
スラム街やホームレスの生活を経験する試みが、各地でビジネスとして行われている。
例えば南アフリカのShanty Townでは、その地域のスラム街を模した宿泊施設、エモヤ・ラクジュアリー・ホテルが建てられている。
とはいえ、この施設は約8300円の宿泊料を取り、床下暖房やwifiを使うことも出来る設備が整っている。
さらに衛生状態もよくなっていて、本当のスラム街をそのまま再現しているわけではなくて、あくまでもそのイメージをモチーフにして作られている。
CNNの報道によると非難もあるということ。
スウェーデンの場合
スウェーデンにおいてホームレスの生活を体験できるホテルがあって、こちらはわずか900円程度で宿泊出来る。さらに言うと、閉鎖された工場や森の中や橋の下、公園といった様々な場所から選ぶことが可能となっている。
ブラジルのファベーラ
ブラジルのリオにおいては、ファベーラという貧困にあえいでいるスラム街があって、ここが一大観光スポットとなっている。実際毎年、約4万人の観光客が訪れて、写真を撮ってまわったりして帰って行くという。
たとえば、こんなファベラのツアーがある。
住民としては自分達の暮らしが見世物になることに対する反発や、それを利用してお金を稼いでいる人達がいることに対して不満を持っているという声も聞く。
その一方で、スウェーデンのホテルのように社会福祉に還元するという意識が強く、その取り組みが世間で認知されている場合には、その国の中でも社会的に認められている。
それぞれの企画の意図は全く異なるので、純粋にビジネスとしてお金を儲けるためにやっているものから、社会福祉の観点から寄付を中心としているものまで、様々な種類があって、それぞれの国での受け取られ方も異なっている。
いろいろな批判があるにしても、最底辺の生活がどのようなものであるのか、あるいは自分が普段送っている生活と違う層の人はどんな世界なのか、これを体験すること自体はいいことなのではないかと思う。
例えばむやみにお金が無いことを恐れて普段暮らしている人が、実際に今よりはるかに収入が減った場合の暮らしを体験してみると、意外にそこまで怯えていた程のものではないとイメージを再構築できるかもしれない。
そんなパラダイムシフトが起きれば日々の生活の安定につながるし、人生がもっと安心して過ごせるものであると悟ることが出来る。
逆に危機感がない人にとっては、こういった暮らしをすることによって今の生活のありがたみを感じて、仕事を今まで以上に頑張るモチベーションになることもある。
単純に友人や家族へのプレゼントとして活用して、視野を広げてもらうことも一つの活用法だろう。
ただし、スラム街を案内することで写真を撮る人も出てくるが、撮影される被写体の方の気持ちや人権も配慮されるべきであると思うし、彼らにも何らかの形で利益の一部が分配されるのが当然の筋道ではないかと考える。