東南アジア一人旅を通じて分かった海外で身を守るのに必要なこと

私が東南アジア一人旅に出たのは、
下見なしでマレーシアに移住してからだった。

クアラルンプールの歩道橋

旅行で訪れたこともない場所に、
突然住み始めてしまったことになる。

そこから2年で20都市以上周ってきた。

一度に周遊したわけではないし、
マレーシアを起点に断続的に各地に行ってきたことになる。

時にはタイのホアヒンやベトナムのダナンのような
リゾートでリフレッシュするために。

時には投資修行というテーマを持って
セブやバンコク、香港へ。

時には人に会いに行くため
ホーチミンやシンガポールへ。


基本的には東南アジアを一人旅で周ったが、
時には友人と一緒に行くことや、
現地で合流することもあった。

たとえばジャカルタは2人の友人と共に行き、
彼らは2泊で帰って私だけ1週間ほど滞在した。

ドクターフィッシュも体験してきた。

ドクターフィッシュ

あるいはバンコクに行けば現地で働く
友人のTeruと食事に行ったりすることも。

お互い海外在住なので、
プロンポンやトンローの和食レストランへ行くことが多い。


そんなことも時にはあるものの、
基本は一人旅。

最も身軽で誰にも邪魔されない旅のスタイルとなる。


時にはルートも決めずにマレーシアから香港に行き、
そこでマカオからバンコク、ウドンタニ、ビエンチャン、
ルアンパバーンというルートを決めて
周ったこともある。

ちなみに、ビエンチャンとルアンパバーンはラオスの街で、
ルアンパバーンはメコン川や大自然を身近に感じられる。

治安も良くて安心な街。


こうして東南アジアの様々なエリアに行ってみて感じた
身の守り方について記録しておこうと思う。


東南アジアは危険?

