クアラルンプールの治安については、
かなり情報が錯綜している印象がある。
前提として、もちろん日本より安全なわけはない。
しかしながら、
普通に街を歩くにもビクビクしなければならないほど
危険というわけでもない。
夜に一人歩きをするにしても、
おかしな場所に迷い込まなければ
一応は大丈夫という程度には安全。
ただし、今回のクアラルンプール訪問の際には
治安についていくつか不穏な出来事もあった。
到着早々の出来事
まずは到着初日の話。空港からKLセントラル駅へ移動し、
さらに予約したPARKROYAL Serviced Suitesのあるブキビンタンへ。
ここで3人のインド系住民が逮捕され、
連行されていく場面に遭遇した。
ちゃんとした手錠をしている人と、
プラスチックのような素材で
つながれている人がいた理由は不明。
そして数日後、
今度は食い逃げの現場にたまたま居合わせた。
ブキビンタンで早めのランチを取っていると、
店内にもう一人だけいた客がフラフラと店を出ていき、
そのまま帰ってこなかった。
店員もしばらくして探しまわったようだが、
結局見つからなかったと意気消沈の様子。
こちらはクアラルンプールを旅行していたり、
移住したりする上では関係のない話。
治安とも直接的に関わることではないが、
数日のうちにこんな出来事に遭遇するとは。
無意味な引きの強さに感心するやら、呆れるやら(苦笑)。
1年半ほど前にも、
クアラルンプールで夜に友人の乗っていたタクシーが
人通りのない所に連れ去ろうとしたことがあった。
クアラルンプール在住の同行者が言うには、
おそらく人気のない場所まで連れて行って
強盗を行う気だったのではないかと。
幸い、分譲していた私達のタクシードライバーが
何度もクラクションを鳴らして連れ戻したおかげで
事なきを得た。
とは言え、土地勘のない状態で一人旅をしていたら、
道が違うことも気づきようがないし、
対処のしようがない。
クアラルンプールは油断ならない街だし、
道を歩いていてもそこまで穏やかな感じではない。
別にピリピリしているというほどではないが。
ジャラン・ブキビンタン(ブキビンタン通り)で
朝食を取ろうと通りかかると、
おばさんに声をかけられる。
どうも、そういう方面の夜の女性らしい。
昼に通りかかるといないので、
夜に営業してそのまま朝になっても続けているらしい。
ちなみに、現地の不動産業者に聞いた話では、
日本人が多く住むモントキアラの一部のコンドミニアムの警備員が
住人の留守を狙って盗みに入るとか、
そういう噂も入ってくるらしい。
マレーシアでは扉が二重になっていることが多いが、
そうでない部屋は狙われやすいとのこと。
コンドミニアムの出口は一箇所なのが通常のため、
警備員は住民が在宅か不在かを把握している。
それを狙われて空き巣に入られては
たまったものではない。
あとはブキビンタン地区等はそこまで治安が良くないが、
モントキアラは比較的安全とか、
地域による治安の差もある。
このへんは実際に現地を歩いてみると、
肌で感じることができる。
一言でクアラルンプールの治安と言っても、
それぞれの場所で流れている空気が違うので。
クアラルンプールの中でもチョーキットは
危険なエリアとして知られているので、
用がなければ近づかないほうが無難。
やはり柄の悪い人間が集まる場所もあれば、
モントキアラのようにある程度お金のある外国人が
密集しているエリアもある。
ただし、そうした場所には
子供の誘拐等の目的で来る者もいるので注意が必要になる。
一般にフィリピンのマニラは治安が悪いと言われるが、
私はその中でもマカティという地区に1年住んでいた。
このマカティは外国人居住エリアで治安もいい。
そこと比べると、クアラルンプールは危険な印象がある。
