1年間のフィリピン生活を終えた後、次に移住する場所としてパラオを候補地の一つにした。
パラオも年中温暖な気候なので、それまでに住んできたフィリピンやマレーシアと変わらず、体調の管理も楽な場所となる。
そして当然のことながら、パラオはビーチリゾートで有名なところなので、そういった意味でも住む環境としては抜群に素晴らしいが、物価は高く生活費はそれなりにかさむ。
一方でオモカン・ロングビーチやカヤンゲル・ロングビーチの澄み切った海の様子は文句なしのレベルと言える。
ちなみに、日本人が多いため、英語が話せなくてもそれなりに生活できるということで、パラオに住むことを選んだ人もいるという。
たしかに言語の壁が低いのは、移住のハードルを大きく下げてくれる。
パラオのビザ事情
現実的にパラオに移住することを考えた場合、ビザをどうするかという課題があるが、3ヶ月以内であればビザなしで渡航をして、観光ビザを1ヶ月ごとに更新する方式で滞在することができる。この場合、1回の更新に50USドルかかる。
1ヶ月あたりの滞在費に上乗せされても、コストとして目をつむれるレベル。
英語ができない場合であっても、かなり親切に教えてくれるということなので、私もカタコトの英語しかできないが、この観光ビザの更新はそこまで難しくないと思われる。
しかしながら、3ヶ月というのはなんとも中途半端だし、それ以上滞在しようと思えば、ちゃんとしたビザを取らなければいけない。
主だったところでは、就労ビザと婚姻ビザの2つ。
しかし、私はパラオで働くつもりではないし、もちろんパラオ人と結婚する予定もない。
こうなってくると、ビザランが可能かどうかも問題になってくるが、そもそもの話として、そこまで移住先としてパラオに魅力があるとは感じなくなってきた。
パラオの物価事情
ビーチリゾートの常として、パラオも物価が安いわけではない。
しかもパラオの場合、輸入品がとても多いため、必然的に割高になってしまう。
太平洋で孤立した島のため、島国であるフィリピン以上に輸送コストがかかるのは、地理的な条件から見ても明白。
同じビーチリゾートでも、タイのプーケットと比べると、さらに輸送費の高さが際立つ。
たとえば、WCTCショッピングセンターというパラオで日本人旅行者もお土産の購入等で立ち寄ることが多い店だと、キャベツが一玉で4.5ドル、白菜は7ドル、リンゴが一個1.5ドルと、フィリピンよりもずっと割高。
しかも、鮮度を見ると物が悪い。
ただし、ビールは1ドル程度で売られており、物価のすべてが高いわけではない。
レストランで食事をすると、外国人向けの店でシーフード料理を食べ、お酒を飲むと1人辺り100ドルを上回る場合もある。
ローカル系の店でも10ドル程度なので、このあたりの物価は観光地価格。
タクシーはメーターではなく交渉制で、それなりに相場が決まっている。
コロール内の移動なら5ドル前後、コロールからパラオ・パシフィック・リゾートなら12ドル前後といったように。
人件費は安いものの、食品は特に安いわけではなく、電化製品は日本よりもかえって高くつく。
リゾートで生活費を安く抑えるのはなかなか難しいが、パラオにおいては観光地としての需給バランスで物価が高騰しているだけではなく、こうした地理的な事情もあって輸送コストが上がる。
ちなみに、通貨はUSドルという不思議な国でもある。
安くでパラオを楽しみたいなら
移住ではなく旅行でやってくる場合、パラオは雨季に来ると航空券やホテル代が安い。
さすがにビーチリゾートに雨季にやって来るのはためらわれると思うが、日本の梅雨のように長時間降ることは珍しく、南国らしく短時間のスコールが中心。
そのため、他の時間は外で楽しむことができる
パラオの乾季は1月〜5月上旬までなので、それ以外が旅行のローシーズンとなり、割安な旅行がしやすい時期。
たとえば9月を例に取ると、エクスペディアで検索してみたところ、コーブ リゾート パラオ (Cove Resort Palau)が一泊172ドル、パラジア ホテル プラーウ (Palasia Hotel Palau)が131ドル、ブルー オーシャン ビュー ホテル (BLUE OCEAN VIEW HOTEL)が89ドルとなっていた。
