海外駐在員は本当に幸せなのか


日本を離れて暮らすようになってから、海外駐在員を頻繁に見かけるようになった。

彼らは東南アジア各国で勤務をしているので、だいたい日本人が知っているような国であれば、どこの国にもいる。

海外で働きたいと思っている人はよくいるし、特に3.11の事故があった後には、そういったニーズも高まった。

さらに言うと、海外駐在員手当も厚く、給料も日本のまま据え置きされるので、日本国内で仕事をするよりも実質的な可処分所得は大幅に増えるし、働く国によっては支出を抑えることができる。

そういった意味では、サラリーマンの中で海外駐在員として働きたい人が一定数いるのも納得できるし、先日もバンコクに滞在中ズーマというレストランで駐在員らしきワイシャツ姿の人たちを見かけたが楽しげだった。


しかしながら、海外駐在員になったところで、サラリーマンとしてのリスクが根本的に拭い去れるわけではない。

会社が倒産するリスクや、自分がいつリストラされるかわからないこと、今後の給料がこれまで通りにちゃんと上がっていくかどうか、会社の中での仕事がガラパゴス化して、他の会社に行ったら通用しないのではないかといったリスクは依然としてつきまとう。

そういった意味で言うと、海外駐在員になったからと言って、国内勤務のサラリーマンと根本的に何かが変わるわけではないし、その経験が今後の人生において確固たる稼ぐ力をもたらしてくれるということでもない。

そう考えると、海外駐在というかなり不安定な立場に身を置くことを夢見るのは、無意味なのかもしれない。

残念ながら海外駐在は会社が派遣の時期であったり、あるいは誰を派遣するのか、そしてどの国に移すのか、といったことを全て決めることになる。

良心的な会社ならある程度本人の希望を考慮に入れてくれるとはいえ、残念ながら自分で人生をコントロールするという観点から見ると、ひどく不安定。

何しろ自分が望まない国で働くことになる場合もあるし、人生設計もまともに立てられないことになってしまうので、そういった意味で言うと、ある程度手当が充実しているとはいえ、決して自己決定権という観点から見ると望ましいことではないとも言える。

それなりに好待遇のは一般的なので、現地での外国人向けのコンドミニアム、つまり高級物件に住むことはできるし、国内で同じ会社に勤める人よりも、手当の分だけ実質的に収入が増えることになる。

そういった優越感を得られることがある反面で、国境を越えて会社に振り回されるという意味では望ましいことではない。

ある意味海外駐在も地方の転勤も、程度が違うだけで同じなわけだし、そういった意味で言うと、それほど強く望む価値のあるものではないのかもしれない。

やはり安定した人生を送ることを考えれば、独立しても稼げるだけの力を身に付けておくことは、必須であるように感じる。


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