海外に住むようになってすでに3年以上が経過した。
その結果として、さまざまなパラダイムシフトが起こったものの、職業の上で決定的に有利になったことは、実はほとんどない。
ただ単に海外に住んでいるだけでは、相手の国の文化や国民性を詳しく把握できるわけではない。
例えば、私が今住んでいるフィリピン。
この国でビジネスをすることが難しいであろうことは、これまでの生活からも推測できる。
というのは、人が日本と同じ基準で動かないし、それは実際に見てみないと感覚的にわからないところがある。
ただ単に日本と海外では人々の行動基準や認識が違うので同じようにはいかないという一般論ではなく、腑に落ちる感覚はあった。
では、そのことによってビジネスをうまく回していけるかというのは、まったく別問題。
例えば、フィリピンでリアル店舗を開業しようと思った場合、行政との兼ね合いで様々なコネが必要となる。
そういったやり取りを私はやりたくないと思うし、とても神経が耐えきれないと思う。
結局、フィリピンで自分が手足となってビジネスを起こすのは無理というのがわかったぐらいで、ここで仕事をしようという気には到底なれない。
もし仮に短期留学をするとしても、同じようなことになるのは目に見えている。
幸いな点は、短期留学では周りにも学生がいるということ。
おそらくは各国から来ている学生達なので、ある程度まで話を聞くことができる。
では、それが社会に出てすぐに即戦力として通用するのかといえば、そんなことはありえない。
所詮まわりにいるのが学生である以上、社会での経験はそれぞれが積んでいない。
その中で交流をしたくらいで、社会人として即戦力になるほど世の中は甘くない。
日本を見たって、いくら社交的な学生でバイトやサークル活動にいそしんだところで、サラリーマンになれば大した戦力にならないことが多々ある。
まして、起業家として通用する学生なんてそうめったにいるものでもないし、そもそもそうした学生は必ずしも社交的であるとは限らない。
短期留学をして外国人と関わることによって、他人と異なる経験をすることはできる。
なんとなくそれが財産になることは理解できるし、他人との差異はうまくすれば価値を生み出す源泉にもなる。
しかしそれはあくまでも可能性の話であって、ほとんどの学生にとってはそこまでの価値を生み出す能力は備わってはいない。
語学力の向上は?
語学の面ではどうなるかといえば、今のようにスカイプ英会話が普及している状況だと、わざわざ海外に行かなくても安価で英語を学ぶことができる。例えば120円で25分スカイプ英会話ができるのであれば、航空券や宿泊費を支払って短期留学をするよりもはるかにコストは安くなるし、マンツーマンでスカイプ英会話をすることができる。
結局、目的もなく短期留学をしたところで、その国の文化や風習もいまいちよくわからず、語学もそこまで身につかず、結局何がしたかったのかわからない結果になる。
ただし、あくまでそれを覚悟の上で短期留学をするというのであれば、それを一つの体験として問題はないと思う
私が言いたいのは、過剰な期待をしない方がいいというだけの話で、海外に出てみるのは自分の新しい可能性を発見することにつながる場合もある。
日本でくすぶっているのであれば一度海外に出てみて、外の世界を見てみるのもいいかもしれない。