タイの物価が安くないという説をバンコク在住者が検証

サイアム駅近く
ネット上の情報を見ると、
バンコクの物価は安いという話と、
日本と変わらないという話が出ている。

一方が間違っているとか、
情報が古いという話ではなく、
これにはちょっとしたカラクリがある。

タイを含め様々な国に行って実感するが、
物価は一概に高い・安いと言えるものではない。

品目によって違ってくるし、
必ずしも国の発展度や経済力にも比例しない。

では、どんな仕組みになっているのか?


周辺国と比べると

バンコクのホテルのロビー
バンコクなら5000円で泊まれるレベルのホテルが
ミャンマーのヤンゴンでは1万円を越える。

経済力で言えばタイの方が明らかに上なわけで、
一見するとおかしな話。

しかし、実際に需給バランス等の兼ね合いで
このような現象が起きている。

一方、ベトナムのハノイやホーチミンなら
バンコクより3割程度安いホテル代に設定されている。

ここは経済力のバランスで言えば順当で、
こうしたケースも存在する。

そして、品目ごとに価格帯が様々ということは、
ライフスタイルや訪問の目的によって
バンコクの物価の安い部分の恩恵を受けられるのか、
それとも高い部分に直面するかが変わってくる。

基本的に、
日本の田舎で節約生活をするのと、
バンコクで同じような生活をするのなら
物価は大して変わらないと感じるはず。

日本でも2万円や3万円代の家賃で
借りられる部屋はあるし、
タイでも外国人価格だとこの程度が最安値。

質にこだわらないのなら、家賃に大きな差はない。


もっとも、タイの中でもバンコクで住まいを探すなら
それなりにコストがかかる。

安くで暮らしたいのなら、
北部のチェンマイが人気の街となる。


食費は安いのか?


バンコクなら屋台の食事が
数十円から100円代で済むが、
和食はランチメニューでも500円ぐらいはする。

時々和食を食べる生活を送るなら、
日本で自炊するのとあまり金額的に変わらない。

古くはタニヤ周辺、現在はプロンポンやトンローが
日本人街となっており、和食レストランも多い。

たとえば、居酒屋系で人気店と言えば、
なぎ屋、てっぺん、しゃかりき432”等が
バンコクでも人気店となっている。

しゃかりき432の店内

この写真はAsokのしゃかりき432”で、
日本と変わらないクオリティの味を楽しめる。

ただし、価格もそれなりで、
1人当たり1,500バーツ以上、日本円で5,000円以上
かかることもざらにある。

絶対額だけを見れば安さは感じない。

タイに移住して安くで暮らすつもりだったのに、
日本人同士での交際費が思いの外生活費を圧迫して
計算外に感じる人もいる。


もっとも、このレベルの美味しさを海外で味わえるのは
十分すぎるだけの価値があると思うが。

チェンマイやプーケットに行くと、
どうしても和食レストランの質は落ちる傾向にあり、
やはりタイでもバンコクは特別。

他にも生そばを食べられるあずま、
牡蠣専門店のかき小屋、
地鶏料理が充実したくまもと地鶏や等、
プロンポンからトンローにかけては
特定の食材に特化した専門店も多い。

もちろん、常に屋台で済ませられるなら、コストはもっと抑えられる。

屋台の魚
カットフルーツが50円程度で売られているので、スイカやパパイヤ、マンゴー、皮を向いたグレープフルーツ等を道端で購入して食べることも可能。

フルーツの屋台

ローカルな店なら、
たとえばパッタイやチャーハンを
50バーツ程度で食べることもできる。

これなら170円程度ということになる。

パッタイ

上記写真はタイの麺料理のパッタイ。

トムヤムクンであっても、
ローカルレストランであれば80バーツほど。

日本で食べるよりもずっと安い。

他にもソムタムやガイパットメットマムアン、
カオソーイ、ヤムウンセン等タイ料理が好きな人には
バンコクはたまらない。

イタリアンもかなり充実しているが、
パスタで500円程度から。

水道光熱費やネット代等のインフラ関連は日本とくらべても安いことはない。
同じぐらいの金額になる。
ひたすら安値を求めるのであれば、バンコクの物価は噂に聞くほど安くないと感じることになる。


観光にかかる費用は?