極端に危ないわけではないものの、
あまり風紀が良くはない。
街中であっても、
ちょっと暗がりの方に行けば人通りもぐっと減る。
そうした場所に近づかないとか、
そういった配慮は欠かせない。
タクシーが勝手にそのような場所に行き、
待ち伏せしていた仲間と襲ってくるとなると
避ける手立てがなくなってくるが・・・。
とは言え、
海外での基本的な注意事項を守って行動すれば、
取り立てて大きな問題があるわけではない。
一応問題点を中心に語ってきたが、
クアラルンプールの治安がそこまで悪いわけではないし、
道を歩くときにもそれほど緊張することはない。
マレーシアの他の街の治安
私が移住した先はジョホールバルという
マレーシア最南端の街だった。
シンガポールと隣接している。
かつてはマレーシアでもっとも危険な街と言われたが、
国家プロジェクトであるイスカンダルプロジェクトの実施等があり、
劇的に治安は改善されたと言われている。
しかし、実際にどうかと言えば
日本に比べれば危険なのは間違いない。
たとえば、私が移住2年目の都市に遭遇したのは、
コンドミニアムを出て夕食に出かけた時に
ノコギリを持ったインド系の男が猛スピードで走ってくる現場。
その後ろを3人の華僑系の男たちが
ゴルフクラブやバットを持って追っていた。
幸い、こちら側には来なかったので助かったが、
危ないところだった。
すぐに警官がやって来てインド系の男が逮捕されていたので、
どうも強盗か何かに入って失敗した模様。
他にも日本人の知人の部下がナイフで手を切りつけられ、
マレーシアが嫌になって日本に帰国してしまったという話も聞いた。
車に乗っていたところ、強盗にあった友人もいる。
青龍刀で窓ガラスを割られてバッグを盗まれたらしい。
他にもランチで外に出て自宅に帰る途中、
車を見て騒いでいる一家がいたので注視していたら、
私の視線に気づいて父親らしき人が身体の位置をずらし、
運転席のガラスを指差してきた。
派手に割られたガラスを見る限り、
車上荒らしにあったらしい。
車つながりで言えば、
ジョホールバルは車の警報が異常に多く、
コンドミニアムの駐車場でもたびたび鳴り響いていて
騒音としても迷惑だった。
盗難が頻発しているというより、
単純に誤作動が日常茶飯事というお粗末な状況。
ジョホールバルに移住して最初の1年より、
2年目の方が治安について不安を感じる情報が多くなった。
偶然なのか、情報網が増えたためなのか、
あるいは押さえ込んでいたものが吹き出したのか、
それはわからない。
ただ、イスカンダル計画に伴う街の安全性の向上は
容易に立ち行かないことは間違いなかった。
ペナンは安全か?
日本人移住者が多いペナンだが、
こちらは強盗のような悪質な犯罪は比較的少ない。
その意味では、クアラルンプールやジョホールバルよりは
多少安心して暮らせるという印象。
ジョージタウンを中心に窃盗はあるが、
極端に荒れているわけではない。
このあたりの事情は、
同じくマレーシア有数の観光地、マラッカも同様。
凶悪犯罪は少ないものの、
軽犯罪は少なからず発生している。
せっかくマレーシアでリタイアメントビザ(MM2H)も取ったし、
ペナンに住もうかと思ったこともある。
しかし、結果としては取りやめた。
レストラン等のホスピタリティの低さ、
有名ビーチのバトゥフェリンギを含めた海の汚さ、
公共交通機関がバスぐらいしかなく、
タクシーはぼったくりが横行して
むしろメーター料金で移動できることの方が
レアになっていて面倒くさい。
こういったマレーシアの悪いところは
ジョホールバルでも散々味わってきた。
この期に及んでペナンで再体験したいとも思わず、
結局フィリピンのセブでコンドミニアムを借りた。
マレーシアで特に危険なエリアは?
