モンゴルの定期預金が高金利でも口座開設しない理由

ウランバートルの建物

モンゴルの銀行の定期預金は高金利であることで知られている。

現地通貨のトゥグルグだと18%というケースも。

ゴロムト銀行やハーン銀行等の名を聞くが、
後述するようにゴロムト銀行には信用上の疑念も残る。

また、モンゴル国民投資銀行(NIBank)は
朝青龍(ドルゴルスレン・ダグワドルジ)が
経営することで日本でも注目を集めた。

モンゴル国民投資銀行においては、
筆頭株主として朝青龍が過半数の株式を持っている。

他にも複数の事業を手がけているとのことで、
大相撲では良い意味でも悪い意味でも注目を集めていたが、
帰国後も活躍している様子。


慢性的にインフレが起こっている国なので、
通貨も弱くなっていく傾向に有る。

そのため、18%の利率がついたとしても、
実際にはそこまで増えるわけではない。


また、米ドル建ての場合には7%程度のようだが、
こちらも非常に金利は高い。

現地通貨を使わないため為替リスクはないが、
ここまで高金利にしないとお金を集められないことの裏付けでもあり、
銀行預金とは言えハイリスクなことの裏付けでもある。

とは言え、投資家としては気になる案件。

当然ながら以前から注目はしていた。

しかし、いざ手を出すかとなると、
および腰になってしまう理由がある。


ゴロムト銀行を巡る黒い噂

ハーン銀行の前に、まずはこちらから。

日本のカスタマーサポートのためのウェブサイトを開設した
モンゴルのゴロムト銀行だが、
これについては金融庁のこの指摘が該当すると思われる。

要するに外国銀行代理銀行として認可を受けていない場合、
手続きができない可能性があるということ。

そのため、ゴロムト銀行が問題行動を起こしているのか、
関係のない業者が詐欺のためにその名を騙っているのか、
どちらかである可能性がある。

普通に考えると後者の可能性が高いだろう。


なお、以前はゴロムト銀行のカスタマーサポートのウェブページがあった
URLを確認してみると、
何も表示されなくなっている。

http://golomtbank-jp.com/

どうも逃げたのではないかと。


こんなきなくさい話もモンゴルの定期預金周りでは発生している。



現地での口座開設は?

ハーン銀行(Khan Bank)であれば、
ウランバートルに赴いて口座開設ができるとのこと。

この場合、日本語のできるスタッフがいるため、
日本人でも安心ということだった。

はるばるモンゴルまで出向いて
口座開設に失敗するのは手痛い。

その意味では心強いサポートだが、
1人しかいないとそのスタッフが休みを取っているとか、
退職したら急転直下で事情が変わる。

この点は気がかりなところ。


もちろん日本の支店で口座を開設し、
なおかつモンゴルでの利子を得ることはできない。

シティバンクでもその他の外資系銀行でもそうだが、
本店がどこの国であれ、
支店がある国の利子に準じるのが通常。

そのため、今後モンゴルの銀行が日本に支店を開いても、
そこでの預金は低金利に設定されるだろう。

また、銀行関連の法令は国によって異なるため、
国をまたぐと可能な取引も違ってくる。


香港やシンガポール、フィリピン、マレーシアで銀行口座を開設したし、
アメリカやポーランド、ハンガリー等でも話は聞いてきた。

その結果、私の片言英語でもやり取りができる国と、
そうでない国があった。

特に口座開設が許可されて細かい詰めの話になると、
なかなか理解が厳しいことが多い。

そうなると、ウランバートルに単身で乗り込み、
ハーン銀行やその他の金融機関で口座開設ができても、
いきなり英語での交渉のみでアフターサポートもなしだと
少々条件が悪いような気も。

ただし、定期預金を組んで放置するだけなら
ネットバンキングを積極的に活用したりしないため、
そこまで複雑な情報が必要ない気も。


このあたりは一長一短という印象がある。


また、必要書類であるパスポートのコピーは当然として、
非居住者はモンゴルとの関わりや貢献を示す書類が必要という情報も。

たとえば投資をしていることを裏付ける書類でもいいようだが、
私はモンゴルとは一切関わりがない。

不動産にも着目はしてきたが、
今のところ購入したい物件とは巡り合っていない。

こういった障壁も存在する。


小国の抱えるリスク

地図で表示すれば、モンゴルは広大な面積を誇る国。

その面積は1,565,000平方キロで、
日本の378,000平方キロと比べると4倍以上。


しかし、投資をする上ではモンゴルが小国であることを
念頭に置いておく必要がある。

それは人口が290万人に満たないからで、
恐ろしく人口密度が低い。

以前投資修行のために住んでみたマレーシアもそうだが、
人口密度の低い街での不動産投資は難しい。

モンゴルの人口密度の低さは
マレーシアの比ではないため、
ウランバートルでも土地は有り余っている。


今回の主眼は不動産ではなく高金利の定期預金だが、
この人口の少なさは小国の抱える問題を映し出す。

とにかく安定感がないという意味で。

ちょっとした事情によって
大きく経済が上振れしたり、下方修正したりする。

定期預金という通常なら安定性の高い金融商品も、
このような事情があると大きく話が変わってくる。


また、シンガポールや多くの金融立国のように、
小国である強みを活かして急激な発展を果たした国もある。

むしろ一人あたりのGDPが世界的にも上位な国は、
人口が少ない事が多い。

たとえばシンガポールは約540万人となっており、
実はモンゴルよりもずっと多い。

2倍近くの人があの狭い国土に住んでいることになる。


では、モンゴルも急激な発展を望めるのか?

少なくとも、その兆候は見られない。

今の状況を見る限り、不安定という悪影響があるのみで、
人口の少なさをうまく利用できていないというのが
私がこの国に持っている印象。

これはハーン銀行等の定期預金においても響いてくる。


資源をどう評価するか?

モンゴルと言えば豊富な資源で有名だが、
鉄、銅、ウラン、石炭等の旧世代の物が多い。

さらには中国やロシアを経由しての輸送となると
政治的なリスクにもさらされる。

よりによってこの2国に南北を挟まれているというのは、
資源の安定的な輸送という観点からはマイナスと言わざるをえない。

南北というよりも、全土をぐるりと囲まれているようなものなので、
陸路を封鎖されたら終わり。

空路での輸送ももちろんありえるが、
相当に可能性を制限されてしまうだろう。


地下資源以外にも観光資源がモンゴルにはあるが、
旅行者としては気軽に行きやすい国ではない。

たしかに騎馬民族の歴史やゲルによる移動生活は興味深いし、
人生観を変えるほどのインパクトがあるのは理解できる。

魅力は十分にある。

しかし、タイやシンガポールのように交通が便利なわけでもなく、
気軽にふらっと立ち寄れる国ではない。

どうしても旅行者の数は伸び悩む。


今後の経済の先行きの展望を考えた場合、
やはりモンゴルは定期預金であってもリスクが大きすぎるように感じる。

だからこその高金利だし、
ひとまず今の段階では見送りという判断。

今後も引き続き情勢は観察していくので、
何か動きがあればメルマガ等で報告していきたい。


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