スイスについては住みやすい国と言われる一方で情報が少なかったものの、現地で生活する日本人、野元さんに話を聞くことに成功した。
ということで、その時の話を書き起こしたのでシェアを。
以下はチューリッヒ在住者、野元さんの話。
移住前の準備
スイスに移住するための具体的な準備として、まずは、言語を少しでも理解できるように勉強しました。スイスは小さい国ですが、共通の言語がなく、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの言語圏に分かれています。
私が住んでいたのはチューリッヒだったので、公用語はドイツ語でした。
多言語を学べるという意味ではいいところとも言えますし、狭い国内ですら環境が違うので、引っ越すと大変という意味では悪いところとも言えると思います。
ドイツで話されている、いわゆるスタンダードなドイツ語とは違ったドイツ語だったので、スイスのドイツ語に慣れるのは現地で生活を始めてからも時間がかかりました。
語学学校などでは、基本的にスタンダードなドイツ語しか教えられず、スイスで話されているドイツ語を学べる場所は実践でしかないのです。
スイスではドイツ語の授業でドイツ語を習ってもなかなか使える場所がなく、実際に必要なのはスイスのドイツ語で、スタンダードなドイツ語を取得したいと思っている人にはあまりすすめられない場所です。
地域ごとの自治権も確立しており、どこの地域に住むのかで生活の環境が大きく変わってくるので、自分が住む地域にはどんなルールがあるのか先に詳しく調べてから行きました。
それによって住みやすいかどうかも、だいぶ左右されると思います。
スイス在住の外国人が多いせいか、英語での説明もあり、とても助かりました。
ですので、スイスに移住する前には、どんな理由で住みたいか、目的をはっきりさせて、必ずその地域にどんなルールがあるのか確認してから移住することをおすすめします。
また、ビザについての下調べも大切です。
永住権が簡単に取れる国ではなく、10年以上住めば永住権を取れる制度もあるのですが、条件としてはヨーロッパの中でも厳しい部類に入ります。
スイス移住の際の部屋探しの方法
生活の大前提として家は必須ですが、スイスは部屋探しがとても難しいことで有名です。基本的には不動産屋さんを通して部屋探しをするか、新聞広告やインターネットで探してオーナーから直接借りるという2つの方法があります。
住みたい場所が決まったら、すぐに見学の予約をとりましょう。
実は、この内見の予約でさえなかなか取れないのが現実のようです。
需給バランスが少々いびつで、空き物件自体があまりないのだそうです。
もし空き物件が見つかったら、それだけでもラッキーだと思いましょう。
また、いい賃貸物件は早い時だと半日で他の人にとられてしまうことがあります。
なので、他に何組ぐらい見学に来ましたかと確認する人も多いそうです。
もし物件が気に入ったら、すぐに申込書を作成しましょう。
注意したいのが、掛け持ちで契約をしてキャンセルをする場合は、罰金が発生することがあるということです。
もし、掛け持ちをしようとする場合は、確認してからした方がよいでしょう。
この申込書ですが、質問事項がたくさんあります。
スイスでは物件を借りる際、1枚から2枚あることが普通のようです。
生年月日や月収、職業などの基本事項に加えて、タバコは吸うのか、ペットはいるのか、楽器は演奏するのか、趣味はなにか、また現在の評判を確認するため、現在のアパートの管理人の連絡先などあらゆることを聞かれます。
その申込書を見て査定され、もし管理人がOKと思ったら、該当者のみに連絡が来ることになっています。
ちなみに、これは私達のアパートだけ特別だったのかもしれませんが、私達のアパートには不思議なルールがありました。
家具は壁から数センチ離しておくこと、11時以降はシャワーを浴びないことなど、こんなこと確認しに来るのかなと思うような生活上の細かなルールがたくさんありました。
入居の際は、管理人に確認した方がいいかもしれません。
スイス生活に必要な語学のレベル
スイスでの暮らしに必要な語学力のレベルはどのくらいかと聞かれても、1つに答えは絞れません。
スイスには、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの公用語があり、住む地域によって話す言語が違います。
そして、英語が通じる割合も地域によってかなり違うようです。
チューリッヒはとても外国人が多いため、ほとんどすべて英語ですませてしまうことができますが、イタリア語圏やフランス語圏に行ったときには現地の言葉でないと通じないことがありました。
ですので、同じスイスでも行く地域によって必要な語学力が変わってくるので気を付けましょう。
ある地域は住みやすいと感じても、言葉の壁が理由で同じ国の中でも別の地方では感じ方が違ってくる可能性があります。
スイスにも日本人はいるものの、なかなかすぐには見つけることができないかと思いますので、ある程度一人で生活できるくらいの英語力は最低あった方がいいでしょう。
公用語ではないものの、日本語で話せる人を探すより英語が話せる人を探す方が簡単ですので、最低限英語はしっかりと話せるようにしてからスイスに移住しましょう。
