
私が初めてバンコクに来た時には、ラチャダービセークという大通り沿いにあるSwissotelに宿泊した。
この時には三人の友人とシンガポールからやって来て、バンコクで他の友人たちとも合流して一週間ほど過ごしていた。
それから約三年が経って、チャクリー王朝記念日が過ぎた頃に再び同じ通りを歩いていたら、ロビンソンというデパートが潰れていたことが分かった。
どうやらロビンソンが倒産する前に、一度韓国系のデパートがテナントとして入っていたらしく、そこの処分品セールのようなものもやっていたが、既に建物の大半は取り壊しになっていた。
競合との競争が激化
近くにはエスプラネードという大きなショッピングモールが出来ていたりして、かなり激戦区になっているのは間違いない。ロビンソンの跡地のすぐ隣にはBIG Cというショッピングモールも入っていて、安くでご飯を食べられるフードコート等もあるので、需要に対して供給が過剰である感は否めなかった。
先日もBIG Cのフードコートで食事をしてきて、例えばもち米を使った日本風のちまきもあったし、生野菜のとりあわせとか、今川焼に近い中国系のお菓子を食べてきたが、どれもかなりレベルが高かった。
こういった店が近くにあるということで、やはりロビンソンも圧されていたのだと思う。
私としては思い出があるデパートだったので、その点は残念なところではあった。
どういった思い出があったのかというと、初めてバンコクに行ったときに、友人からプーケットの自宅に来ないかということで招かれて、その準備として水着や着替えを何枚か購入したのがロビンソンだった。
残念ながらリゾート地で着るような水着が売っていなくて、やむなく競泳水着を買うことになってしまったのだが、そういったことも今となっては良い思い出となっている。
しかし、今回ロビンソンの前を通りかかって、建物が既に取り壊されていたのはかなりショックだった。
確かそこそこ美味しいラーメン屋が入っていたのもこのロビンソンだったはずなので、その店も今どうなっているのかは分からない。
タイは飲食店であったり、あるいはこういったショッピングモールの新陳代謝もかなり激しいので、出店すればひとまず儲かるというほど甘い状況ではないのは間違いない。
そして今回はその事実を改めて確認することになった。
確かにタイ人は消費意欲が旺盛だし、日本円で千円弱の顧客単価の飲食店であっても、しっかりとお客さんで埋まっている。
もちろんそれは接客であったり、あるいは食事のおいしさであったり、そういったものが一定基準に達していることが条件になるが、日本に比べればまだまだ競争は緩いのが率直な印象。
それでも今回のロビンソンのように撤退を余儀なくされることもあるし、そういった中で経営をしていくのは生易しいことではない。
しかしながら、日本国内のし烈な過当競争に比べれば、まだずっと可能性があるのは間違いないし、そういった意味でまだまだ海外進出をしていく余地は日本企業に残されている。