ハンガリー、ブダペストの治安は良かったが大きな問題も




東欧の一角ハンガリーの首都ブダペストの治安は、9年ぶりに訪れても特に不安を感じることがなかった。

もっとも9年前に初めて来たときには数時間しか滞在していなかったので、あの時のブダペストが安全な街だったかどうかということについては、いまいち印象がない。

当時は、ベネチアを出て夜行列車で東駅にやってきたのだが、そこの駅員や荷物を預かってくれる所の人が親切だったというぐらいで、後は町歩きを数時間楽しんだだけでウィーンへ と移動したので、当時と今の比較をできるほど9年前のハンガリーを理解しているわけではない。


しかしながら、先日1ヶ月以上ブダペストとその近隣にあるセンテンドレやエステルゴム、ヴィシェグラードを回ってきた限りでは、特に危険という印象はなかった。

センテンドレ


エステルゴム


ヴィシェグラード


ブダペストで物騒な気配を感じた出来事と言えば、泥酔していたのか、それとも薬にでも手を出しているのか分からないが、同行する友人らしき男になだめられながら何かをずっと叫んだり、ショーウインドーを拳で叩いている不審者を見かけた。

1ヶ月も滞在していれば、こういった人を遠回しに眺める機会は、どの国でも1度ぐらいはあるもので、実際に彼が人に絡んでいたわけでもないし、私が絡まれていたわけでもないので、小さな出来事という扱いでいいだろう。

そういった事件に過剰に敏感になる人もいるが、たとえ日本であっても怪しい人は危ない人というのは少なからずいるものなので、いちいちそれに反応していたら神経が持たない。

そもそも、その基準で身の置き場が世界のどこかにあるのかということ自体が疑問になってしまう。

そういったレベルの現実的な判断をする限りブダペストは治安の悪い街という印象は一切受けなかったし、夜に一人歩きをしていても特に怖いと感じるようなこともなかった。

ヨーロッパの中でも、パリやロンドン、フランクフルトの1部地域、つまり移民が住み着いたりしているようなエリアよりも、よほど安全な街という印象。

もともと東欧はハンガリーも含めてそれほど経済が強いわけでもなく積極的に貧しい移民がやってきて職を求めるような場所ではないので貧富の差も小さく街がスラム化するような状況も少なくともブダペストにおいては存在しない。

1ヶ月滞在してみて、このままビザの問題さえ解消できれば住みたいとすら思った街なので、それだけ身に危険を感じずに暮らせるということ。

そして町並みは美しく、パリにも似たところがある一方で、ドナウ川周辺は自然も多く、さらにドナウ川を渡って西側に行くと、緑の多い住宅地になってここら辺も住環境という観点で見た場合にとても魅力できだった。

他にも、日本に一時帰国した際に会った人の話では、数年前にブダペストのセーチェーニ鎖橋で偽警官に遭ったらしい。



この鎖橋はブダペストを代表する観光スポットの1つで、西側には漁夫の砦やゲッレールトの丘、ブダ城があるブダ地区、東側には国会議事堂や聖イシュトヴァーン大聖堂、中央市場がある。

多くの外国人旅行者がやって来るだけあって、この場所が狙われたのだろう。

セーチェーニ鎖橋でトルコ系の二人のニセ警官に声をかけられたが、地球の歩き方か何かのガイドブックにブダペストでの犯罪の典型的な手口として掲載されていたため、すぐにピンと来て追求したところ、相手が逃げ出したらしい。

なお、この一帯は風光明媚な場所なので、ブダペストに来たらマストで訪れたい場所。

漁夫の砦


ドナウ川対岸から臨む国会議事堂



他にも東駅等での両替詐欺も有名で、両替商の前で並んでいると、非公式な両替を有利なレートで持ちかけられ、それに応じるとニセ警官が来て違法な両替をしたとして賄賂を要求されるもの。

こういった犯罪はあるものの、ヨーロッパの中でもハンガリーは安全な部類に入っている。

ただし、ブダペストの今後の治安に関しては大きな懸念材料も浮上してしまった。


難民の急増による影響

2015年にシリアから大量の難民が流れてきたことは大きな話題になったが、その際にドイツ等を目指す難民がハンガリーを通過し、私としても馴染み深い東駅の列車が難民でいっぱいになるという映像も見かけた。

かなりショッキングなニュース映像だったが、ハンガリー政府としては難民の受け入れには難色を示しており、その姿勢をドイツが批判したりしていたが、もともと経済的にそれほど強くないということもあって、ハンガリー側に難民を受け入れるだけのキャパシティがあるかどうかということを考えれば、現実的な政治判断だろう。

まして、ドイツのように大国としてのメンツというものも元々存在しないわけで、無理に難民を受け入れるような動機もない。

ドイツは、ヨーロッパとしての基本的な価値観を共有できないのであれば、コミュニティーとして成り立つのだろうかといった皮肉まで言っていたが、そもそも大国としてのメンツを守りたいドイツやフランス、イギリスといった国と、世界的に何の影響力もなくひっそりと存在しているだけのハンガリーや多くの国とでは被害関係が一致するわけもない。

