アメリカの治安が良くないことを実感した出来事

ウォール街
率直に言うと、アメリカの治安は噂通り決して良くないというか、
先進国の中ではかなり悪いということを肌で感じてきた。

今回はニューヨークを皮切りに、フィラデルフィア、ワシントンDCと
東海岸の3つの都市を周ってきた。



ピリピリしたニューヨーク

まずはカナダからナイアガラを経由してバッファロー空港へ。

そこからニューヨークへ入った。

ニューヨーク

最初のホテルはマンハッタン島ではなく、
北東のブロンクスに予約していたため、
ハーレムまでバスで移動して地下鉄に乗ることになった。

駅を探すためにしばし歩きまわったが、
その時の印象はピリピリした街ということだった。

どこかで感じたことのある雰囲気だと思ったら、
マニラに似ている。

電車の高架線も含めた雰囲気は、
マニラのケソンとかその辺りに似ている。

しかし緊張感というか、治安の面で言うと
それよりも悪い状況にある感じがした。

マニラのマラテ地区とまでは行かないが、
それに近い危険度のような直感があったため、
荷物を持った状態で写真を撮る気にもならなかった。

隙を見せるのはまずいと直感的に悟ったので。

かつては外国人旅行者が足を踏み入れるだけで
無謀と言われたハーレムも、
現在ではずっと安全になったとされる。

とは言え、まだまだ安心できるレベルではない。


そこからブロンクスまで電車で移動したが、
駅周辺はお世辞にも綺麗とは言えない。

写真だけ見たら、新興国と嘘をついてもばれないだろう。

実際、東南アジアの中でも、
もっときれいな高級エリアはいくらでもある。

たとえフィリピンでも、
マカティやグローバルシティの方が
街並みとしてもきれいだし、
肌を刺すようなピリピリした空気も漂っていない。



アメリカは貧富の差も大きいし、
エリアによって治安や経済力、住み着いている人の属性も違う。

この場合の属性とは、経済力や社会的な地位、人種、宗教など
様々な要因が絡んでくる。

当然、ハーレムやブロンクスがすべてなわけではなく、
高級住宅が並ぶ閑静で洗練された場所もある。

ただし、ニューヨークという
アメリカでナンバーワンの都市であっても、
まだまだ治安等の面で不安を抱えているのも事実。

これは現地に入ってすぐに感じたことだった。


マンハッタンのタイムズスクエアでは、
スパイダーマンのコスプレをした人が腕を組んできて、
強引に写真撮影を迫ってきた。

グイグイ引っ張ってくる力が強いし、
1度や2度断ったぐらいではあきらめてくれない。

世界一周も佳境に入ったが、
ここまで強引な客引きは初めてだった。

香港等の中国圏で商品に興味を示した後に
無理やり交渉を続けようとしてくる場合はあるが、
道端で写真撮影を迫られたのは初めて。

当然、彼らはチップ目当てだろう。



目当てだったMOMAやメトロポリタン美術館を鑑賞し、
迎えたニューヨーク最終日、
地下鉄を出たところで2人の男が言い争っていた。

一人は白人で、50代と思われる。

彼が一方的に文句を行っていた。


言われているのは40代なかばから後半ぐらいの黒人で、
足をガニ股に開いて腰を落としたり戻したりしながら
手を顔の前で合わせる不思議なポーズで平謝りしていた。

哀れさを若干鼻につく感じで過剰に演出している感じがしたが、
二人の間に何があったのかは分からない。

怒っている方がかたわらのスーツケースを指さしていたので、
盗難が失敗に終わったとかそういうことだろうか?


