海外移住をする人の中でも、タイで暮らすことを選択する人は多く、継続的に移住先人気国となっている。
実際に私も東南アジアのフィリピンやマレーシアに住んだり、永住権を取ったりしてきたが、タイには常に注目してきたし、バンコクは頻繁に訪れている。
まさに今現在も、バンコクに25日ほど滞在しているところだし、今後もたびたび訪れる町だと思う。
しかしながら、日本国内に住んでいる日本人の多くが思うタイで暮らすメリットは、すでに失われつつある。
もしくは、完全に失われてしまったといっても過言ではない状態にある。
ではそのメリットとはなにかというと、物価や生活費の問題。
なにしろ東南アジアの新興国なわけなので、安くで暮らすことができるというのが、タイという国について多くの人が抱くイメージだと思う。
しかしながらその常識は、為替の円安への推移や継続的なタイの物価上昇によって事情が変わってきている。
バンコクでの生活費の実態
タイの首都バンコクで暮らした場合の概算額を考えてみると、日本人が多く住んでいるプロンポンやトンロー、エカマイといったエリアであれば、単身者用のコンドミニアムであっても、家賃が7万円や8万円程度はする。
少し広めの部屋にすれば、日本円にして月々10万円以上ということもざらなので、ただ単に安くで暮らせるという理由でタイにやってきた人は、面喰らってしまう事だろう。
新興国であれば、月に10万円以内で十分に暮らせると思っている人も多いが、かつての円高の時代とは異なり、3割4割は為替の影響でコストが上昇したことになるので、その段階ですでに状況が変わっていることは、実際に海外に出てみるとよくわかる。
私も2011年から海外生活を続けていて、為替の影響によってどれだけ消費マインドに影響が出るか、肌で実感してきた。
バンコクのように頻繁に訪れる町であればなおさらで、以前と同じ価格で売られているものであっても、円換算した場合に相対的に高く感じられる。
これであれば日本で生活をした場合であっても、物価の面ではそれほど変わらないのではないかと思ってしまうところまで、アジアの新興国の物価は上昇している。
タイで和食を食べた場合の金額
プロンポンやトンロー駅の近くは、日本人が多く住んでいることもあり、和食レストランも多数営業している。
各国にあるチャイナタウンのように、この町の日本人街は、明確なエリアが決まっているわけではなく、店が点在しているという方が表現として正しい。
こういったところだと、ランチであれば700円程度で食べられるものもあるが、ランチの段階から1000円以上するメニューをメインにしている店も多い。
居酒屋で夜に軽くビールを飲みながら食事をしていると、4000円、5000円ぐらいの金額が飛んでいくのはごく普通のことなので、日本で食事をしているのともはや変わらない。
確かに和食を海外で食べる場合であれば、その分だけコストがかかるのは普通のことではあるが、では一般的な洋食、例えばマクドナルドのようなファーストフードではない、本格的なハンバーガーとか、ピザとか、パスタを食べる場合どうかということを考えても、安めの店であっても、700円とか1000円弱とか、そのくらいの金額はする。
ピザであれば、本格的な店は1枚で2500円とか、そういった金額となる。
先日まで訪れていた東欧に比べても、食費は決して安くなく、タイで暮らす場合の食事代は新興国だから安いのだろうという常識は、すでに覆されてしまっている。
もちろん、道端で売っているような屋台の食事であれば安いものの、癖が強く、脂っこかったり、味が濃かったり、あるいは香草や辛さが強かったりするので、こうした料理を毎日飽きずに食べられるかというと、なかなか難しいところ。
麺料理のパッタイや鶏の丸焼きのガイヤーンのような比較的癖がないものならともかく、トムヤムクンやソムタムのような辛い料理は人を選ぶ。
現地で暮らすことを考えると、長期的に見れば、やはり食べ慣れた和食や洋食は欠かせないし、そうなった場合のコストは決して安くはない。
またバンコク以外でも、チェンマイやアユタヤ、プーケットといった場所も、日本人がタイに暮らす上で人気の街だが、これらの街についても物価は上昇している。
特にプーケットはビーチリゾートを擁する観光地なので、生活者に対してというよりも、お金を落としてくれる観光客に向けてのビジネスが多く、相対的に生活コストは高くなる傾向にある。
それでもバンコクで暮らすメリットは存在する
ここまでは、タイで暮らすことについて否定的な意見を中心に述べることになったが、では私自身はこの国にもう価値がないと思っているのかというと、そんなことは全くない。
実際、本格的に移住まではしていないが、30日というビザなしで滞在できる期限ギリギリまでバンコクにとどまっていたことは、これまでもたびたびあるし、今後もその傾向は続くことと思っている。
また、タイに移住しようとする人についても、その選択が間違いだとは全く思わない。
というのも、ただ単に安くで暮らせるというメリットは失われつつあるが、生活の質との関係とか、そういったことで言うと、まだまだタイには十分に魅力がある。
例えばバンコクで単身者用のコンドミニアムを借りれば、月の家賃が8万円程度はするということを言ったが、これはいわゆる日本のアパートとか、一般的なマンションのレベルの建物ではなく、現地でもかなり高級な類に入る物件。
プールは当たり前についているし、物件によってはそれ以外にもゴルフのシュミレーター、メインストリートまでのカートでの送り迎え、スポーツジムや読書室、サウナ等の施設も充実しているし、治安のために24時間ガードマンが常駐することも当たり前になっている。
また物価が上昇していると言っても人件費はまだまだ安いので、1時間のマッサージを受けてもタイ式マッサージであれば250バーツ、900円ぐらい。
オイルマッサージであっても400バーツぐらいなので、1時間で1400円ぐらいで、そういったサービスを格安で受けられる環境でもある。
また、タイ人は、温厚で人当りもよく、移住先として人気のマレーシア等に比べても、圧倒的に対人関係でのストレスは少ない。
そういったことを考えてみると、タイで暮らすのは、私にとって、また少なからぬ人にとって、まだまだ十分に魅力的な選択肢と言える。
結局のところ、どの国、あるいはどの町に住むのがベストかというのは、人によって異なるし、単なる物価の安さを求める人にとっては価値を失ったとしても、タイという国の価値が消失したものとしてみなすにはあまりにも早計すぎる。
50歳以上であればリタイアメントビザを非常に低いハードルで取れる国だし、それ以外にもタイランドイージーアクセスや、エリートカードといった制度も復活したので、私自身もこういった制度を利用して、タイのビザを取ることについては、これまで幾度となく検討している。
今後も重要な拠点の一つで有り続けることは、間違いないだろう。
追記:バンコク生活を始めてみた
タイ移住には魅力を感じていたものの、ビザの問題をどうクリアするかが常に課題になってきた。
そして、先日ついにタイランドエリート・イージーアクセスを取得したことにより、5年分のマルチプルビザを取得できた。
これで晴れてタイにで暮らす権利を確保でき、バンコクのコンドミニアムにも入居した。
今後の5年をまるごとタイで暮らすのか、途中で他の国での生活をはさむのかは不明だが、当面はバンコクに滞在する予定。
大都会に飽きたら、一時的にチェンライかプーケットあたりで過ごし、再び戻ってくるのもありだろう。
タイで日本人に人気のロングステイ先と言えば、バンコク・プーケット以外だとチェンマイが有名だが、個人的にはチェンライの静けさに惹かれる。
また、サムイ島やサメット島、ピピ島のようなビーチ巡りをする期間を設けるのも面白い。
せっかく期間限定のタイのビザがあるわけなので、その価値は十分に活用したい。
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日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
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