これまで、中国に住む日本人と会う機会が多かった。
多いパターンは上海や北京、深セン、広州等で仕事をしている人で、
香港やマニラでの食事会で一緒になること。
他にも珠海に家族で移住して数年住み、
中国の反日デモがひどくなった時期に
珠海からセブへ引っ越した一家もいる。
あるいは結婚して現地に住むようになった人も。
それにしても、
住環境という意味では衝撃的な話を聞くことが多い。
手洗いでは食べられない野菜
たとえば、日本なら野菜を料理する時は水で洗ってから皮をむいたり、切ったりするが、
中国では水に漬けてから野菜専用の洗剤を使って洗うという話。
食の安全が脅かされている国なのは周知の事実だが、
洗剤を使わないと食べられない野菜の内部に
農薬等が残留していないとは考えがたい。
表面だけ洗い落としても、
それだけで安全が確保できるとは考え難く、
身体の内側から脅威にさらされている感じがしてならない。
私が会った中国に住む日本人の中でも、
食べ物の安全性について無頓着な人もいたし、
それが理由で他の国に住みたいと語る人もいた。
後者の人も駐在員として上海に勤務しているため、
勝手に帰国する訳にはいかない。
駐在員として手当は充実しているものの、
PM2.5や水の汚染等も含めた健康被害を考えると
日本に戻って働くか、
あるいは別の国に赴任したいと言っていた。
駐在員と言えば現地在住の外国人の中でも
ある意味では特権階級のエリート。
現地採用よりもずっと報酬が高く、
住宅手当等も出るので生活水準が上がる。
それでも中国に住むように命じられたことを
不満に思っている人も少なからずいる。
反日デモに遭遇した人の話
反日デモでは身の危険を感じたという人も。特に家族持ちの場合はこの傾向が強いようで、
先程の珠海の一家も小学生の息子さんがおり、
元々中国で働いていたわけではなかったため、
セブへの移住を決めるきっかけになったという。
元々SEなので仕事をする場所は自由で、
日本から中国へ行っても、
そして中国からフィリピンに移っても
仕事は影響なく続けられるのが彼らの強み。
一方、知人の中には反日デモを偶然目にして、
見た目で日本人と中国人の区別がつかないのをいいことに
どさくさに紛れて一時的に合流してみた人もいた。
いざという時は、
地方から出てきた中国人を演じれば
中国語のイントネーションがおかしいのは
ごまかせると踏んだらしい。
現地になじんだ服装をしていて、
一通り中国語を話せるという条件を考えれば、
たしかに日本人と発覚することはなかなかないのかもしれない。
中国本土と香港の格差
中国でのマナーの悪さと、
香港との違いを指摘する話もあった。
中国本土で足を踏まれても謝られることがなく、
そのまま当たり前のように相手が歩いて行くことに慣れると、
香港のネイザンロードの雑踏で足を踏まれた時、
香港人が謝罪の言葉を口にしたのに驚いて
咄嗟に反応できなかったという。
たしかに、予期せぬタイミングで話しかけられても
うまく返せないのは普通のこと。
そして、中国人のマナーが日常的に基準になると、
たとえ香港であってもギャップを感じてしまうのだろう。
香港から国境を越えて自宅のある街に戻って、
殺伐として空気になんだか嫌気が差してしまったという。
また、公共のトイレでも喫煙がひどく、
中に入った時に白いもやのようになっていることも。
これは私も中国を旅行した時に見かけたが、
喫煙に関する感覚が世界的に見ても特殊。
こうした環境に衝撃を受ける日本人も多いが、
北京や上海、広州のような大都市では改善されている一方、
地方に行くと以前の風習がそのまま色濃く残っている傾向にある。
在中日本人の間でも意見が分かれる
中国に住んでいる日本人の中でも、成長が著しくチャンスの多い中国で仕事をしたいという人もいれば、
うんざりなので早く帰国したいと嘆く人も。
好き嫌いが分かれる国なのは予想通りだが、
日本人が駐在員として派遣される可能性が高いだけに、
社命で強制されるのは恐ろしいところ。
蘇州や大連も含め、
日本人が駐在員として送られる国としては
アメリカと並んで中国はまだまだ多い。
チャイナリスクや人件費の高騰が指摘されて久しいが、
国別の日本人在留者数では
アメリカに次いで二位なのだから。
また、珠海や深センのような国境沿いの街であれば、
滞在期間(15日)以内に入出国を繰り返して
ビザなしで住む手もある。
面倒なビザ手続きなしで住めるのは魅力的だが、
中国に移住しようという気持ちは今のところない。
これまで、台湾やフィリピン、マレーシアで暮らしてきたが、
やはり住環境として中国より優れた国は無数にある。
たとえば、先進国の中でも
ビザなしで1年程度住める国もないわけではない。
そうなると、珠海や深センに住もうとは思わないし、
ビザの問題が解消されても北京や上海も含め、
中国でわざわざ暮らそうとは思えずにいる。
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