気にかかりつつもその場を通り過ぎたら、
後ろからバタバタした足音が聞こえてきた。

叫び声を上げるでもなく、二人して走り去っていった。

両方共結構な年齢だったが、寒い中猛ダッシュで。

逃げている黒人の男の方は、さっきまでとは表情が変わって、
してやったりという感じが漂っているように見えた。

やりきった満足感をたたえた笑みが印象的だった。

追っている男は先程までと同様に怒りをにじませていた。


彼らはすぐに角を曲がってしまったので、
その後の経過は分からない。

とりあえず銃声が聞こえてきたりはしなかったのは幸い。



アメリカで安全な街

Fremont
統計的に犯罪件数が少ない街を見ていくと、
基本的に人口が3万人以下の小規模な街ばかりで、
ほぼ聞いたことがない街が並んでいた。

大都市ほど犯罪が増える傾向にあるので納得の結果だが、
さすがに名前を耳にしたことのない街の羅列を見ても
参考にできる部分が少ない。

では、もう少し人口が多い場所に限定したらどうか?

人口20万人以上の都市に絞って
治安の良い街を発表した統計があったので、
そちらを掲載しておこう。

1位 Irvine, California
2位 Gilbert, Arizona
3位 Fremont, California
4位 Santa Clarita, California
5位 Henderson, Nevada
6位 Plano, Texas
7位 Scottsdale, Arizona
8位 Virginia Beach, Virginia
9位 Garland, Texas
10位 Chandler, Arizona

