ヨーロッパの鉄道旅行にユーレイルパスを使わなかった理由

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10年程前、初めてヨーロッパを鉄道旅行した時には、レイルヨーロッパのユーレイルパスを利用して各国を周った。

ここ最近は、1年の内3ヶ月弱をヨーロッパで過ごしているが、その時にはあえてユーレイルパスを購入していない。

これは、ただ単に買い忘れていたわけではなく、明確な理由がある。

用途によっては、普通にチケットを1枚ずつ買った方が得になる場合もあるので、そこら辺の事情についてみていこうと思う。


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ユーレイルパスが不向きな条件

ユーレイルパスはヨーロッパ全域で使える鉄道パスで、日本でも外国人向けにジャパンレールパスが出ているが、どちらも外国人旅行者を呼び込むことが目的となっているため、現地の人は買えない。

と言っても、ジャパンレールパスの場合、海外在住で、なおかつ永住権を持っていれば、日本人であっても以前は使えた。

私の場合、フィリピンの永住権やマレーシアのリタイアメントビザを使うことによってジャパンレールパスを買うこともできたが、それは今関係ないのでひとまず横に置いておく。

ヨーロッパの鉄道旅行で頻繁に使われるのはユーレイルパスだが、こちらにはいくつかの種類がある。

まず、ユーレイルグローバルパスは、ヨーロッパの内28か国で利用できる鉄道パス。

期間としては15日、21日、1か月、2か月、3か月と種類があり、フレキシータイプのものだと、10日間の内に自分の好きな5日間使うとか、あるいは2か月の間で10日もしくは15日利用するといった使い方。

金額としては、15日間連続使用の場合だったら470ユーロ、3ヶ月連続使用の場合だと1288ユーロ、2か月以内に好きな15日を選んで使うセレクトタイプだと724ユーロとなっている。

ヨーロッパの中でも一部のエリアのみで完結させたい場合は、ユーレイルセレクトパスもある。

こちらの場合は、25か国の中で隣接している4カ国を選ぶことができる。

どのような国を選ぶかによって料金も変わってくるが、2か月の間で5日から10日の間で利用日を設定することができる。

これ以外の場合でも、隣接する2か国、もしくは3か国を選べるユーレイルリージョナルパスとか、1つの国のみに限られる1か国パスも発行されている。

どのパスにも共通する条件として、急ぎ足でどんどん移動する旅の方がユーレイルパスを購入して鉄道旅行するのに適しているということ。

言い換えると、私のようにのんびりと滞在型の旅をして移動を極力少なくするようなスタイルであれば、個別にチケットを買った方が安い。

10年程前にユーレイルパスを使ったのは、主要国を一通り見て周りたいという思いがあったから。

その時には、単独でチケットを個別購入するよりもパスを購入する方が安かったが、今の旅のスタイルだとどんなに短くても一つの街に3泊はするし、時には気に入った街に2週間、あるいは1か月ほどいるため、移動の回数はそれほど多くはない。

そうなってくると、あえて最初にパスを買ってしまうよりも、自由気ままに旅の目的地や移動頻度を設計できるようにしておいた方が合理的だと判断した。



ユーレイルパスによって選択肢が狭まるリスクも

途中で飛行機での移動をするようなこともあるが、こういった選択の妨げにならないようにするためにも、ユーレイルパスの購入を最近は控えている。

例えば、一昨年にヨーロッパに3か月ほど滞在した時には、最初にロンドンから入りアイルランドに行ってポルトガルに移ってから、陸路で東欧を目指す予定だった。

時期が7月から8月にかけてとかなり暑かったので、ポルトガルの暑さにうんざりしてしまい、それ以降、スペインやフランスやドイツを横断するのを止めて、いきなりマドリードから東欧のポーランドにあるクラクフまで飛行機で飛ぶことにした。

こういった臨機応変な対応ができるのも、個別にチケットを買う場合のメリット。

特にヨーロッパの場合、LCCが発達していて、うまく飛行機を使えば鉄道よりもよほど安い。

さらに言えば長距離バスも発達しているので、鉄道旅行を徹底しようとすると、寝台車や夜行列車を利用しなければいけなかったり、あるいは早朝の出発になってしまったりするところを、バスだったらちょうどいい時間帯に移動できるケースも出てくる。

こういった場面で柔軟に対応するのであれば、ユーレイルパスを使うのは控えた方がいい。


予算を組んでみると使う意味があるかわかる

もうすでに旅のルートが決まっているのであれば、事前にユーレイルパスの購入費用と、個別でチケットを購入した場合の費用を計算して比べてみることができる。

各国を周遊する場合であっても、ウェブサイトでそれぞれの金額を見ることはできるので、だいたいの予算は見当がつく。

もちろん日程によって金額は上下するので、大まかな概算額ということになるが、何なら、ウェブ上でeチケットを購入しておけば、その金額についても確定する。

ただし、これは数カ国の周遊とか2週間程度の滞在なら比較的簡単だが、期間が3か月位になると、事前に全てを下調べするのもかなりの手間がかかるので、私はやらなかった。

というよりも、そもそもルートが決まっていない状態で旅に出るので、しっかりと予算を把握するのは不可能。

そして、そんな手間をかける位なら、多少予算が増えたとしても、その分の時間を仕事に回した方がずっと合理的だと判断している。


ユーレイルパスはヨーロッパでは原則買えない

あくまでも外国人旅行者向けの鉄道パスということで、ユーレイルパスをヨーロッパに入ってから代理店等で購入することは基本的にはできない。

ただし例外として、ロンドンでは購入することはできたので、ロンドンを入口にしてそれ以外の国を周遊する場合には向こうで購入する手もある。

ただし、多くの人は限られた時間を使って旅行に行くわけなので、そういった事務的な手続きは先に日本で済ませておいた方が、旅行を目一杯楽しむという観点からは妥当だろう。


