北アイルランドの首都、
ベルファストへの移住計画が持ち上がったのは
初めてこの街を訪れる前だった。
マニラを起点にして西回りに
世界一周をした時にロンドン・ダブリンを経由して
ベルファストを訪問することができたのだが、
それ以前からあこがれはあった。
マレーシアとフィリピンでの生活を終え、
新興国の排気ガスにまみれた環境での暮らしを経験して
今度は自然豊かで空気が澄んだ場所に住みたいと思っていた。
昔からアイルランドのなだらかな草原や
澄んだ海、切り立った断崖のような自然環境には惹かれていて、
実際に現地を訪れたいと思っていた場所の1つだった。
その思いは移住にもつながり、
とりあえず下見と旅行を兼ねて現地ヘ足を運ぶことにした。
真夏のアイルランドは涼しく、
まずはロンドンから海路でダブリン入りし、
本場のアイリッシュシチューやサーモン料理に舌鼓を打った後、
長距離バスで北上してベルファストへ。
すでにダブリンの時点で期待値は上がっていた。
この街も住みたいと思える場所だったので。
ベルファストは小さめな街で、
独立の機運への戒めか英国国旗が不自然に乱立していた。
少し郊外まで歩いていくと、
立派なボタニックガーデンもあるし、
適度に坂道もあって街並みも美しい。
リスボンほどに坂が急だと
景観の美しさが生活の不便さの上に立脚する。
ベルファスト郊外はそこまで極端ではなく、
ゆるやかな坂なので暮らすのにも困らない。
この街でしばらく過ごしてみて、
ますます移住してみたいと考えることになった。
そう思うに至った理由を3つに集約してみた。
穏やかで信頼できる国民性
アイルランド人の特徴として、
それほど騒がしくはなく、よく喋るわけではないが親切で、
やることはしっかりやるという印象。
ホテルへの道に迷っていたら、
中年女性が寄ってきて地図を見て道を教えてくれた。
また別の日には、散歩中と思われる老人男性が
わざわざホテルの目の前まで案内してくれた。
彼は来た道をそのまま引き返していったので、
たまたま同じ方向だったわけでもなく、
わざわざ見知らぬアジア人の旅人のために
進路を変えて案内してくれたことになる。
初めて訪れるベルファストの街で、
心遣いが身にしみた。
直前まで住んでいた
陽気で無責任でラテン系のノリのフィリピン人とは
まったく違う雰囲気だったが、
戸惑いなくなじめそうな印象を受けた。
やはり国民性というのは重要で、
国によっては無駄に攻撃的だったり、
がさつだったり、騒がしかったりする。
こうした場所には滞在するだけでストレスだし、
やはり穏やかな人々が住んでいる場所で生活したい。
その点、ベルファストやダブリンへの移住は、
この条件を満たしている。
英語がネイティブな上に
アイルランド語も存在するものの、
現在では日常用には使われていない。
伝統を絶やさないように話者は育成されているが、
公用語も現実に使われているのも英語。
そして、英語がネイティブな国の中では、
トップクラスに物価が安い。
たとえば、日本人の若者に
ワーキングホリデー先として人気のオーストラリア。
かつてはリタイア世代にとってもなじみが深い国だった。
しかし、現在では物価が高騰し続け、
シドニーは東京よりもずっと生活費が高い。
レストランで何の変哲もないピザやパスタを注文しても
3,000円程度はする。
ベルファストなら
シドニーやメルボルンの半額もあれば生活できる。
アイルランドの英語はなまりがひどいと指摘されるが、
それはオーストラリアも同じこと。
どうせなまったネイティブ英語の国なら、
わざわざ物価が倍の国に行かなくてもいいのではないかと。
また、近くのロンドンと比べても
生活費が6割程度で済みそう。
ロンドンはシドニーよりは若干物価が良心的だが、
それでも相当に高く感じる。
ベルファストはこの点で優位性を持っている。
わざわざ生活費が高い国に移住すれば、
それだけ選択肢は狭まり、自由度は下がる。
特に資産を形成している途中の段階では
スピードを落とさざるを得ない。
だからといって劣悪な環境の街に住んでまで
節約したいとは思わないが、
ベルファストのような住環境が整っていて
物価もほどほどの街なら申し分がない。
もっとも、ヨーロッパ内で見れば、
ワルシャワやブダペストのような東欧の国と比較すると
ベルファストの方が物価が高めなのも事実。
東欧も食事が美味しく、街並みが美しいのは
繰り返し訪れて確信した。
このあたりは検討が必要なところ。
自然が豊かな環境
ベルファストは徒歩圏内でもそれなりに自然が多いが、
少し郊外まで車を走らせれば雄大な自然が広がっている。
有名なのは北部のジャイアンツ・コーズウェイや
ダークヘッジのような観光地だが、
そこに行くまでの車窓の眺めも素晴らしかった。
草原や丘が次々に現れる光景は、
かつて憧れた景色そのものだった。
車を持つのであれば、
こうした場所に自宅を構えつつ、
時々ベルファストの中心部に買い物に行くのも面白いかもしれない。
仮にそうした生活をするなら、
車を所有するか、
何らかの交通手段がないと成り立たないので
慎重に計画しないといけないが。
なにしろ車を購入してしまうと、
次の国に移住する時に足かせになる。
売却まで視野に入れたプランを立てないと、
住み始めた時は良くても
将来的に面倒なことになる。
どこかの国に永住する気がない以上、
車のように金額が大きく、
保有や売却に手続きが多い所有物は
できるだけ持ちたくない。
しかし、そうなると郊外での生活は
条件を整えないと破綻してしまう。
このあたりは今後計画を実現に移す際、
改めて現地の交通事情などを
よりピンポイントで探ることになるだろう。
ベルファスト近郊の交通の一般論ではなく、
個別の物件に即した情報が問題になってくるので。
部屋探しの段階に入ってからの話になるので、
今の段階では計画を固めすぎず、
どうとでも対応できるように
余白にしておくのが妥当だろう。
移住計画の懸案事項
ベルファストに住むことを考える時、
ビザのような手続きの問題が持ち上がるのは恒例だが、
他にも気候という課題もある。
私が初めて訪れたのは7月の終わりだったが、
夏にも関わらず日本の秋の気候。
半袖では肌寒かったし、
雨の日は最高気温が17度の日もあった。
夏は涼しくて街歩きにも良かったが、
冬の寒さは心配になる。
南国暮らしを続けてきた身としては、
東京の冬すら寄り付く気にならない。
まして北海道と同じレベルの緯度にある
アイルランドとなると・・・。
ただし、多少の気休めになるのは、
ポルトガル同様に大西洋からの温暖な風の恩恵で
緯度の割には比較的冬でも寒さが和らぐこと。
たとえばヘルシンキやオスロに比べると、
ベルファストやダブリンの方が暖かい。
以前にリスボンでクリスマスを迎えたが、
たしかに緯度が大して変わらないパリやバルセロナよりも
明らかに暖かかったのを憶えている。
とは言え、
12月や1月にポカポカした陽気なわけもなく、
寒いことに違いはなかったし、
リスボンよりもベルファストの方が
冷え込むことも事実。
そうなると、
本格的に移住する以外にも、
気候の良い時期に限定して住んでみるのもありだろう。
夏を中心に半年住むということなら、
気候の問題は解消できる。
このあたりも計画をブラッシュアップしていきたい。
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