この他にも、ラスベガスを安全な街として
推薦する声も強い。

日本ではカジノが伝統的に危険な場所として認知されてきたが、
マカオやシンガポールのカジノを見ても、
世界的にいかがわしいイメージは取り払われている。

これはラスベガスについても同様で、
ショーへの力の入れ方も含めて
エンターテイメントの街へと重心を移行している。

メンフィスやボルチモアのような危険地域とラスベガスでは、
治安面で現実には大きな隔たりがある。


ラスベガスや上記の10都市以外でも、
ニューヨークを比較的安全な街とする声も強く、
ジュリアーニ市長の就任前と以後で大きく治安状況が
変化したとされる。

ただ、ニューヨークが他の国と比べて安全と言われると、
まだまだという感じはするが・・・。



ワシントンとフィラデルフィアへ

アメリカの治安は微妙だと思いながらも、
ニューヨークからフィラデルフィアに移った。

フィラデルフィア

こちらは特にピリピリした空気もなく、穏やかに過ごすことができた。

ただし、川を渡ったところにあるカムデン地区は危険地帯で、
財政破綻したデトロイトと並ぶほど。

現地の人がどう思っているのか聞きたくて、
フィラデルフィアのホテルのフロントで
カムデンについて聞いてみたところ、

「何か用事があるのですか?ないのなら、絶対に行かない方がいいです。
 我々でも出来る限り近づかないようにしているエリアです」
ということ。

若干の興味はあったものの、
間抜けにも危険地帯にノコノコ出向いて行くわけにもいかないので
安全な場所でのんびり過ごすことにした。

旅人の中には裏通りを歩いたとか、
危険地区を無事に通過したという自慢をする人もいるが、
冷静に考えて意味がない。

リターンがせいぜいつまらない自慢ぐらいしかないのに、
背負うリスクが大きすぎる。

投資効率で考えれば、
そんな選択をしている事自体が恥。

そんな理由で私の身に何かあれば、
仕事で私に関わっている人にまで迷惑がかかってしまう。


ということで、カムデンの治安の悪さを肌で感じることはなく、
話に聞くだけでスルーした。

ホテルの人が血相を変えて説得してきたことで
いかに物騒な場所か、
その一端を垣間見ることはできたが。

それにしても、
あまり期待していなかったフィラデルフィア美術館や、
バーンズ・コレクションは想像よりずっと良かった。

MOMAのように館内が人でごった返しておらず、
落ち着いて作品を鑑賞することができる。

静謐なフィラデルフィア美術館も
温かみのあるバーンズ・コレクションも穴場だった。

フィラデルフィア美術館
フィラデルフィア美術館の外観
フィラデルフィア美術館内部
彫刻


そして今回のアメリカで3つ目の街となるワシントンDC。

ワシントンDC

こちらもフィラデルフィアと同様に、
中心部から東に行って河を渡ると治安が悪化する。

アナコスティア・エリアが危険地帯。

そんなことは知らずに、アナコスティアの先にある
ラルゴタウンセンターというメトロの最終駅にホテルを取っていた。


駅周辺はほとんど人が通っていない。

車がまばらに通っているだけ。

一度ホテルに向かって歩いていたら、
後ろからドレッド頭の男が猛然と走ってきて戦慄したが、
やって来るバスに間に合うように焦っていただけだったらしい。

あの場で襲われても、周りに誰もいないのでどうにもならない。

肉体だけでも屈強な大男だし、
どんな凶器を持っているかも分からない。

11月の冷たい空気の中で、背中を嫌な汗が伝った。


ワシントンDCのメトロはブルーライン・シルバーラインで
中心からホテルまで移動していた。

ここは明らかに治安に問題がある雰囲気が漂っていた。

ニューヨークに比べても荒んでいる感じがする。

別にニューヨークが安全と言いたいのではなく、
それよりもさらに危険ということ。

間違ってもiPadを出して時間を潰すなんてする気にならなかった。

滞在中に何度か車内を見渡しても、
タブレットを出している人はほとんど見かけなかった。


バンコクの地下鉄では
スマホやタブレットをいじるのがよく見る光景でも、
先進国アメリカでは隙を見せること、高価なものを持ち出すことに
リスクを感じざるをえない環境がある。

経済が強いからといって、安全ではないのがよく分かる。

メトロを使う階層の人が違うというのもあるだろう。

結果、バンコクの方がニューヨークやワシントンDCより
よほど気を抜ける場所になっている。

ロンドンやミュンヘンも緊迫感が漂うときもあるが、
やはりアメリカに来てからの方がその度合は強い。


一応、ワシントンでもカムデンの名が知られているのかと思い、
ホテルで尋ねてみた。

レセプションの人もやはり名前は知っていて、
「カムデンに行ったのか?」
と一瞬誤解されて驚かれた。

行ってはいないと否定したが、
それだけ有名な危険地区ということだろう。

外国人が行かないほうがいいか訪ねたら、
ありえないと言わんばかりに手を振られた。


ちなみに、ワシントンからバンクーバーに向かう日、
駅に向かって歩いていたら木に突っ込んで大破した車があった。

事故直後というわけではなかったらしく、
3人ほど疲れきった顔で周りにいるだけだった。



アメリカでも特に危険な街

オークランド
FBIが発表している犯罪統計報告書によると、
アメリカの中でも危険な都市としては、
デトロイト(ミシガン州)が筆頭に挙げられる。

往年の自動車産業での栄光と
近年の財政破綻で有名なデトロイトでは、
殺人の件数も全米最多となっているうえ、
約7割の殺人事件において犯人は逮捕されていない。

事件を通報しても、
警察官不足によって駆けつけるのが遅く、
手遅れになることもしばしばということ。


一方、オークランド(カリフォルニア州)は
デトロイトと違って人気の街だが、
実は治安が全米の中でも悪い部類に入っている。

ギャングの活動が活発な街として、
メンフィス(テネシー州)やクリーブランド(オハイオ州)も
要注意な街。

メンフィスはブルースやロックとの関係が深く、
Beale Streetにはライブハウスが多数並ぶ。

また、エルビス・プレスリーの邸宅、Gracelandや
プレスリーが初めてレコーディングを行ったSUN STUDIOも有名。

ただし、危険な街でもあるため、
訪れるとしても油断は禁物。


伝統的に危険な街として君臨してきた
ボルチモア(メリーランド州)は
犯罪率は減少する方向に向かっている。

ボルチモアは星条旗発祥の街だったり、
フェデラルヒルからの景色が素晴らしく、
ただ単に荒れ果てた地ではない。

歴史的に重要なマクヘンリー要塞もある。

とは言え、いまだに殺人の発生率が高く、
命の危険が拭えない街。


都市そのものが危ない場合もあれば、
ワシントンDCのカムデンのように
外れの方の一部が危険な場合も。

アメリカに滞在する際には、
世界の超大国でありながらいまだに悪いままの治安が
頭の痛いところ。


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