そして、長年住むのなら現地の言語をしっかりと話せるようにマスターしましょう。
現地には必ずその地域の語学学校があるはずなので、そこで1から学ぶことも可能です。
その学校を通して、仲のいい友達をみつけるということもできるのでおすすめです。
仕事をする場合は、ビジネス会話ができる程度の英語が身についている必要があります。
ビジネスレベルの英会話、プラス現地の語学がビジネスレベルでできると問題ないはずです。
スイス移住をして不便なこと
日本からチューリッヒに移住して、まず生活の中で不便だと思うことは、おそらく買い物でしょう。
環境は整っていてスイスが良いところなのは間違いないのですが、買い物については思うようにいかないところもあります。
スイスでは、すべての会社やお店が夕方の6時半頃には閉まり、土曜日は4時頃まで、そして日曜日は完全に休業だからです。
祝日ももちろんお休みで、祝日の前日も土曜日と同じ扱いで4時までしか開いていません。
チューリッヒの中央駅のお店に行けば開いているところもありますが、そのような場所を除いてはすべて休業です。
もちろん銀行も同じなので、どうしても銀行に行かなくてはならない時は、会社を抜けて就業中に行くしかありません。
日本では、夜中の12時までスーパーが開いていることもよくありますし、コンビニも24時間開いているため何か買い忘れて困ることはあまり起きませんが、スイスでは日曜日に何か買い忘れていることを思い出しても、月曜日まで待たないと手に入りません。
そのため、休みに入る前には、必ず何か足りない物はないかと確認することが、チューリッヒで生活を始めてからの習慣になってしまいました。
もちろん、違う観点からみるとすごくいいシステムでもあるのです。
というのは、お店を持っている側から見ると、お店を持っていても日曜日は他の人たちと同じように休んで家族とも一緒に時間を過ごすことができるからです。
日本ではいつもお客様第一の考え方なので、このように考えることはあまりないかもしれませんが、私の義理の父がお店を持っているので、この時ばかりは日曜日が休みで本当によかったと思ってしまいます。
あと困ったことというよりは、なかなか慣れなかったことですが、日本よりも喫煙者が多いことです。
私はタバコは吸わないし、においも苦手なので、駅や道端で平気でタバコを吸っている人がいたり、それをそのまま落としていっても平気な顔をしていることがなんだか嫌な気分になりました。
そして、それを一度注意した時には、これはゴミを片付ける仕事の人がいるからいいんだと当たり前のように言われたのでびっくりしました。
もしかしたら日本で携帯灰皿なんて持ち歩いている方が、外国の人から見たらきっと特殊なのかもしれませんが、日本の方が喫煙に関してはずっとマナーがいいように思えました。
また、電車の中においてあるフリーペーパーがあるのですが、このフリーペーパーも時にはぐしゃぐしゃにしておいてあったり、座席に平気で土足の足を乗っけたりとマナーがあまりよくない人が多くみられました。
このように、スイスで生活する中で日本とは違う面を見つけ、日本のマナーの良さが際立って見られるようになりました。
あとは先程も少しお話した永住権やビザの問題ですね。
こちらでビザを取得して住み続けても、なかなか永住権に結びつかないのは不便というか、不安なところではあります。
やはりビザ制度はいつ変わるか分からないので、できれば永住権は取得しておきたいところですが、なかなかスイスでは厳しいところです。
スイス生活の裏話
スイスで暮らし始めて、とても意外だと思ったことが1つあります。
それは、スイス人の愛国心がとても強いことです。
同じような商品でいくら他のブランドの方が安くても、スイスのブランドの商品しか買わなかったり、ドイツに行けば多少安く買い物できるのに、スイスでしか買い物をしなかったりする人が少なくありません。
いろいろなところでスイスの国旗を見かけたり、標準のドイツ語が話せたとしてもなるべくスイスのドイツ語しか話さなかったり、スイスの人がどれほど自分の国を愛しているか簡単に読み取ることができました。
スイス人のいいところは、自分の国を愛していても、特に旅行者や現地在住の外国人に対して冷たくなったり、いじわるをしたりしないところだと思います。
ただ、政治でもその愛国心が強く出ることがあるようで、私がいた時にちょうど選挙があったのですが、そこで見たのが外国人を排除しろというような宣伝文句でした。
何も差別されたことはなく、むしろかなり親切にしてもらっていたのですが、少しその場に居づらくなってしまったことは事実です。
しかし、ただでさえ4つの言語から成り立っているような国で、さらに外国人がどんどん増えている国なので、できる限り自分の国のアイデンティティーを守ることで必死になってしまって当然なのかもしれないとも思うようになりました。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼントすることにした。
電子書籍の目次等も掲載しているので、
プレゼントページへどうぞ。
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