バイリンガル教育が無意味な3つの理由


海外に住むようになって、
バイリンガル教育は大した意味を持たないと感じるようになった。

大きく分けるとその理由は3つに分かれる。


二ヶ国語を早くから学ぶことの脳にとってのリスク

OECDが行った国際成人力調査(PIAAC)によると、
日本は読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力で
それぞれ1位という結果を残している。

日本人の基礎学力が高いのは、
単一言語しか使わないからという説がある。

人間の思考は言語による部分が大半なので、
早くから子供をバイリンガルにしようとした場合には
軸となる言語の習熟度が下がり、
深く物事を考えられなくなる恐れがある。

ある意味では知恵遅れのような状態で、
言葉は話せるものの基本的な考えが幼稚になる。

論理的思考の多くも通常は言語で行うので、
母語の言語能力が低ければ
論理的思考もできない。

こうなるとロジカルシンキングどころの話ではなく、
思考の限界を言語が決めてしまう。


たしかに2か国語を話せるようにバイリンガル教育をすれば、
語学の面に限ってみれば魅力的かもしれない。

ただ、その言葉を使って伝える内容がなかったり、
相手が難しいことを言っている時に理解できないというリスクが
早期のバイリンガル教育には付きまとう。


言語をツールであると認識するのであれば、
あるツールを使いこなすために
思考力や理解力を犠牲に差し出す結果になりかねない。

このリスクは幼児期における2ヶ国語の教育には付き物。

時にバイリンガルが不安定な人格になるのも
これが原因と言われる。


英語は万能の道具ではない


明治時代なら英語が話せれば
それだけで有能で希少価値のある人材だった。

今はどうか?

言うまでもなく、英語が話せるだけなら替りはいくらでもいる。

中国語や他の言語にしても、
需要がある言語はほとんどが
競争原理が働く程度には供給も満たされている。


たとえば、中国語は流暢に話せるものの、
中国の現地でがさつで非礼な中国人とタフな交渉をするのが
嫌だったとしたら?

なまじバイリンガル教育を受けたために、
やりたくもない仕事を押し付けられる結果になったり、
それを避けたら能力を発揮する機会はないかもしれない。

実際、中国やインドが今後の経済大国として注目されるが、
彼らの中で英語が話せない人は教育水準が高くない。

日本人と違い、
まともな大学を卒業している中国人やインド人は
総じて英語を使えるため、
中国語やヒンディー語でしかコミュニケーションできない相手は
それなりの教育しか受けていない。

そして、高い水準の教育を受けた層ほど
一般に国際感覚を身に着けているしマナーも良い。

では、そうではない層と関わって仕事をしなければいけないのは、
人生の幸福度を上げるのか?

これもバイリンガル教育のリスク。


そもそも、ただ二ヶ国語を話せるだけだったら、
大した貴重さはない。

もちろんそれだけで起業できる能力ではないし、
バイリンガルというだけでは企業も高く評価はしてくれない。


英語ができない役立たずよりは
英語を使える役立たずの方が若干はましなだけで、
結局は日本語だけ話せる有能な人材に比べたら
収入は圧倒的に低くなる。

重要なのはスキルで、
それを国際展開する手段として
他の言語が必要なだけ。

コアとなるスキルがない状態なら、
誰でもできるような雑務を引き受けるか、
通訳に近い仕事をするぐらいしか労働市場で需要がない。

収入の安定性の面でも能力がない以上、
バイリンガルとしての教育を受けても劣ることになる。

自分でお金を稼げず、
企業からも大して求められていないのだから。


バイリンガルの現実の所得水準


たとえばフィリピン人はバイリンガルであることが多く、
母語のタガログ語と英語を使いこなす人が多い。

とは言え、首都マニラの一番のオフィス街、マカティでも
賃金は5万円程度から。

バイリンガルの価値なんて国際的に見ればこの程度。


日本人が英語教育(もしくは他の言語の教育)を受ければ、
それよりは価値が高くなるだろう。

日本語という外国人が覚えづらい言語を使えるため、
他の国との架け橋になれるのは
それなりの強みにはなるので。

単純に日本の経済力があるので、その部分の強みもある。

とは言え、中国語とマレー語、英語が話せる
トリリンガルの中国系マレーシア人であっても、
月収は13万円程度という事例も。

英語・中国語というメジャー言語を使えても
この程度の月収に収まってしまう。

新興国にはこうした語学に長けていて、
なおかつ安くで働いてくれる人材がいる。


フィリピン人やマレーシア人で2か国語を話せる人に比べたら、
日本人が英語を話せる方が平均所得は高い。

ただ、日本でも早期の英語教育が普及していく中で、
バイリンガルになることで得られる優位性がどれだけ残るのだろう?

それしか能がないのだとしたら、
むしろ生き残っていくのは厳しいのではないか?

そんな気がする。



私はバイリンガル教育を根本から否定したいわけではない。

それさえやっておけば将来が安泰とか有望といった
神話に一石を投じたいだけ。

どうせ子供の教育なんて何が正解なのか
最後まで分からないのだから、
ベストを尽くすために色々やってみたい親心も分かる。

ただ、ちょっと語学を学ばせておけば安心というのは、
サラリーマンがどうでもいい資格を取れば
一生お金に困らないと誤解しているのと同じこと。


しょせんはその程度と思っておいた方がいいと思う。


ちなみに、私はマレーシアとフィリピンに住みながら
英語の勉強をしようともせず、
いまだに片言しか使えない。

それでも海外生活は送れているし、
海外で暮らすだけなら片言で十分だと感じている。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼント
することにした。


電子書籍の目次等も掲載しているので、
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