現地在住者が語るマレーシア留学のメリットとリアルな危険性

マレーシア留学は東南アジアの中でも注目されており、
私の知人でも夫を日本に置いて
母子で学びにやって来た人もいる。

KLCC公園

ただし、現地在住者としての立場で言えば、
メリットばかりとはとても言えない。

治安面では無視できないレベルの問題もあるので、
メリット・デメリットの両面を見ていきたいと思う。


マレーシアの中でも留学先としては
クアラルンプールの大学や
インターナショナルスクールを選ぶ人が多いが、
シンガポールの隣町であるジョホールバルへ行く人も。

マルボロカレッジやラッフルズアメリカンスクール、
フェアビュー・インターナショナル・スクール等があり、
それらが目当ての人がいる。

クアラルンプールなら
UTAR、APU、INTI、SUNWAY等の有名大学が揃っている。

また、リゾートとして有名なペナンもある。

この3つが留学生の行き先としては有力。

教育環境や生活の便利さを考えると、
やはりクアラルンプールに軍配が上がる。

生活面での失敗を避けたい、
海外に不慣れということであれば
クアラルンプールを第一候補に考えておくのが無難だろう。

では、なぜマレーシアへの留学が選ばれているのか?

その理由を見ていこう。


費用(学費・生活費)が圧倒的に安い

ペナンの公園
日本人の留学先としては、
アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダ等が人気が高い。

どこも英語圏の国だが、
有名大学になるほど学費は高くなり、
留学費用は膨らんでいく。

アメリカ国内でも一流大学の学費は年々高騰しており、
社会問題になるほど。

名門だと年間の費用が300万円を越えたりする。

これは学費のみの金額。

さらに、ハーバードやMIT、スタンフォード大学クラスになると、
なんと500万円。

アメリカでも奨学金が社会問題になっており、
クレジットカードの債務の合計(1兆2000億ドル)を越えて、
1兆5600億ドル(連邦準備委員会の消費者信用報告書調べ)が
アメリカン人の奨学金の総額となった。

いかに学費が高騰しているかがうかがえる。


ハーバードやMITは極端な例だが、
一般的な欧米系の大学であれば、
年間の学費の目安が100万円から150万円程度。

マレーシアは60万円程度なので、
学費を半額に抑えることができる。


しかも、イギリス系の大学もあれば、
オーストラリアの大学と提携したコースもあり、
欧米系のクオリティの授業を受けられるのもメリット。

歴史的に見ると、
マレーシアはイギリスに統治されていたことがあり、
今でも関係は続いている。


さらに、留学費用としては生活費も加わってくるが、
この点もマレーシアは安い。

住居については、
クアラルンプールでも一等地に住まなければ
アメリカやカナダの半分程度で住む。

月に5万円以内で住める外国人向けコンドミニアムもあり、
そこにはプールや事務もたいていは付いている。

オーストラリアでシェアハウスを借りたりするより、
よほど豪華な生活を安い費用で送れる。

食事の面でも安く、
マレー料理なら一食250円程度。

ローカル系の安いインド料理だと
カレーとロティで100円未満の場合も。

物価の安い国に住めば、
その恩恵を受けることができる。

留学費用を抑えられるということは、
お金の面での制約が抜けるということ。

学ぶことに集中することができる。


マレーシアはワーキングホリデーの対象国ではないし、
そもそも人件費が安い国で仕事をしても
得られる賃金は限られる。

留学中は学ぶことに集中し、
お金のことは心配しなくていい環境なのは大きなプラス要因。

実際、アメリカやイギリスでは費用的に無理でも、
マレーシアなら日本の大学に行くよりも学費が安く、
留学することが可能だったという人も多数いる。



アジアでも英語が通じる環境

KLCC公園
マレーシアは東南アジアの中で
シンガポールに次いで英語が通じる国とされる。

たしかに、マレーシアに住んでいると
街中でも普通に英語を使っている。

海外なのだから当たり前に思うかもしれないが、
案外そうでもない。

あまりに英語が通じないと
日本語とボディランゲージで意思表示をするようになり、
隣国のタイはまさにそうした国。

しかも言語の切り替えは無意識で行っているらしく、
自分でも気づかない内に英語を使わなくなっている。


フィリピンの英語力も高いが、
どちらもある程度の教育を受けた人が英語を話せるのは共通している。

職業で見れば、
銀行員やホテルのフロント、
外国人向けの不動産会社の社員等は
英語を当たり前に話す。

このあたりは日本人よりも進んでいるようにすら思える。


性質的には、
マレーシアはイギリス式の英語で、
フィリピンはアメリカ式の英語を使う。

これは、それぞれの国が
過去に植民地として支配されていた国から
強い影響を受けているため、

マレーシアの場合にはイギリス統治時代が長かったため、
言語においてその影響を受けている。

フィリピンはスペインの統治もあったが、
その後アメリカによる支配を経験しているため、
英語にもその影響が残る。

もっとも、両国ともに訛りはあり、
マレーシアの場合はマングリッシュと呼ばれることも。

これはシングリッシュをもじったものだが、
それだけ発音は独特であるということ。

発音については、
留学先によってネイティブに近い環境で学べるところもあれば、
マレーシアなまりを全開にした英語を吸収することになる場合も。


また、マレーシアは中国系の住民も2割ほどいるため、
学びたければ留学中に中国語を学ぶことも可能。

語学力を高めるためには、
うってつけの環境と言える。



多文化・多民族国家の現実を体験できる

マレーシアのフードコート
現在の世界において、
存在感と影響力を増しているのが中国なのは異論がないだろう。

そして、今後さらに大国となるのがインドで、
これは人口動態を見てもほぼ間違いない。

マレーシアの場合、
マレー系・中国系・インド系の3つの民族で成り立つ多民族国家。

さらに、マレー系は戒律はゆるいながらもイスラム教徒が多いので、
イスラム・中国・インドという
影響力を伸ばしていくであろう3つのジャンルを
一国の中に内包している国ということになる。

