ポーランドで治安面が要注意と感じた出来事はいくつかあったが、
まずはワルシャワの件から。
やはり首都ワルシャワを訪れる人が
もっとも多いと思うので。
王宮の近くを夕方に歩いていたら、
髪の毛がぐしゃぐしゃに乱れた中年男が寄ってきた。
髪の毛は肩のあたりまで伸びていて、
目の焦点がどうやら合っていない。
ポーランド語だと思うが、
何かを話しかけてきて1人でケタケタ笑っている。
私も「英語しか話せない」と言ってみたものの、
こちらからの返答を気にしている様子もない。
男の動向に注意しつつ距離を広げていくと、
彼は急に真顔になって別の方向にゆったりと歩き去っていった。
精神に異常をきたしていたのか、
薬物にでも手を染めていたのかは不明だが、
ポーランドの治安に不安を感じた出来事だった。
ワルシャワではこの一件のみだったが、
同じようなできごとはウッチの郊外でもあった。
ウッチ(Lodz)はポーランドで2番目に人口の多い街で、
中心部はPiotrkowska Streetという南北を貫く通り。
このメインストリートよりもさらに南側に
最初のホテルを予約していたのだが、
どうも治安はいまいちなエリアなようだった。
ワルシャワと同じように目の焦点がずれた男が
私が目の前を通った時に突如大笑いを始めた。
ポーランドでは瞳孔を開いたまま
虚ろな様子でさまよい歩くのが
この国の定番スタイルなのかと思ってしまった。
後ろから何かされても困るので
注意深くそのまま歩いていったが、
すぐに熱が冷めたように何事もなかったかのような様子に戻っていた。
いきなり火が付いたように笑いだしたり、
冷水でも浴びたかのように元に戻るのが流行っているのだろうか?
不思議であり、不気味な光景だった。
しかも彼らは身体も大きく、
襲われたりしたら相当な脅威になる。
いかにも不健康そうに顔がやつれていたとは言え、
身体が一回り以上大きい相手となると
もちろん油断する余裕などなく、
かなり緊張した一瞬だった。
他にもウッチでは鳩の死骸をサッカーボールのように
蹴り回している高校生ぐらいの集団を見かけたり、
いかにも職にあぶれているような中年男性の集団を見かけたり、
なんだか危険な印象も。
ちなみに、中年男性の集団は平日の昼間から
酒を飲んだ後の様子だった。
ワルシャワで危険なエリア
ウッチに話が移ってしまったが、
ワルシャワで危険とされているエリアについても注意喚起を。
特に犯罪が多いとされるのが
ビスワ川の東にあるプラガ地区と中央駅付近。
プラガ地区は旧共産圏の雰囲気が残っているエリアで、
ある意味でポーランドらしい地域となる。
ただし、治安面では問題があるので、
訪れるなら気をつけて行くことをお勧めする。
可能なら一人歩きよりも、
複数人での行動の方が安心。
ビスワ川の西には歴史地区やワルシャワ王宮、
歴史博物館、聖ヨハネ大聖堂等があり、
旅行者でにぎわっている。
しかし、橋を渡ってビスワ川の向こうに行けば
雰囲気が変わってしまうのがワルシャワ。
ポーランドは地域によって
まだまだ荒んでいるエリアもあり、
これはクラクフやブロツワフでも同じこと。
気軽に歩ける場所と、
空気が緊迫している場所の区別は付ける必要がある。
それは事前知識だけではなく、
現場での判断という意味でも。
貧しそうとか、危なそうな雰囲気を直感的に感じたら、
早めに立ち去ることをお勧めする。
危険エリアとされるワルシャワ中央駅に話を移すと、
長距離鉄道の駅と周辺が危険なのは、
ヨーロッパを含め世界のセオリーのようになっている。
ブカレストの北駅しかり、
ブダペストの東駅しかり。
多くの旅行者がやって来るため、
お金を持っている上に旅の疲れや
浮かれたテンションで警戒がゆるみがち。
それを狙ったスリや置き引きが吸い寄せられてくるのは
多くの国で起こっている現象。
その意味で、中央駅付近の治安が悪いのは、
想定の範囲内だった。
移民・難民問題は?