チェンマイの寺院
バンコクをはじめとして、
タイはホテル代が安い。

では、観光の際にかかる入場料等はどうか?

バンコクを代表する観光スポット、
ワット・プラケオおよび王宮の場合、500バーツ。

すぐ近くにあるワット・ポーが100バーツ、
ワットアルンが50バーツ。


ワット・プラケオの500バーツはかなり高い部類で、
入場料でこのレベルの金額だったのは、
記憶にある限り
パタヤのサンクチュアリ・オブ・トゥルースぐらい。

サンクチュアリ・オブ・トゥルース

サンクチュアリ・オブ・トゥルースも同じく500バーツだった。


タイの象徴、象に乗る場合、
バンコク近郊のSamphran Elephant Ground & Zooなら
1300円程度。

映画は400円程度で見ることができるため、
タイまで来て特に見る予定はなくても、
スコールが降っている間のひまつぶしに気軽に利用できる。

ターミナル21の映画館
上記はバンコクのショッピングモール、
ターミナル21の映画館のチケット売り場。

料金は安いが、内装は申し分ない。



インフラは割高

タイに限らず、新興国は
インフラがまだまだ未発達な部分があるため、
電気代等は安くない傾向にある。


たとえば、アパートメントを借りた場合、
月の電気代が一人暮らしで2,000バーツということも。

コンドミニアムの方が安くなりやすいが、
それでも1,000バーツ以上かかることも珍しくない。

なお、タイでのアパートメントとは、
オーナーが一棟まるごと所有している物件。

コンドミニアムは部屋ごとにオーナーが異なる物件。

日本で言うアパートとマンションのような
価格が高いか安いかの違いではなく、
所有形態の違い。


ネットの固定回線は
私が使っているもので月々1,000バーツ弱。

こちらは自宅のエリアで選べるコースの中で
もっとも速いコースの料金。

水道代は安く、
月に単身者世帯なら100バーツ台で済んだりする。

ただし、水道水は飲めないので、
飲用水は別途購入することになる。



格安な交通費

バンコクの場合、
東南アジアの多くの都市のように
交通インフラが整っていないということもない。

以前に住んだフィリピンのマニラは
外国人が安心して乗れるクオリティーの電車はなかったが、
バンコクにはスカイトレインと地下鉄があり、
ワシントンやパリに比べても車内の治安の良さを感じる。

MRTの車内

スマホを普通に取り出して使えるのも、
安全が確保されているからこそ。

アメリカの首都、ワシントンよりも
地下鉄内の雰囲気だと安全で豊かな感じすら受ける。

エアコンがききすぎているのは難点だが、
スカイトレインや地下鉄を使えば
いちいちトラブル覚悟でタクシーに乗る必要もない。

料金はスカイトレインの近場の区間で
15バーツ、50円程度から。

交通費の安さがうかがえる。

かなり遠くまで乗っても、45バーツだった。

地下鉄の場合は、
距離に応じて15バーツ〜40バーツに設定されている。

なお、スカイトレインは
切符の購入に硬貨しか使えない券売機が大半で、
お札しかない場合は駅の窓口で両替してもらわなければならない。

そのため、スカイトレインを利用する場合には、
常に硬貨を手元に残しておく方が便利。

もしくはラビットカードを購入すると、
suicaのようにチャージした金額が残っている限り
自動改札をタッチするだけで通過できる。


タクシーは初乗り35バーツ。

タクシー

100円を少し超えるぐらいなので、
とても使いやすい。

時々乗車拒否もあるが、
バンコクでは以前住んだマレーシアのように
脅されたりするようなトラブルはない。

ツーリストポリスも
タクシーの不正行為には目を光らせているので、
このあたりは安心。


バイクタクシー(モーターサイ)はタクシーよりも安く、
距離によって金額が変わってくる。

近場なら10バーツ程度から。



ただし、安全面で多少の問題があるので、
乗る時は注意が必要。


国内での移動も安く、
バンコクからパタヤへのバス移動は120バーツ。

2時間半ほどで到着する。

バンコクからチェンマイへの移動も
エアアジアやNok AirのようなLCCを使えば
2,000円台で乗れることも。

タイの交通費は総じて安い。



タイの生活費をシミュレーション

生活費として月に15万円ほどの予算があったらどうか?