そもそも考え方や価値観を共有できると思っていること自体が馬鹿らしいし、それが分かった上での政治的なパフォーマンスだったのだろう。


それはそれとして、ハンガリーは難民の多くが通過点として選んだだけで、必ずしもそこを移住先として選択している訳ではないが、少なからぬ難民が結果論としてハンガリーに住み着いているという事実もあり、それによって今後治安が悪化していくということは充分に考えられる。

ヨーロッパは、事実上の社会実験として、難民がコミュニティーに与える影響というのをこれまで長きに渡って結果を示してきた。

その結果、貧しい国からの移民が住み着いたエリアは事件が増え、治安が悪化することは最早、分かり切った事となる。

それに対応しきるだけの警察のコストも負担になるし、そもそも職がなければ犯罪に走る人が多いのは仕方がない。

そして難民の6割から7割は成人男性なので、彼らを押さえつけるというのはなかなか難儀な事業となる。

ドイツでも2016年の年明けに早速ケルンで大規模な集団暴行事件が起きていたが、ハンガリーに至ってはそもそも難民の受け入れをドイツほど積極的に行っていたわけではなく、無理やり入ってこられて、挙句に犯罪件数まで増えたり、あるいは職を奪われたりしたのでは たまらないという気運が高まると、外国人への排斥感情が強まる可能性がある。

そうなってくると、ただ単に犯罪件数が増えるという意味での治安悪化以外に、日本人やアジア人も含めた外国人への嫌がらせや、暴言、罵詈雑言等のことが増えて住みづらく、旅行先としても魅力が落ちていく懸念がある。


ひとまず、一応東欧に入ってみて様子を見たいと思っているが、ハンガリーはこの難民の件については非常に大きな影響を受けている国なので、治安面に関しても今後慎重に考えていかなければいけないと思っている。

私も2015年の3月か4月に1ヶ月ほど滞在したが、その時期と2016年以降では、もはや別の時代が始まってしまっていると考えた方が良いのかもしれない。

決して楽観視できるような状況ではないので、この点については、石橋を叩くつもりで検討していく必要がある。


追記:2016年には難民問題は下火に


2016年に再びブダペストを訪れ、
難民ですし詰めになっていた東駅にもやって来た。

結論から言えば、
すでに東駅は平静を取り戻し、
難民らしき人の姿も目につかなくなってきた。

ハンガリーはシリアの難民問題について、
早い段階からドイツの説得を振り切って
受け入れ拒否の立場を鮮明にしてきた。

時には国境にバリケードを作ったことも。

そうした対策が実を結び、
当初は多くの難民がハンガリーを経由して
ドイツを目指していたが、
彼らもハンガリーを通らないルートを
主に選択するようになった。


結果、2016年5月の段階で、
すでに難民問題の直接的な治安への悪影響は
見られない状態になっていた。

結果、ドイツやフランスのように
移民・難民問題を抱えて立ち往生している国よりも
経済的にはずっと弱いながらも
治安面では良好な状態になっている。

パリやミュンヘンの中に危険エリアができているのに対し、
ブダペストの方がよほど落ち着いている。


ハンガリーの他の街でヒヤッとしたこと

ブダペスト以外にも、ペーチュ、エゲル、デブレツェンも訪れた。

その中で気になったのは、まずペーチュでの出来事。



ハンガリー名物のベリーソースのかかった肉料理と
ビールで夕食を済ませ、
メインストリートをAdele Boutique Hotelに向かって
南下していく途中で、話しかけてきた男がいた。

海外で暮らしているとスルースキルが発達するもので、
当初は特に意識もせずに無視していた。

しかし、併走してくる時間が長い。

視界の端で確認したところ、
20歳前ぐらいの若い男で、ハンガリー人としては細身。

別に威圧的なわけでもなく、
かといってうさん臭さを振りまいているわけでもない。

ただ、しつこい。

てっきり何かの営業かと思っていたが、
あまりにも長々ついてくるため、
募金の勧誘か何かと思ってちらっと見てみたが、
そういったわけでもなさそう。

しかも英語ではないため、
どうやらハンガリー語で話しかけてきている模様。

内容がさっぱり聞き取れない。

そのまま無視して歩いていると、
150メートルほどついてきた終盤になって、
とうとう苛立った声を出し始め、
その後、元来た道へと去っていった。

このこと自体は恐ろしい体験でもなかったが、
地元民らしい若者を怒らせるというのは、
その後のことを考えるとリスクがある。

彼自身は気弱そうだったが、
仲間うちに凶暴な人間がいてもおかしくないし、
若者のムダに余ったエネルギーをぶつけられても迷惑な話。

しかし、ペーチュにおいては、
この通り付近に近づかないとレストランも少ない。

こうして、なんだか居心地が悪くなってしまった。


ちなみに、クロアチアのザグレブから
ハンガリーのペーチュへの鉄道には冷房がなく、
6月の車内は40度を越える猛暑になっていた。

座っているだけで汗だくになるレベル。

ブダペストからエゲルまでの鉄道も同様だった。



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