東欧に移住しなかった理由

ブダペスト
心を惹かれながらも、
東欧に移住しなかったのには理由がある。

単純にビザの面で不可能だったわけではない。

たやすくクリアできる問題ではないにしても、
調べた結果として取得できるビザや永住権も見つかった。

しかし、私は依然としてアジアにいるし、
毎年東欧を含めヨーロッパで3ヶ月を過ごしながらも
本格的な移住はひとまず見送っている。

今回は、その理由について。


ビザの費用対効果

東欧に移住する場合、
いくつかのビザが候補に上がる。

たとえばハンガリーで35万ユーロの特別国債を購入し、
投資永住権を獲得する方法。

これなら短期的な居住権だけではなく、
長期的に住み続けられる権利を獲得できる。

しかもハンガリーという
東欧の中でも魅力的な国で。

この話を初めて小耳に挟んだ時には
うまい話しすぎて真偽を疑った。

どうやらスペインやギリシャが
50万ユーロの不動産購入を条件に投資ビザを出しているのと同様に、
ヨーロッパの経済危機を発端にして
海外からお金を流入させるための施策らしい。

要はビザと引き換えに投資資金を外国から引き出すのが
ハンガリーや同様の制度を設けている諸国の意図。

これはチャンスが大きい。


なにしろ、ハンガリーはシェンゲン協定実施国。

他のシェンゲン加盟国との間の国境では
パスポートチェックがない。

ということは、ハンガリーの永住権を持てば、
ブダペストやデブレツェンに移住できるのはもちろん、
同じ東欧のチェコやスロバキア、ポーランド等にも住める。

それどころか東欧を出てドイツやフランス、ベルギー、
イタリア、オランダ等に住むことだって可能。

この価値は計り知れない。


私はすでにフィリピンの永住権を持っているが、
フィリピン以外の国に対しては何の効力もない。

しかし、ハンガリーに限らずシェンゲン圏の国なら
1つの国と同様の入出国管理になるため、
どこかの国でビザを取れば
実質的に移動についてノーチェック。

どの国にいても補足されないわけで、
滞在日数もカウントされない。

ということは、どこか1つの国でビザを取れば、
ヨーロッパの大半の国に移住できてしまうし、
無期限で旅を続けたりできる。


ハンガリーの投資永住権の他にも、
ラトビアでも不動産購入で投資ビザを取れるし、
あるいはリトアニアでワーキングビザを取る手もある。

リトアニアは個人でもスモールビジネスで
比較的ビザが発給されやすいため、
マイナーな国ではあるがメリットも存在する。


同様の方向性で、
ドイツやオランダもSOHOビザが取得しやすい国として知られる。

両国ともにシェンゲン圏なので、
この2つの国は中欧の国だが、
これらの国でビザを取って東欧に移住も可能。


ただどの方法を取るにしても
それなりの手続きは必要になる。

ハンガリーの投資永住権に関しては、
権利の期間が長いだけに情報のキャッチアップが必要だが、
それをサポートできそうな日系のビザ業者は見当たらない。

しかもユーロ危機が理由で創設された制度だけに、
いずれ廃止されることが予想される。

そうなると、既存の取得者に対して
ハンガリー政府がどこまでわかりやすくフォローするかは先が見えない。


リトアニアやドイツ、オランダでSOHOビザを取るにも、
役所に行って数時間の手続きで取得完了とはいかない。

国によって基準は違うが、
ドイツなら現地企業の紹介状も複数求められる。

そうしたコネ作りから始める必要があり、
なんだか不毛な作業と思わざるをえない。


そうした労力を費用に含めて考えると、
ビザ取得の費用対効果が良くないというのが
東欧に移住しなかった理由の1つになっている。


気候の問題

ハンガリー・エゲルの川
もしヨーロッパでビザを取るとすれば、
そのメリットは無期限で(ビザによっては1年期限で)
滞在できるようになること。

もともと日本人は半年に90日以内なら
ビザが必要なく滞在できるわけなので、
それ以上の期間の滞在が前提になる。

では、本格的に東欧に移住したとして、
住環境が素晴らしい期間は1年のうち何ヶ月あるだろう?