ビエンチャン

実際に現地で暮らした経験もあってわかったことだが、
経済が成長している国は原則として治安が改善していく。

これはマレーシアもそうだし、
ジャカルタも同様だった。

犯罪者側としても、
わざわざリスクをおかさなくても、
普通に働けばお金を稼げるようになっていくため。


そのため、東南アジアで一人旅をしていて、
極端に危険な目に遭ったことはない。

基本的には詐欺やスリ、置き引き等の軽犯罪が問題になり、
命に関わるようなことはほとんどない。


私の友人は東南アジアにて
スリ・置き引き・強盗の3つの被害をコンプリートした。

シンガポールのオーチャードロードでスリに遭い、
置き引きと強盗はマレーシアで。

置き引きに至っては、
一般に安全とされる空港で被害にあった。

彼は海外居住歴10年ほどの強者だが、
この数年だけでも3つのトラブルに遭遇したことになる。

とは言え、ここまで色々な問題に巻き込まれるのは
周囲の移住仲間を見てもレア。


私自身はマレーシア移住翌日に詐欺にあったが、
それ以外は特に何もなかった。

たとえば、ジャカルタは友人たちが帰って一人旅になってからも、
不安を感じるような場面もない。

夜もフラフラと出歩いていたのに。


ジャカルタといえば東南アジアでも危険なイメージの場所。

事実、マレーシア人でも危険視する街だが、
実際には過去とは状況が変わってきているのを感じる。


ということで、
私は東南アジアを一人旅する際、
よく推奨される肩にたすき掛けにするタイプのカバンではなく、
普通に手に持つタイプに変えた。

それでも奪われそうになったことはない。


荷物を放置しないとか、
そういう基本的な注意はもちろん必要。

一人旅を無事に満喫するためにも、
最低限の注意は絶やさないことが求められる。

しかし、過度の恐れは必要ない。


どうしても治安の情報というのは遅れてやってくるし、
ショッキングな出来事ばかりが語られる。

何もなかった話よりも、
事件に巻き込まれた体験談の方が印象に残るし、盛り上がるので。

私も中国のジュハイで事件に巻き込まれたが、
この話は周囲から持ち出されることもしばしば。

顔面から流血する事件だったし、
傷も1年以上残っていただけにインパクトが強かった。


東南アジアにおいては、
このような負傷を伴う事件に遭遇したことはない。

マレーシアにおいて、
知人の会社の社員が強盗に遭って
ナイフで手のひらを切られたことはあったが、
直接的な面識はなかった上、
彼はマレーシアで働いていた。

そのため、旅行者ではなく在住者という扱い。

また、現場は土地勘のある場所だったが、
旅行者が歩くような場所ではなく、
孤立したコンドミニアムから街まで歩いて行く途中だった。


ミャンマーやベトナム、バングラデッシュのように
治安が悪く危険な国に行く場合は、
シンガポールやラオスのような安全な国よりも
より注意が必要なのは当然のこと。

同じ国の中でも、
ホーチミンやハノイは
ダナンやホイアンよりも危険といった
街ごとの傾向もある。

時にはホテルで車をチャーターして移動するなど、
安全のためにお金を使って
事前に手配しておく方が安心な場合もある。


一人旅のトラブルの例

バンコクの雑踏
色々な国を周っていると、
トラブルに巻き込まれることもある。

東南アジアの中で安全とされるバンコクでも、
時にはあやしげな男たちが寄ってくることも。

たとえば、ワットプラケオという寺院に行った時のこと。


ワットプラケオに行くのは2度目だった。

初めてタイを訪れる友人を案内したのだが、
タクシーで途中まで行き、
入口近くは渋滞していたので徒歩で向かった。

すると、トゥクトゥクの運転手が声をかけてきて、
頼んでもいないのに勝手に説明を始めた。

彼らが言うところによると、
ワット・プラケオは今の時間帯はイベントが催されており、
3時間先まで一般の来場者が入れないらしい。


どうせ嘘だろうと思って無視したが、案の定だった。

なんのとどこおりもなく、普通に入場できる。

同行者とともに苦笑いするだけだったが、
怒って引き返してくる人はいないのだろうか?

あからさまな嘘で観光客を騙すトゥクトゥクの運転手は、
ムエタイファイターだったり、
武装していたりするのだろうか?

とにかく、トゥクトゥクのトラブルは多いので、
バンコクではタクシーやスカイトレイン、地下鉄を使うことをお勧めする。


また、同じくバンコクで一人旅をしていたら、
ASOK駅の近くでアラブ人に声をかけられた。

BTS・ASOK駅

最初は英語で道を聞かれ、
和食レストランへの道を伝えると
片言の日本語で話しかけてきた。

そして、日本のお札を見たいと言ってきたが、
どうもこの男はバンコクにいる常習犯のようで、
現地在住の友人も3回声をかけられたと後日聞いた。

どうやら偽札を使って両替詐欺を行っているらしく、
一見するとこちらに有利なレートでの交換を持ちかけてくるが、
向こうが出すのは偽札ということ。

見るからにいかがわしい風貌をしているので、
あやしさは満点だった。


こちらはお札がどうこうと行ってきた段階で、
NOと言い残して足早に立ち去った。

この手の輩に丁寧に説明をしてもろくなことはない。

こちらが話し合いに応じる気がないことを
態度と行動で見せつけるに限る。


バンコクは東南アジアへの旅行先としても定番だが、
このような手口での犯罪は典型的。

治安が悪い国ではないが、
手放しに安全とは言えない。


また、東南アジアの一人旅においてトラブルが多いのは、
タクシーに乗る時。

複数人なら安全というわけでもないが、
やはり1人となると向こうもチャンスと感じるのだろう。

無茶苦茶な話をしかけてきて、
こちらが応じないと怒鳴ってきたりすることも。


タクシーの評判が悪い国としては、
ベトナムやインドネシアが有名。

ベトナムのタクシー

ベトナムならマイリンタクシー・ピナサンタクシー、
インドネシアならブルーバード・シルバーバードタクシーのように
比較的安全な会社を利用することが推奨されている。


ただし、個人的な印象としては、
マレーシアも相当ひどかった。

私が住んでいたため、
利用頻度が高かったこともあるのだろうが、
これまでに経験したタクシーのトラブルの8割以上は
マレーシア国内だった。

その後に住んだフィリピンにおいては、
ほとんどそういったことがない。

マレーシアで経験した例で言うと、
「元の場所に戻る必要があるからメーターの倍の料金」
と運転手がふっかけてきたり、

向こうが最初に提示した額(メーター利用より高額)を
時間がなかったので了承して乗車した所、
「思ったよりも遠い、この料金じゃ割に合わない」と
最初から目的地を伝えているのにごねだしたり、