さらに、マレーシアはイスラム教の国の中でも
ハラールビジネスで成功している国であり、
これは日本でも注目されている。

ハラールとはイスラム教徒向けの商品で、
食品にしても認証を受けたものしかイスラム教徒は口にできない。

イスラム教徒は豚肉を食べない、
アルコールを飲まないといった基本的なことだけではなく、
以前に豚肉を切った包丁を使えないとか、
家畜の解体の仕方とか、様々なルールがある。

こうした基準を満たしたものがハラール食品で、
ビッグビジネスとして注目を集めている。


多民族であり、多様性に富んだ社会。

さらに、日本人の場合は同じアジア人なので、
この点も就職の際にはプラスに働くことも。

アジア人である以上、
まずは自国やアジアのことに詳しいことが
仕事では求められる。

中途半端に欧米に留学したぐらいでは
現地の価値観やマナーは完全には身につかない。

その社会で生まれ育った人に比べれば、
仕事における競争優位性を認められづらい。

しかし、アジア人としての価値観、
マーケットに対する理解があったらどうか?

そこにはニーズが生まれる。

場合によっては、
欧米の企業に就職し、
アジア担当になることも可能。


それでなくても、
ヨーロッパの移民の多さ、
アメリカの歴史的な多民族の性質を見ても
世界は流動的になり、
多様性のあふれる社会になっている。

マレーシアはその縮図の1つであり、
留学中に体験したものは世界を理解する上で、
そして将来的に海外で生活したり、仕事をしたりする上で
大きな武器になっていくだろう。


なお、クアラルンプールの大学によっては
各国からの留学生の人数が多く、
学生のおよそ半数を占めていたり、
100ヶ国近くから集まっている場合も。

世界各国の留学生との国際交流のチャンスが
あふれていることになる。

多様性の宝庫なので、
そうした環境を選ぶこともできるし、
もちろんマレーシア人が中心の学校もある。

そこらへんは学校選びで調整できるので、
サポートをしているエージェントを上手に活用したいところ。

悪徳なエージェントの噂も聞くので、
ここは要注意。



治安には問題も

クアラルンプールの通り
マレーシアは移住先として人気で、
ロングステイ財団の人気ランキングでも
一位を連続で獲得している。

物価も欧米への留学に比べれば安い。

ただし、不安材料もある。

その最たるものが治安の部分で、
世界的に見ればマレーシアは安全な国だが、
日本人の感覚から見れば危険なことも。

特に難所となるのがタクシーで、
ドライバーが脅してきたり、大声を出してくる確率は
東南アジアでも高い方に分類される。

なんとなく安全なイメージがあるマレーシアだが、
タクシーのたちの悪さは東南アジア有数。

なお、タクシーのぼったくりの程度は
クアラルンプールよりもペナンの方がひどい。


ただし、クアラルンプールなら
地下鉄やスカイトレインで移動できるし、
grabを使えば車移動の時もタクシーは不要。

対策はあるわけなので、
しっかり準備しておけば危険な目に遭わなくて済むし、
SIMフリーのスマホは購入しておきたい。

タクシーで何度もぼったくられることを考えれば、
現地でスマホを購入しても
十分に費用対効果は良いはず。

もちろん、車に乗らずに生活できるエリアなら
スマホは必須でもない。


また、マレーシアは誘拐が多いため、
小学生以下の子供を留学させる場合には、
基本的に親が送り迎えをするか、
スクールバスを利用することになる。

外国人の子供だけで街を歩くのは危険なため、
親が同行する必要があるのは日本と違うところ。


知人の近隣住人が以前子供を誘拐されかけたこともある。

彼らは戸建てに住んでいて、
子供のスクールバスの時間になったので
家を出ようとしたら男が押し入ってきたらしい。

不気味に笑いながら部屋を物色し、
時計を指差すので渡したら出ていったということ。

子供もいたので、
気が気ではなかったという。


クアラルンプールでは
日本人親子がコンドミニアム内で
誘拐未遂の被害にあった事例もある。

通常、コンドミニアム内はセキュリティスタッフもいて
外よりも安全。

しかし、この件では安全が確保されてはいなかった。


他にも、知人が強盗に襲われたり、
知人の部下がナイフで手を切られたり、
身の回りだけでも様々な事件が起きている。

マレーシアが安全で物価の安い留学先だと思ったら
とんでもないしっぺ返しを食らうことになりかねない。

「フィリピン留学も考えましたが、
安全そうなのでマレーシアにしました」
と言っていた人もいたが、
実際はマレーシアも身の安全に細心の注意を払う必要がある国。

子供がいる場合はなおさらなので、
治安の良さを過信するのは避けたいところ。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

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