一人暮らしをするとして、月に7万円の家賃でプール等の付いたコンドミニアムに住める。

airbnbで泊まったコンドミニアムだと、
こんなプールとジムが付いていた。

チェンマイのコンドミニアムのプール
ジム

プールが9階にあるため、眺望も良好。

ついでに、読書室や会議室も完備されていた。

これらは住人なら無料で利用できる。

なぜかネットが付いていない卓球台も。

こちらはトンロー駅から車で10分ほど
北に行ったところにあるコンドミニアムだった。

バンコクは50円程度から
地下鉄・スカイトレインにも乗れるので、
移動もとても便利。

中心部から離れて、
同じぐらいのグレードのコンドミニアムに
家賃5万円程度で住む手もある。

プロンポンやトンロー、シーロムのような日本人街に住めば、
周りに和食レストランがいくつもある。

タニヤ通りにある築地寿司のランチメニュー、
たしか300バーツほど。

タニヤの築地寿司

こちらも築地寿司の近く、
シーロムの「北海道」という和食レストランのさんま定食で、
220バーツ前後と記憶している。

サンマ定食

一切自炊をしないとして、
朝食を屋台で200円弱で済ませ、
昼食と夕食を和食レストランや
外国人向けレストランで食べて合計1800円とすれば、
月の食費が6万円。

これで料理の手間や時間から解放され、
日本と変わらないレベルの和食も食べられる。

残り2万円を雑費とすることが可能。

もちろん、食費や家賃はもっと削れるので、
プライオリティーを感じるところに使うことも可能。

部屋は狭くていいとか、
食事はもっと屋台で済ませるとか。

上記はかなり余裕を持たせたシミュレーションなので。


人件費が大きなサービスは安い

バンコクならマッサージ代が安く、
1時間800円程度でプロのマッサージを受けられる。

タイマッサージの看板
タクシーも初乗りが100円弱で、
バイクタクシーなら40円程度から。

先日行った美容院は1800円ほどだった。

美容院ならもっと安い店もいくらでもある。

こうした人件費関連はとても安い。

タイは東南アジアの中でも経済発展しているが、
人件費はいまだに安く、
時給100円程度でバイトを募集しているので。

流通面での強み

バンコクの物価の安さを感じるものとして、
他に服や靴、小物が挙げられる。

こちらはMKBやプラチナムショッピングセンターに行くと如実に感じることになる。

Tシャツが300円程度で売られていたり、
シャツが500円だったり、
スニーカーが1,000円台だったり。

スニーカー
ざっくり言えば、日本の5分の1ぐらいの相場に感じる。
実際、バンコクで仕入れて日本で販売している業者もいるらしい。

なぜそこまで安いのかと言うと、
タイが位置的に周辺の東南アジア諸国から物資が集まり、
流通の拠点になっているため。
一度タイに集約して他の国に送る流れなので、
物流コストが安くで済む。
近くにはミャンマーやカンボジア、ベトナム等があるため、
これらの国から一度製品が集まってくることになる。

