マカティ1等地の廃墟のビルにプレビルドの危険性を思う


私が住んでいるコンドミニアムから徒歩30秒くらい行ったところに、建設途中ですっかり工事が止まってしまっているビルがある。

今日も自宅からSala BistroにThe Bistro Angus Beef Burgerを食べに行く途中に前を通ったが、相変わらず工事の進捗は止まっていた。

この建物はフィリピンの中でも、マカティというエリアの1等地に位置していて、本来であればテナントが殺到するようなエリアに建っているにも関わらず、今では実質的に廃墟となってしまっている。

どうやら1年以上建築が止まっていて、その原因は資金が尽きたことらしい。

このビルはどうやらフィリピンでも有名な弁護士が音頭をとって出資者を募り、それからプレビルドという形でお金を集めて建築に着手していた。

プレビルドというのは建売とは真逆で、最初にお金を集めておいて、その資金で建築を始める方式。

建設後に購入する場合よりも割安で買えるのが魅力となっている。

その反面で、現物の建物を見ることは出来ないし、この案件のように途中で資金がショートして建築が止まってしまうリスクもある。

これが訳のわからない土地に建っているビルであれば大した損害にはならないものの、なにしろフィリピンの商業都市の1等地に建っているため、国家的な損失になってしまう。

そして、基本的に灯りがついているのは見たことはないものの、この廃墟の窓際になぜか植物が置かれていたりして、若干人が住んでいるのではないかという気配もある。

通りがかった時に人が動いているのを見たり、あるいはそこから音が聞こえたりしたことはないので確信はないものの、貧しい人たちがそこに住み着いている可能性も考えられる。

フィリピン在住歴が10年以上の友人が言うには、ビルの管理者がお金を払って、そういった人達を住まわせている可能性も存在するらしい。

というのは、完全に無法地帯にするよりも、ある意味で緩い委託の仕方をしてビルを管理してもらったほうが、おかしな人間が出入りしたり、裏社会の取引に使われたりすることが無いので、結果的にマイナスの面を小さく抑えることが出来るということだった。

確かにこれはもっともな話で、建築の予算が尽きてしまっているぐらいなので、正規の警備員を雇うお金が無いのは明白。

そう考えると、無料で家のない人に住んでもらって、その人たちの縄張りということで管理してもらったほうが、取りあえず大きな損害が起きないという点ではマシなのかもしれない。

とは言え、プレビルドで実際にこうした問題が起きている事、しかもそれはフィリピンのような高度経済成長を遂げている真っ只中の国でも発生しているところに改めてリスクを感じた。

どれだけ景気が良い国であっても、そして立地上申し分のない建物であっても、こういったトラブルが起こりえる事は、プレビルドの物件を扱う上で絶対に忘れてはいけない。

フィリピンでは次々にモデルルームがオープンして、景気の良さを肌身で感じている。

しかし一方では、こういった闇があるという事も忘れてはいけない。


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