ポーランドはEUの中では明らかに貧しい側の国で、
英国を中心に移民を送る側。
そのため、難民問題でドイツやスウェーデンが揺れ、
移動経路となったギリシャやイタリア、ハンガリー等が
悲鳴を挙げる中、そこまでの影響は受けていない。
ヨーロッパの中でもどちらかと言えば貧しい国なので、
わざわざそこを目指す物好きな難民も少ないという皮肉な理由で。
経済が弱いということは、
それだけ治安の面に不安を抱えていることは予想していた。
ただし、ウッチの南側の地区については
あえて近寄らないようにすれば避けられるエリア。
チェコのブルノでも似たようなエリアがあったが、
予約していたホテルが偶然こうした場所の近くにあり、
訪れることになった。
ただし、2度目以降は避けることが可能だし、
その意味では注意していればリスクは下げられる。
できればホテル選びの段階で
既存の宿泊客のレビューを注意深く見ておけば
最初から危険地帯を見抜けたかもしれないが、
そこまでの手間をかけるのも現実的ではない。
日本人を含む外国人、あるいはアジア人が
足を踏み入れることすらはばかられるほど危険なわけではないし、
多少のピリピリした空気ぐらいは許容範囲と思うしかないだろう。
もちろん、すでに知識があるのに
わざわざ貧しい地区に近づく必要はないが。
ポーランド人の警察への評価は?
世界的に見ると、治安が悪い国・貧しい国は
警察への信頼が極端に低い傾向にある。
メキシコがそうであるように、
警察が汚職に手を染めきっていて
市民からの信頼が皆無というケースも。
犯罪の抑止力や取り締まりどころか、
彼ら自体がギャングの組織のようになっている例もある。
一方、ポーランドの警察については、
2016年の世論調査で72%の回答者が
警察の仕事ぶりにプラスの評価を与えている。
これは国家としての成熟度の高さを表しているのかもしれない。
なお、犯罪件数の内訳で言うと、
2016年の7月〜9月の統計だと、
窃盗が33,890件で圧倒的に多く、
次が侵入盗で16,594件、
薬物犯罪の12,167件と続く。
やはりワルシャワやウッチの不審者は
そっちの犯罪に手を染めていたのだろうか?
それから偽造や生涯、車両窃盗、強盗と続く。
ポーランドは全体として見ると、
それほど治安が悪いわけではない。
ただし、決して豊かな国ではないため、
それ相応に注意が必要だというのは感じる。
もっとも、経済の強い先進国はどうかと見てみれば、
ヨーロッパ内でもイギリス、ドイツ、フランスの主要都市は
決して安全とは言えない状況になっている。
流入し続ける移民問題も解決されず、
彼らが多く住み着くエリアの中にはスラム化している場所も。
先日もフランクフルトやミュンヘンに行ってきたが、
お世辞にも安全そうという印象はなかった。
たとえばワルシャワやクラクフといった
ポーランドの主要都市と比べても、
それは変わらない。
むしろ体感的に危険を感じたのは、ミュンヘンだった。
そう考えると、
国単位で本当に注意が必要ない場所は
ヨーロッパの中に存在しないのかもしれない。
先進国か、そうでないかとは関係なく。
とは言え、それがポーランドの価値を損なうわけではないし、
来年にはバンコク在住の友人と
ワルシャワを訪れようかとも思っている。
その計画がどうなるにしろ、
再びワルシャワやクラクフに足を運ぶ機会は必ずあるだろう。
それだけ気に入った街なので。
ブロツワフやウッチについては
再度行くことがあるかどうかは不明だが、
移動するルートの中で必然性があれば、
たとえばプラハやドレスデンから陸路で行くようなことがあれば
再び訪れることもあるかもしれない。
また、ポズナンはまだ未踏の地なので、
近いうちに行ってみたいと思っている街。
リスクの存在も承知の上でなお、
訪れたいと思えるだけの魅力がポーランドには十分にある。
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