列車での周遊の旅には格別な味わいがある

「世界の車窓から」ではないが、ヨーロッパの鉄道旅行には、風景も含めて特別な感慨があり、ただ単に点と点を結ぶための移動ではなく、そのプロセスを楽しめるようになっている。

実際、料金だけを比較するとLCCの方が鉄道より安い区間が珍しくないし、移動時間も短かったりするが、それでもなお飛行機に乗らずに列車で移動することが多いのは、途中の風景を楽しむ事ができるから。

最近のヨーロッパの旅では、首都だけではなく、それ以外の街も時間の許す限り視察するようにしているが、それでも訪れることができる街の数はたかがしれている。

それでも、列車での周遊の旅であれば、途中の小さな街や村、あるいはほとんど人が住んでいない田園地帯等も含めて、風景を眺めることができる。

当然ながら、その途中は仕事をしたり居眠りをするのではなくて、基本的には窓の外の風景を眺めている。

移動のために列車に乗っているのか、それとも窓の外の風景に本来の意義があるのか、それがわからなくなるほどの魅力がヨーロッパの鉄道旅行には秘められている。


予算に応じた鉄道利用法

ちょっと贅沢に一等車に乗ってみたり、あるいは寝台車の中でもグレードの高い席を選べば、かなり快適にヨーロッパの旅を満喫することができる。

一方で、予算があまりなく、安くで済ませたいということであれば、あえて夜行列車を選ぶことによって、その分のホテル代を節約することができる。

体力に自信があるのであれば、夜行列車を利用するのも一つの手。

私自身、最近は夜行列車は余計な疲れを呼び込むので使わないようにしているが、10年前はお金がなかったので、積極的に夜行列車を使っていた。

さらに言うと、10年前の旅の時にはユーレイルパスを持っていたので、途中の小さな街に日帰りで立ち寄ってみたりしていた。

一部の区間ではあるが、このように予算に応じて一等車を選ぶか二等車にするか、あるいは寝台車の中でもどのようなグレードを選択するかといった幅があるので、そこら辺は懐の状況に合わせて変えていきたいところ。

ただし、夜行列車は当然ながらほとんど景色を観ることができないので、その点は非常に残念。

最近はもっぱら、日が暮れる前の景色を楽しめる時間帯に移動をするようにしている。

昔夜行列車を使っていた時期には、どうやらかなり近い位置に山がそびえているらしいということが暗がりの中で何となくわかるものの、結局はっきりしないまま夜が明けるのを待つしかなく、もどかしい思いをしたこともある。

これではヨーロッパの鉄道旅行の魅力が半減してしまうので、最大限に途中経過を楽しむということであれば、やはり昼間の移動を推奨したい。


英語が全く通じない国も

日本人の感覚として、何となくヨーロッパの国々はそれなりに英語が通じそうなものだが、実際には必ずしもそうではない。

例えば、旅行者が多い国の中で言えば、スペインは英語が通じる場面が非常に少なく、以前に車掌がやってきた時も向こうが数字を英語で言うこともできないため、全く会話が成立しなかった。

私がヨーロッパを周ってきた中で、特に鉄道旅行において困ったのはブルガリアで、ここはほぼ一貫して、駅員も車掌も、チケット売り場の係りの人も、誰一人として英語が通じない。

それだけならまだしも、駅名もほとんどブルガリア語だけで書かれていて、英語表記がないのでわかりづらく、しかもその文字がロシア語に近くて、アルファベットと一部は共通しているものの、大部分が見たこともないような文字。

そのため、チケットに表示されているものと同じかどうか確認するのも手間がかかる。

加えて、チケットに表示されている駅名も英語表記がなく、出発時刻が刻印されているのは当然だが、なぜか到着時刻はどこにも書かれていない。

何時頃に着くかもチケットを見ただけでは全く予想できず、通り過ぎないかドキドキしながら乗っていなければならない。

別にブルガリアのような東欧一帯がこのようなひどい状態にあるわけではなく、例えば、隣国のルーマニアであれば、普通に英語で表記もされているし、チケットにも出発時刻と到着時刻が載っているので、特別不便をするようなことはなかった。

ブルガリアはヨーロッパの中でも治安に問題があるので、そういったことも含めて、訪れるのであれば覚悟しておく必要がある。

いずれにしても、ヨーロッパを列車で旅するのには大きな魅力があるので、今後もたびたび訪れる予定。

ヨーロッパ全体をひとまとめで周遊するような旅は今後予定していないので、むしろ1回の旅行で行く国を3か国とか4か国程度に絞ってしまいたい。

それらの国の中でいろいろな街を訪れ、あまり急がずに一つの街でゆっくり暮らすように旅をするイメージでやっていければと思う。


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