淡いというより薄い大学生活


高校時代の反動もあり、
大学では友人を作ろうと思っていた。

そして、臨んだクラスでの顔見せ。

2流大学なので大部分の学生は現役のはずだが、
大学内で行われている大学主催の顔見せ会で
ビールが並んでいるのはいいのか?


そんな疑問はさておき、
私が到着した時には同級生になるのであろう学生たちが
普通に酔い始めていた。

そして、それぞれにグループを作っていた。

私は定期を買っていて遅刻したのだ。



ということで、持ち前の人懐っこさのなさを見せつけ、
片隅でサッポロビールの缶を持て余し気味に手で暖めていると、
時折話しかけてくる者もいる。

彼らもまた、数十分前までは初対面だったのだ。

そんなわけで、数人と携帯番号の交換を初めてした。

前日に初めての携帯を買った甲斐はあった。



操作の仕方が分からず、
番号を紙に書いてもらったクラスメイトがいるのだが
帰宅後に登録しようとして悪戦苦闘していた。

翌日になって気付いたが、
私は登録しようとしてうまくいかず、
何十回もリダイヤルしていたようだ。

しかもゴリラを思わせる大柄な男に。

入学早々気持ち悪い逸話を作ってしまった。

その後、彼が私を見る目が
気まずそうであるような気がしないでもないが、
それは気のせいだと思いたい。

そうに違いない。



入学後、すでにクラスメイト達と
距離が開いていることを感じながらも、
この時はまだ友人を作ることをあきらめてはいなかった。

とは言え、その後がまずかった。



大学では、自分の取得する講義を選べる。

それを決めるための猶予期間が1ヶ月近くあるのだが、
この間は受講する講義を決めるために
色々と出て見ることが推奨されている。


こともあろうか、
私はこの期間を事実上出席しなくていい期間と判断した。

まだ受講する講義が決まっていないのだから、
別に出る必要はないのだろうと。

5月に入ってから久しぶりに大学の門をくぐった時には
すっかり学内の友人関係は出来上がり、
今さら入っていけそうな雰囲気でもない。

ということで、めでたく大学でも友人なしという状況になった。



それでも奇特な学生もいるもので、
なぜか頻繁に話しかけてくる者が1人だけいた。

親しげに話したりはするが、
プライベートなことはお互いに話さない。

講義や教授の情報を交換する程度なので
友人と呼べるかは疑問だ。


そう言えば、一度だけ一緒に遊びに行ったことがあった。

別の大学に入学した、
彼の高校時代の友人が主催する大学をまたいだサークルの
(要は遊びサークルということのようだった)
飲み会に大学復帰直後に誘われたのだ。



そんなわけで、
彼とその友人(主催者とは別の)の3人で待ち合わせたが、
彼が大幅に遅刻したため、
飲み会開始から1時間以上遅れて入っていき、
すでに学生ノリで異様なテンションになっているその場になじめず、
遅れていった男3人、座敷の隅で息を潜めていた。

彼らも私に近い属性らしい。


そんな中でも、他の大学からの参加者と少しだけ話をした。

その内の1人の女子は、今年大学に入学したが17歳らしい。

どういう理由かは決して語ろうとしない。

そのくせ、なぜか謎かけをするように疑問を提示したり、
ミステリアスさを演出したがっていたのは覚えている。

途中からどうでもよかったが。


高校時代には共学に通いながらも
女子との交流はほぼないという生活を送っていた私にとって、
相手が同年代の女子というだけで
十分に興味を持てそうなものだが、
面倒くささの方が先立った。


我々が到着して30分ほどで飲み会は終わり、
ぞろぞろと2次会に流れていく学生たちを眺めながら
我々3人は迷いも相談もなく、そっと新宿駅に戻り、
それぞれの家路についた。

別の大学から来た3人目とは二度と会うことはなかったし、
名前も覚えていない。

それぞれに大学デビューを失敗していることは
互いに何となくうかがい知れた。



サークルにも入らず、友人もいない。
そんなことより彼女がいない。

バラ色のキャンパスライフという
巷の噂と無縁であることは残念だったが、
素晴らしい青春時代とやらの高校が苦痛でしかないという体験をしていたので、
幸いなことに失望はしなかった。


というよりも、
人間関係の希薄な大学においては1人でいるのが苦痛ではなく、
むしろ快適に過ごしてすらいた。
6月に入った頃には、
無理に友人など作らない方が気楽だとすら感じていたほどだ。

講義の空いた時間に訪れる図書館は静かであまり人もおらず、
快適な空間そのものだった。


それから持て余した時間を使ってバイトをした。

取りあえず接客業が向いていないことが分かった。


白木屋の厨房で働いたこともある。

夜11時を過ぎると揚げ物の油の入れ替えをするのだが、
その時に失敗してバイト開始から3日目にして油を手にかぶり、
あわてて流水で冷やし、
タクシーで深夜も営業している病院に駆け込んだこともあった。

油がはねるとかではなく、
まさにかぶる感じになってしまったのだが、
不思議と声は出なかった。

叫び声をあげるよりも、むしろ反射的に声を押し殺した。

どこまでも対人能力に欠けているらしい。


たどり着いた深夜の病院には皮膚科の担当がいなく、
耳鼻科医がとりあえずの応急処置をするだけという状況で、
グルグル巻きの包帯の下がどうなっているかは、
翌日に再度病院に行かなければ分からなかった。

包帯をほどいた時、
やけどでぐちゃぐちゃの皮膚が出てきたら、と
想像した時の背筋が凍る様な不安は忘れられない。

深夜に自宅に帰り着いても、
夜が明けるまで眠りにはつけなかった。


翌日、病院の開院時間と同時に手続きを済ませ、
皮膚科の医師の診察を受けた。

ゆっくり包帯をほどいていくと、左手は無事だった。

火を止めて時間がたっていたのが幸いしたらしく、
火傷には至らずに赤く腫れるだけで済んだ。


とはいえ、高温の油がすっかり怖くなってしまい、
バイトはその月で辞めさせてもらった。

職場でも気を使ってくれたらしく、
油の入れ替えは他の人に割り振ってくれていた。

トラウマのようになっていたので
この心遣いには感謝している。



そんな出来事もあり、しばらくはバイトを控えたり、
大学2年の時に一人暮らしを始めたりしながら
大学時代はぼんやりと過ぎていった。


プロフィール第3話:就職しても未来がないのでは?



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