラ・ルンプール・タワーの方向で周囲を理解しようとしても、そもそもこのタワーが見えないので困ってしまうことになる。
こういったことと言うのは別に利便性の面について色々と言いたいわけではなくて、物事を見る視点として非常に面白いということ。
これはただ単に物理的な意味での角度を変えれば景色が変化するというだけのことではなくて、ものの見方というのは立場によって違うものなので、精神的な意味で言っても、あるいは主義主張の面から言っても自分の立場に凝り固まるのではなくて、色々と角度を変えてものを見ることが出来る人の方が人生において得をすると思う。
例えば就活に失敗したということも、起業のきっかけであるとか日本の雇用組織の在り方への疑問とか、そういったものに気づくためのきっかけとして考えれば、肯定的な解釈が出来るかもしれない。
これもまたものの見方を考えた時に出てくる、少なくはないメリットの一つではないかと思う。