これまで住んできたフィリピンやマレーシアと違い、
東欧には季節がある。

その中でも頭が痛いのは冬の厳しい寒さで、
12月から3月は避けたいところ。

できれば11月や4月前半も。

そうなってくると、
東欧が居心地のいい期間は限られてくる。


冬だけ暖かい場所に移動する手もあるが、
その度にアジアに戻ってくるのであれば、
春と秋にビザなしでヨーロッパへ飛べばいいだけ。

あるいはポルトガルのような比較的温暖な場所で
冬だけ避寒する手もある。

ただ、こうなると現地で住宅を借りると
家賃が二重に発生することになる。

それを避けてホテル暮らしをするなら、
今のように毎年アジアからヨーロッパに
90日以内の旅をすればいいのではないかという話も出る。

あえて東欧に拠点となる自宅を持ち、
そこに移住するメリットがあるかというと、
徐々に怪しさが増していく。


人間関係の問題も

現状、私が親しく付き合っている人は
アジア各国に住んでいる。

日本にいる人はもちろん、タイやフィリピン、マレーシア、香港等。

これまでの活動領域がアジア中心だったこともあり、
人間関係もその範囲がメイン。

そうなると、東欧に移住すると彼らと会うのが難しい。

別に何十年も住むとか、永住を前提にするのではなく
せいぜい数年単位での考えなので
別にいいと我慢できる範囲ではあるが、
移住にあたってマイナスの要素ではある。


旅か、移住か

ポーランド・ワルシャワの銅像
90日以内ならビザが不要なわけで、
その期間の中で毎年ヨーロッパを旅するのが
この数年の私のスタイル。

宿泊には主にホテルを利用し、
クロアチアのポレッチや
スロベニアのピランのようにホテルが少ない街では
アパートメントホテルを利用することもある。

最近だとairbnbによる民泊も可能になり、
ますます選択肢が増えた。

こうして期間内に色々な街をめぐりながら、
居心地の良かったブダペストで一ヶ月を過ごしたり、
柔軟に日程は調整している。


仮に東欧に移住したとして、
1つの街にとどまる理由があるだろうか?

ないとすれば、
今の旅の期間が延長されるに過ぎない。

そうなると、
ビザを取得する手間やコストと
90日でアジアに戻るフライトの身体への負荷・飛行機代を
天秤にのせることになる。

これならかなりシンプルな比較と言える。


一方で自宅をブダペストやプラハかどこかに持ち、
そこを拠点に各国を周るのなら
生活習慣自体が変化するわけなので、
単純比較はできなくなる。

冬の寒さを考えると、妥当性を感じるのは前者。

そうなると、
アジア・ヨーロッパ間の往復の手間と
ビザ取得のコスト、不確実性のどちらに
理があるかが問題になる。

これは一筋縄でどちらが優位とは断定できないが、
現状としてはあえてビザを取るメリットがあるかは
疑問に感じている部分がある。

ブリンゾヴェーハルシュキやグヤーシュ、ビゴス等、
食事が美味しいのはこの地域の魅力だが、
さすがに1年単位となると飽きそうな気もする。


また、タイでタイランドイージーアクセスを取得し
5年物のビザを取ることも検討しているし、
台湾に1年だけ住むことも考えている。

こうした不確定要素がからんでくることもあり、
ビザの取得には及び腰になりがち。


以上のような点が、
東欧に移住しなかった理由ということになるが、
今後がどうなるかはわからない。

プラハ、ブダペスト、ワルシャワのような大都市ばかりではなく、
チェコのブルノやポーランドのクラクフのような地方都市の中にも
1年ほど暮らしてみたい街が見つかった。

どこかのタイミングで、
その願望を実現させるべく動く可能性は十分にある。


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