ちなみに、パラオではチップの習慣はないものの、ホテルに関してはポーターに荷物を運んでもらった場合は1ドルのチップを渡すのが相場になっている。
また、レストランやマッサージの中には無料で送迎サービスを提供しているところも多い。
交通費を節約したいのなら、こうしたサービスを利用する手もある。
パラオのツアーの料金の例を上げておくと、ブルーコーナーやジャーマンチャネル等でのファンダイビングが140ドル、ミルキーウェイ・マリンレイクのクルージングが90ドル、ペリリュー島の歴史を巡るツアーが130ドル、ホビーキャットでのセーリングが半日で125ドル。
他にも白い砂のビーチがあるカヤンゲル島や、パラオ最大のガラスマオの滝、ダイバーにとってあこがれのビッグ・ドロップオフ、イルカと泳げるドルフィンズ・パシフィックのように、訪れる価値のある場所はいくつもある。
それなりにアクティビティにお金がかかるので、旅費を節約したいなら、しめるところはしめておく必要がある。
パラオより移住先として有力な南国リゾート
南国リゾートであれば東南アジアにも複数あるし、特にフィリピンの場合、ボホール島とパングラオ島の二つの島は繋がっていて、実質的には一つのような扱いになるが、こういった場所も豊かな自然と透明度の高い海があるので、永住権を持っているフィリピンの方がはるかに簡単に住めることになる。
ということは、パラオとパングラオ島を比べた場合に、フィリピンのパングラオ島の方が魅力に優るというか、条件的に利便性が高いという結論に至った。
今現在交通の利便性で考えれば、パラオの方が国際空港がある分だけ有利だったが、2018年にはパングラオ島にも国際空港が新設されたので、この点においては大差なくなる。
物価の面でも、パラオより割安感がある。
さらに言うと、パングラオ島からは2時間でセブに移動することができ、この場合はフェリーを使う。
そしてそこから国際線に乗って移動することもできるので、そこまで利便性に大きな差があるわけでもなく、そして海の透明度ということで言えば、パングラオ島の海とパラオは、互いに負けず劣らずという感じがする。
こうなってくると、あえてビザの問題に悩まされながらパラオに移住するよりは、せっかく取得した永住権を行使して、南の島の生活をボホール島で満喫する方が、私にとってはかなり現実的であり、なおかつ最初の手続きが簡単に済む。
加えて言えば、パラオはフィリピンの東の太平洋にあり、東南アジア諸国からの距離も離れ、他の国への旅行においても不便な位置にある。
タイのプーケットやパタヤと比べても、他の場所に遊びに行く利便性から考えてパラオは不利。
パタヤならバンコクの近くだし、プーケットも各地へのフライトがある。
海の透明度が低くてホスピタリティの低いペナンに対しては、パラオが優位性を持っている。
バリも渋滞のひどさをピックアップして考えるなら、同様のことを言えるだろう。
もちろん、どこに注目するか次第ではあるが。
移住すると言っても、私の場合5年、10年住むということを念頭に置いているわけではなくて、基本的に長くても1年の単位で考えている。
そう考えてみると、本格的なビザを各国で取るのはなかなか難しく、それをやってしまうと、パラオに住んでいる間に翌年住む国を決め、今度はその国のビザの取得に動き出さなければいけなくなる。
こういったビザの連続取得は、非常に負担が大きい。
なにしろ、日本に行って書類を用意しなければいけないとか、あるいは移住先の国に行って手続きをするとか、あるいはその移住先の国の大使館に行かなければいけないとか、色々と手間がかかる。
こういったことを考えると、わざわざパラオに住むよりは、単なる旅行先の一つにしておいて、住む場所は別に持ってきた方がはるかに楽というのが、パラオに住むことを見送った理由。
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