クアラルンプールから北部にあるイポーという町に移動してきた。
どちらの町にも野良犬がいるが、ジョホールバルに住んでいた頃ほど頻繁に見かけるわけではない。
さすがに首都のクアラルンプールはある程度綺麗に作られているし、野良犬対策もそれなりに行っているらしい。
それに対してイポーは数時間しか滞在していないのに、既に2匹か3匹の野良犬を見ているということから、どちらかというとジョホールバルに近いのではないかと思う。
ホテルはどうにか見つかったものの、その後食事に出た後でホテルに戻れなくなってしまって、1時間半ほど彷徨うことになった。
これがはっきりと大掛かりな迷子になっているのであれば、タクシーを捕まえてホテルまで戻ってもいいのだが、目的地のすぐ近くにいるという意識があるのになかなか辿り着けないので、タクシーを拾うきっかけも見つからず、結局ウロウロしながら途中で食事をしたりして、日が暮れることになってしまった。
食事はバーで済ませて、そこで道を聞こうと思ったら全く英語が通じなかった。
マレーシアにしては愛想の良いスタッフで食事は楽しくできたものの、結局ホテルの場所を確認するという目的を遂げることはできなかった。
そしてその後、コンビニでペットボトルの水を買って、そこでインド系の店員さんに道を聞いてようやくホテルの正しい方向がわかった。
元々、イポーに来たのは特に目的があるわけではなくて、ただ町をブラブラしてみたり、あるいは移住先としての適性を見たいと思っていただけなので、ホテルから出る時も、これといって目的地があったわけではない。
ただ単にあてもなく町歩きをして、どんな雰囲気なのかを確認しておきたかった。
その結果として、この数時間で得た情報としては、ローカル色が強くて、日本料理どころかイタリアンや西欧料理すらも珍しい。
私が食事をしたバーでは、10リンギットでサラダが出てきたり、あるいはかなり美味しいピザが14リンギットで出てきたりと、手頃な価格で食事をすることができたが、こういった店自体が少ないし、このバーも非常にタバコ臭くて、長時間いるには厳しかった。
それはそうとして、イポーにはかなり野良犬もいるし、ジョホールバルに住んでいる時には、いかにマレーシアに野良犬が多いかということを日々感じていた。
自分の生活エリアと彼らのテリトリーがかぶったりもしたので、ある程度どの犬がどのエリアにいるかということも覚えてしまったぐらいだった。
こういった状況を見て、日本から旅行で来た人は、のどかでいいですねとか、マレーシアは動物に寛容なんですねという言葉を発することがあるが、実際のところはただ単に環境への配慮が足りないとか、生活環境に対してこだわりがないというのが実態ではないかと思う。
動物の命に対して敏感とか、それを尊重しているわけではなくて、ただ単に排除するのがめんどくさいとか、わざわざ手間や費用をかける動機がないというだけの話で放置されていることを実際に住んでいると感じた。
実際、ねずみ等の動物も多いので、犬だけを目の敵にする必要もないわけだし、結局マレーシアがさらに経済発展を遂げていく過程で先進国並みに野良犬の排除等に乗り出すのではないかと予測している。
そういった意味で言うと、野良犬がそこらじゅうで自由に暮らせる時間は、もうそれほど長くないのかもしれない。