台湾は永住権(永久居留証)取得への道が開けている国の1つで、
取得条件として7年以上の台湾での滞在が求められている。
ただし、台湾人と結婚している場合には、
期間が7年ではなく5年に短縮される。
ここで言う滞在の定義とは、
1年のうち半分以上の期間、
つまり183日以上を過ごしていること。
以前は1年のうち270日以上が条件だったので、
この点は緩和されている。
ただし、永住権を取得しても、
台湾で就労を希望するなら、労働許可は別に取らなければいけない。
永住権取得のための書類
永住権を取るために以下の書類が必要。・永住ビザ申請書
・カラーの証明写真
・パスポート本体およびパスポートのコピー
・居留証および居留証のコピー
・健康検査証明書
・財産または特殊技術証明書
・直近5年間の警察証明(日本と台湾のものがそれぞれ必要)
・その他証明書(戸籍謄本・結婚証明書・労働許可証)必要だと求められた場合
これ以外に、
就労ビザで滞在していた場合には
労働許可証や会社在籍証明、
配偶者ビザなら親族証明等が必要。
ただし、合法居留期間中の出国が
都度3ヶ月以内である場合に限り、
健康検査証明書や日本の警察証明は不要。
台湾に住んでいて日本まで行って
警察証明(通称、無犯罪証明)を取得するのは
なかなか面倒なのが実際。
私はフィリピンの永住権や
マレーシアのリタイアメントビザ取得時に
帰国するのが面倒で大使館を通して手配したが、
これは2ヶ月〜3ヶ月を要したので時間がかかった。
この警察証明が要らないのは
条件さえ満たせばメリットとして大きい。
永住権の取得条件
上記書類の他にも、取得条件として、・年齢が20才以上
・品行方正であること
・相当な財産または技術を有し、自立している
・中華民国(台湾)の国益に貢献する
といった要項もあるものの、
年齢以外はほぼ実務的に関係ないと考えて差し支えない。
なお、永住権取得のための費用は、1万元。
梅花カード(投資永住権)
この他に、投資による永住権取得も可能。梅花カードとも呼ばれるもので、
条件として1500万元以上の投資を台湾で行い、
5人以上の台湾人を雇い、
3年以上事業を継続することが条件。
状況によっては、
梅花カードの方がハードルが低いかもしれない。
とは言え、
そこそこの投資額である上に、
現地の人を5人も雇うとなると
かなり限られた人にしかメリットがない気はする。
では、台湾の永住権のデメリットとは何か?
永住権のデメリット
他国でもありがちなことではあるが、
年間に滞在日数の制限がある。
もっとも、これは上限ではなく、下限の話。
つまり、年間滞在日数が183日を下回ると、
永住権が失効してしまう。
1年のうち半分以上滞在しなければいけないため、
この手の永住権はその性質上、一国でしか持てない。
たとえば、イギリスも同じように
183日以上の滞在を永住権継続の条件に挙げているため、
台湾とイギリスで永住権を保持し続けるのは不可能。
1年の半分以上の日数を
複数国で過ごすのは不可能なので。
私がフィリピンで永住権を取得したのは、
こうした日数制限がないからだった。
台湾にも現在は移住して住んでいるが、
それはビザランによるロングステイ。
1年の後にはタイあたりに移住する予定。
こうした状態であれば、
将来の保険として永住権を持ちつつ、
滞在の義務はない状態を保ちたい。
台湾は居心地がよく、
現在暮らしている台中以外にも住んでみたい街はあり、
高雄や淡水にも興味がある。
食事も美味しいし、
言葉の問題はあるにしても生活の質は高い。
それでも、今後ずっと生活の大半を台湾で過ごすつもりはなく、
ゆえに永住権を取得できてもキープできない。
こうして、台湾での永住権の取得は断念した。
海外の永住権を取得する目的には、
将来の安心を確保する目的もある。
つまり、日本以外に居住権を確実に持っておくことで
日本のカントリーリスクに備えられる。
これは3.11の際に多くの日本人が意識したことだが、
地震大国である日本において、
震災は常に起こり得る。
原発が壊れて放射能が漏れ出す自体が
今後起こらない保証もどこにもない。
そういった場合に、
他の国に住める権利としてビザを持っておくこと、
特に永住権があることは心強い。
ただし、台湾は地理的に沖縄のすぐ先で、
石垣島にいたっては
別の国と思えないほど目と鼻の先にある。
遠泳が得意な人なら、泳いでいけるほど。
(事実、泳いでいった大学生の報道もあった)
地理的に日本とリスクが連動しやすく、
地政学的にも中国の驚異があるので
将来の安心のために永住権を得る国としては、
仮に日数の制限が撤廃されたとしても
台湾は不向きな面があるだろう。
リタイアメントビザという選択肢も
台湾には他にもリタイアメントビザがあるが、こちらは55歳以上という年齢制限がある。
この点に私は引っかかる上、
仮に取得できても年間滞在可能日数が180日と短く、
完全に移住することはできない不思議な仕組み。
永住権のように180日以上滞在しなければ
翌年に失効という話ではなく、
逆に180日までしかいられない。
これでは台湾で暮らすことはできず、
ビザランの方が便利である印象が拭えない。
各国のリタイアメントビザ制度を見ても、
この日数制限は制度設計に疑問が残るところ。
ちなみに、台湾には帰化の制度もあり、
合法的に3年以上滞在していることが条件。
帰化の場合も、永住権と同様に
年間で183日以上滞在したかどうかが
3年の条件の判定に使われる。
また、帰化に際しては言語の習得が必須で、
語学学校で勉強した証明書か、
試験を受けることになる。
帰化も特にメリットを感じないので、
今のところは見送り。
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