深夜料金の適用されない時間に
夜間料金として上乗せしようとしてきたり、

ぼったくりの金額を行ってきたタクシーに乗るのをやめたら、
延々怒鳴りつけてきたり。

特にインド系のドライバーはカオスな状態だった。


集団であればドライバーに対する威圧感もあるが、
一人旅だとその点で向こうにはカモとして映る部分がある。

特にマレーシアの一部のドライバーのように、
とりあえず文句をつけて相手の反応を見るのが横行している場合、
プレッシャーをどれだけかけられるかは重要。

この点は単独行動の弱点だし、
女性であればなおさら甘く見られがち。

クアラルンプールのように地下鉄等の整備されている街では、
トラブル防止のためにタクシーは避けた方が安心。


レンタカーやレンタルバイクも、
フィリピンのように悪徳警官が賄賂を要求してくる国では
無防備に運転するのは危険。

交通違反をしていたと言いがかりをつけられたりするので。

また、万が一事故を起こした時のことも考えておく必要がある。

レンタカーは自由に移動できて便利だが、
海外で運転するリスクへの配慮は必須。


身を守る切り札となる持ち物

ホイアン
本当にいざという時に備えて
常備しておきたい持ち物がある。

それは旅先の国の通貨での1万円程度の現金。


東南アジアを一人旅していて面倒に巻き込まれる場合、
それはほぼ金銭目的。

いざという時にはお金を出して
解決するのも1つの方法。

キャッシュカードやクレジットカードが入った財布を取られたり、
身に危険が及ぶことを考えれば
ある程度の現金を渡したほうが賢明と言える場面もある。


お金がなければ取られないという考えもあるが、
相手が逆上したら危険なことになる。

保険のようなものと割り切って、
常にこのくらいの現金は持ち物の中に入れておいた方が
いいのではないかと思う。


私自身、それを使ったことはないが、
やはり安心のための費用として割り切っている。

仮にも海外に行くわけだし、
多少のコストで安全度が増すなら悪い話ではない。


これは東南アジアの一人旅に限らず、
基本的にどこの国に行く時にも取っている対策。

1万円で身の安全が買えるなら、
そこを節約するのは賢明ではない。


先進国の方が新興国より安全という嘘

紋切り型のイメージだと、
東南アジア諸国のような新興国は、
先進国に比べて治安が悪いイメージがある。

一人旅だとこうしたことが気になるし、
女性ならなおさらだと思う。

しかし、世界各地を周ってきた経験から言うと、
先進国が新興国よりも治安が良いというのは
時代錯誤な話になってきている。


これには2つの側面がある。

1つ目は、新興国の中でも安全なエリアが増えていること。

私はフィリピンの首都、マニラにある
マカティに1年住んでいたことがある。

マカティ

こちらは一人旅というより、
コンドミニアムを借りて暮らしていた。


フィリピンは治安が悪い国というレッテルを貼られているし、
国家全体で見ればそれは事実。

しかし、マカティや隣町のグローバルシティに限れば、
新宿のような街よりも安全に感じる。

こういった外国人向けのエリアについては、
大幅に治安を改善して外貨を獲得しようとする国もある。


バンコクやラオス、シンガポールでも身に危険を感じたことはない。


2つ目の理由は、
先進国も移民や失業問題によってスラム化するエリアが増え、
安全とは言えない街も多いこと。

初めてニューヨークに行った時には、
マニラよりも危険な雰囲気を感じた。

ニューヨーク

その時も一人旅だったが、
東南アジアのどの街よりも空気は緊迫していた。

ワシントンDCも同様だったし、
超大国アメリカですら安全とは言えない。


では、ヨーロッパの先進国はどうか?

たとえば、フランスの首都、パリ。

こちらも移民問題に悩まされ、
一部エリアは荒れているのが実態。

手放しに治安が良いとは到底言えない。


これはパリばかりではなく、
ロンドンやフランクフルト、ミュンヘン等でも同様。

ミュンヘンの一部のエリアは、
すでに白人の方がレアになっていた。
ミュンヘン中央駅近く


結局のところ、
先進国でも安全なのは一部の国だけで、
特に貧しい移民が流入する国は治安が荒れやすい。

東南アジアの代表的な街の方が
リラックスして一人旅ができると感じることもしばしば。


また、ヨーロッパは英語が通じるといった誤解もあるが、
そんなことはない。

スペインのようにほぼ英語でコミュニケーションが取れない国もあるし、
東南アジアと大きく変わる印象はない。

ヨーロッパで英語圏の国なんて
イギリスやアイルランドのようなごく一部なので、
言語の壁というのもあまり変わらないのが実際のところ。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
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することにした。


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