結果、マレーシアやフィリピンよりも
安くで服等を購入できるようになっている。

私もマレーシア在住時は
バンコクに遊びに来たついでに服を買っていた。

マレーシアで買った場合との差額で
航空券代が浮いてしまうこともしばしばだった。

しかも、常夏のタイでは、
基本的に夏用の服しか要らない。

スカイトレインや一部のレストランは冷房がきついので、
上着が1枚必要な程度。

家計にも収納スペースにも優しい環境。

マッサージやエステ、服などを
目当てにバンコクへ旅行に来る人もいるが、
物価の安さを利用して買い物をすれば、
実際に旅費代ぐらいまかなえてしまう。

しかも、バンコクはホテルが乱立して競争過剰気味なため、
5,000円弱で中級ホテルに泊まれるし、
1万円も出せば5つ星ホテルに宿泊することも可能。

こうした点を考えると、物価の恩恵を受けることができる。

医療費は保険がきかないと高額になりやすい

ツルハドラッグ
バンコクの外国人向け病院としては、
サミティベート病院やバムルンラード病院、バンコク病院が
3大勢力と言って良いだろう。

他にもアソックからプロンポンにかけて、
日本語が通じる歯医者や薬局もある。

サミティベート病院等は基本的に自費診療ではなく、
旅行保険で費用をまかなわれる前提で
料金設定やサービス提供をしている節がある。

これはタイに限ったことではなく、
新興国の外国人向け病院ではありがちな姿勢。


何度か診療や治療を受けたが、
その限りでは日本で自費診療を受けるよりは安く、
日本で健康保険が適用されて3割負担の場合よりは割高。


また、救急車を呼ぶ場合にも費用がかかる。

サミティベート病院の救急車

たとえばバンコク病院の場合、
救急車のみで2,400バーツで、
医師が乗ると5,000バーツが上乗せされる。

電話番号は1724。


サミティベート病院の場合には、
基本料金が1,500バーツで、
医師が同乗の場合は2時間以内で3,500バーツ。

電話番号は0-2712-7007


バムルンラード病院は3,050バーツで、
医師と看護師が乗ると最大で9,300バーツ。

電話番号は0-2667-2999

上記3つの病院の番号は24時間対応なので、
タイで急病や深刻な負傷をした場合にはご参考に。


生活費を下げたい場合には

チェンマイの寺院
バンコクの物価を高く感じる外国人にとって、
定番となる行き先は同じタイの中ならチェンマイ。

こちらは家賃が半分程度になるため、
生活費が大きく下がる。

旅行者にとってもホテル代が安い街として知られ、
アジアの有名な街の中でも最安値圏に入る。

そのため、ロングステイ先に選ぶバックパッカーもいる。


とは言え、インフレが続くタイにおいて
チェンマイと言えども物価上昇の例外ではない。

さらに言えば、
1ドルが80円を切っていた時代には
1バーツが2.7円を下回っていたこともあった。

あの頃の為替レートを忘れられないために
タイ生活が高くつくようになったと感じる人もいる。


そこで、さらに安く暮らせる場所を求め、
東北部のイーサーン地方を考慮する動きも出ている。

コンケーンやウドンタニのような
地方都市を目指すというが、
日本人が生活する基盤が整っている
バンコクやチェンマイと違って、
タイ語ができないとハードルが高い。

ある程度タイ語や海外生活に慣れているのなら
奥地へと進んでいくのもありだが、
今まで日本にしか住んでいなかった人が
いきなり外国人の少ない街に移住するのは
難易度が高いのでお勧めしない。


仮にバンコクを避けるとしても、
チェンマイやプーケット、アユタヤ、パタヤ等が
タイ暮らしの第一歩としては妥当ではないかと。

ただし、パタヤは夜中まで騒がしいエリアが多く、
交通費も同じルートを巡回するソンテウ以外は
バンコクよりも割高。

ソンテウ


ちなみにソンテウは乗り合いの小型バスで、
フィリピンで言うジプニーのようなもの。

この巡回のソンテウは10バーツから。


バイクタクシーやタクシーの価格は交渉制で、
バンコクの倍近くの額を提示されることも。

ソンテウが巡回しているルートは
ビーチロードやセカンドロードのような
限られたエリアのみとなる。


また、プーケットはバンコク以上に家賃が高く、
一方で地下鉄等の公共交通がないため
車を持っていないと住みづらい。

プーケットは物価の安さや利便性を理由に
移住先として選択できる街ではない。

ビーチリゾートとしての環境が気に入った人なら、
満足できる暮らしを送れる可能性はあるだろう。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼント
することにした。


電子書籍の目次等も掲載しているので、
プレゼントページへどうぞ

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