なんでジョホールバルだったんですか?」
そんな質問を受けるたびに苦笑いをしてしまう。
たしかにそう感じてしまうのも無理はない。
これまで、日本人がマレーシアに住む場合、
クアラルンプールかペナンというのが常識だったので。
シンガポールに隣接するとは言え、
なぜわざわざ地方都市を選んだのかは不思議なところだと思う。
私がジョホールバルを移住先に選んだ理由は、
投資修行の場として最適だと判断したから。
2011年当時というのは、ジョホールバルが投資家の間でも
注目を集めている時期だった。
その背景には、
シンガポールと敵対的な前スルタン(ジョホール州の王)の死去や
イスカンダル計画という国家プロジェクトで、
大きな発展が確実視される街になったことがあった。
現場感を得るためにマレーシアへ移住
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マレーシアの発展の空気感を皮膚感覚で体感するため、
現地に腰を据えて暮らし、様子を観察することにした。
日本に住んでいた頃には、
どうしても新興国の息遣いを感じる機会がなく、
ぴんと来なかったので。
せっかくなので最前線を体感することに決めた。
実際、ジョホールバルに住んだおかげで、
ただでさえ人口密度が低い中で過剰な開発が行われていたり、
現状でも廃墟が集まるエリアができていたりすることも分かり、
エリアごとに明暗が分かれることも予測できた。
また、注目されていたヌサジャヤエリアについても、
多くの不動産業者が語るような
明るい見通しは持てないというのが率直な感想。
あまりに広大な更地の新規開発となり、不確定要素が強すぎる。
実際、資金繰りの悪化によって当初の計画を維持できず、
病院付きのコンドミニアムを建築する予定だったのに
その病院を外すことになったデベロッパーの話も聞いた。
購入者にとっては事前の説明と異なるわけだが、
返金等の対応もないらしい。
今後、ヌサジャヤエリアが予定通りに発展するのか、
虫食い状態になるのかは不明。
どちらにしても、投資家としては
うかつに手を出すべきではないと判断した。
2年以上根を張って住んだので、
そこで得られた知識は大きい。
しかも、ジョホールバルでじっとしていたわけではなく、
投資修行のために各国の物件を見て回っていたので、なおさら。
この当時は、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、バンコク、
プーケット、ビエンチャン、香港、深セン等、アジアが中心だった。
2年後に投資修行のため再び移住
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マレーシアでの2年の生活の後は投資家としての見識を広げるため、
フィリピンの首都マニラの商業地、マカティに移った。
単純に住みやすいという理由もあったが。
フィリピンも新興国として安定的な成長を遂げている国。
しかもマレーシアと異なり、人口も多い。
人口3,000万人程度のマレーシアに対し、
フィリピンは1億人以上。
人口密度で考えても、
フィリピンの方が有望なのは事前に予想がついた。
まして多くの島で形成される国であるため、
インフラ等の利便性が高いエリアはいっそう貴重になる。
この新興国の中でも発展著しい国の中で、
特に開発が進んでいる街の真実を見るため、
物件視察を日常的に行いながら、
マカティに住むことにした。
ショッピングモールには不動産の販売ブースが並び、
街中にショールームも多数あり、
不動産を見て回るには最適な環境だった。
自宅を捨ててホテル暮らし
マカティで1年が過ぎ、2014年からは一箇所に拠点を持って
1つの街を定点観測するのではなく、
拠点となる自宅を持たずに各国を転々とし、
より広い視野で各地の情勢を見て周れるようにした。
各国のホテルを渡り歩きながら、
それぞれの国の不動産事情を調べたり、
銀行の口座開設の可否や条件をオンタイムで確認したり。
アジアはもちろん、ヨーロッパやオセアニア、北米も周ってきた。
こうして投資修行を続けてきた結果、
それなりに分散して資産を持つことができた。
今の段階では、8ヶ国に資産を分散している。
![](https://ijuusya.com/toushimap-1.jpg)
もはや資産の9割以上は日本ではなく、
海外に置いている状態。
投資修行は今後も続いていく。
もはや趣味でもあるし、
特に不動産を見に行くのはワクワクするので。
一方で、各国の不動産を見ていて、
アジアの新興国の過剰な値上がりには、あぜんとする。
先進国を含む世界的な金余りの影響を受け、
投資マネー・投機マネーが流入していることもあり、
圧倒的なスピードで物件価格が上昇してしまった。
その影響はスリランカやモンゴルのように、
一般にはそこまで注目されていない国にまで及ぶ。
そういった意味で、
大雑把に国単位でチャンスを見つけられる時代は
すでに終わったと見るべきだろう。
現在の市場は、
もっと細かく丁寧に物件を選ばなくては
話にならない段階に達している。
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