ジョホールバルの他に危険とされる場所として、サバ州が挙げられる。
マレー半島から離れたボルネオ島の一部で、
海を隔ててフィリピンに対峙する位置にある。
このボルネオ島は広大な島で、
面積で言えば世界3位。
その土地もマレーシアが専有しているわけではなく、
インドネシアとブルネイの国土のエリアもあり、
そこからして政治的に複雑な場所なのが分かる。
ボルネオ島の中で日本人に馴染み深いのは
コタキナバルだろう。
こちらはマレーシアの一部。
このボルネオ島の中でも、
サバ州の東海岸エリアは危険地帯で、
外務省も渡航中止勧告や不要不急の渡航中止を求めるほど。
海賊行為や外国人の誘拐が行われており、
安全とは程遠いエリアになっている。
もっとも、コタキナバルとは離れているので、
同じ島の中でも事情は違う。
危険とされるサバ州の東側には目立った観光地もなく、
通常であれば日本人は訪れないエリア。
隣国とマレーシアの安全度を比べると
北はタイ、南はシンガポールとマレーシアは国境を接している。
その2つの国と比較した上では、
明らかに治安面で問題を抱えているというのが
現地に住んで感じる率直なところ。
ジョホールバルに住んでいると、
街の中にあるスナイ空港は国内空港のため、
海外に行くときはシンガポールのチャンギ空港を使用することになる。
そのため、シンガポールには頻繁に行くことになった。
そこからは片道5,000円程度でバンコクへ行ける。
バンコクもたびたび訪れ、1ヶ月近く滞在してきたが、
マレーシアとは安心度が違う。
タイやシンガポールの治安が良いということはあるが、
それと比較するとマレーシアは危険な印象がある。
そして、うさん臭い人間が近づいてきやすい。
地下鉄やスカイトレインに乗っている人を見ても、
明らかに服装が汚く、警戒心を抱かざるをえない。
バンコクでもシンガポールでも
スマホやタブレットを電車内で扱っている人が多いが、
クアラルンプールではそれも少ないし、
私自身も取り出して使おうとは思えない。
そこまで油断できる環境に思えないので。
旅行者・移住者共に共通する日常的な問題としては、
タクシーのトラブルが挙げられる。
メーターを使わずにぼったくり、
人気のないところに連れて行こうとする、
当初の金額では少ないと目的地到着まで叫び続ける、
勧誘を断ると怒鳴りだすといった事例を
幾度も体験した。
上記はすべて私自身が体験したもの。
こういった国であることを前提として、
不用意にタクシーに乗らないことを推奨したい。
フィリピンと比べると、意外にも・・・
マレーシアに2年住んでから、
フィリピンに移住した。
東南アジアの中でも治安の悪いイメージの国だし、
クアラルンプールやペナンに比べると
日常的に危険と隣合わせのように捉えられがちな国。
実際、世界平和度指数を見ても、
マレーシアが31位なのに対し、
フィリピンは132位と大きく順位を落とす。
ただし、この国には特殊な事情がある。
まずはマニラにあるマカティエリアに1年住んでみた。
ここは商業エリアであり、外国人居住エリアでもある。
マニラだとマカティ以外にグローバルシティやオルティガスも
日本人を含む外国人が多く暮らすエリア。
フィリピンで最先端の都市であるフォートボニファシオは
グローバルシティの中にある。
この1年の生活の中で、
危険に遭遇したり、ヒヤッとしたことは一度もない。
フィリピンの治安が悪いのは事実だが、
この国はエリアで大きく安全度が異なる。
マカティなら夜に一人歩きをしても、
あやしげな場所じゃなければ怖さを感じない。
海外の中でも安全な部類に入るし、
日本の中でも物騒な街よりもむしろ安心して歩ける。
その後、現在はセブに住んでいるが、
やはりマレーシアよりも安心。
まずタクシーの運転手が
トラブルを引き起こして来る頻度が10%以下。
治安面での問題といえば、
アヤラモールを歩いていると
なぜか女性が日本語で声をかけてくるぐらい。
よろしくない目的があるのは見え見えなので、
その手の誘いを無視してスタスタ歩き去れば、
ことさらに危険を感じたりすることもない。
少なくても、強引に手を引いてきたりはしないし、
無視すればすぐに引き下がる。
振り返ってみると、
マレーシアで暮らしていた時には、
たびたびタクシーの運転手と怒鳴り合いになったり、
ノコギリ男に遭遇したり、
友人が強盗にあったりしていた。
しかし、フィリピンではマニラ・セブ生活を通して
そんな経験が一度もない。
マレーシアの場合、クアラルンプールでもペナンでも
全体がそこそこ安全で、そこそこ危険。
国レベルで見るとフィリピンよりも落ち着いているが、
日本人が安心して暮らせるかと言えば
実際に住んだ経験からも首をかしげざるを得ない。
対してフィリピンの場合、
全体としては危険だが、
一部のエリアだけは外国人が安心して暮らせるように整備されている。
このあたりの戦略の違いがあるため、
単純に国としての治安の差を比較するだけでは意味がない。
日本人が移住、もしくは旅行するような
エリアの治安がどうなのか?
その点を無視してしまうと、
大事なことを見落とすことになる。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
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