カンボジアの不動産投資にチャンスがある気がしない

プノンペンのコンドミニアム
カンボジアの不動産を投資目的で購入した人から話を聞いたが、
内容を聴けば聴くほどメリットがよくわからなかった。

以前からプノンペンのコンドミニアムは気にしていたが、
新興国の旨味が失われてから久しい。

外国人名義では土地は変えないので、
基本的にはコンドミニアムを買うことになる。

しかし利回りを考えても、
今後の売却時の価格推移を予想しても、
権利関係の透明性を考えても良さそうな点がない。

購入価格と家賃から利回りを見ても、
特に魅力的とは思えない。


人口ピラミッドの面での強み

一般に言われるカンボジアの強みとは、まず国民の年齢分布。

平均年齢23歳と言われる点は、
たしかに今後の労働力や不動産を購入する層が厚いという意味で朗報。

人口ボーナスは経済発展を語る上で無視できない強みで、
加速装置のようなもの。

ただし、これは周辺諸国にも言えることで、
別にカンボジアに特化した話ではない。


また、所得の向上についても触れられることが多いが、
これも東南アジアの新興国に共通する事象。

タイでもマレーシアでもフィリピンでもインドネシアでも同様。

すでに世界銀行が位置づける低位中所得国に近づいており、
2030年までには一人当たりの国民総所得が
4086ドル〜1万2615ドルである上位中所得国を目指すとなっているが、
これが実現するかどうかは不透明。


製造業についてはタイの隣国であるという強みが1つ。

東南アジアの物流拠点の隣であることは地理的に大きい。

また、さらに東のベトナムからタイの通り道でもあり、
ホーチミンからプノンペン、バンコクへ通じる南部経済回廊にも
絡めているというのはカンボジアのメリット。


人件費も安いため、H&M、GAP、
adidas、プーマ、リーバイスなども進出している。


一方で電力の安定供給が不十分なのは弱みとなっている。

人件費が相対的に割高なタイから工場が移転しないのは、
こうした点に起因する。

さらに言えば、タイよりも人件費が安いと言っても
大きな差がでるわけではないということもある。

多少の差であれば、
インフラが整った国を選ぶ企業も多い。


こういった意味で、
カンボジアの製造業はそれなりに有力産業ではあるものの、
それなりどまりである事実も見逃せない。


アンコールワットを抱える国だけに観光業は安定の強さを見せるが、
製造業と観光業の他には有力産業がないというのも事実。


不動産投資の規制はゆるめ

カンボジアで不動産を購入する場合、
コンドミニアムなら1階と地下以外なら外国人でも買える。

つまりは2階以上の部屋を購入することになる。


土地は外国人名義だと買えないのでノミニー(名義貸し)を雇ったり、
現地の人と結婚していれば相手名義で買うことになる。

この方法がいかにリスクが高いかは、
フィリピンやタイで多くの日本人が実証済み。

基本的には検討に値しない選択肢となるだろう。


となると、事実上コンドミニアムに投資することになるが、
周辺諸国と比べても法的な規制はゆるい。

フィリピンだと40%までという規制があるし、
土地所有ができないのはタイやミャンマーも同様。

日本のように外国人に不動産を土地も含めて
規制なく売る国の方が実は珍しかったりもする。

その視点で見ると、
カンボジアは不動産投資のハードルが高くはない。

むしろ東南アジアの中ではゆるめとすら言えるだろう。


ただし、投資環境の信頼性には疑問も

少し話が変わるが、
カンボジアは株式市場を2011年7月にオープンした。

つまり証券取引所を開設したわけだが、
予定よりも遅れに遅れた。

時期の延期は一度や二度ではない。


また、上場企業も当初は一社。

株式市場オープンから4年たっても2社という惨憺たる状況。

当初発表されていた目論見を大きく下回り、
言うまでもなく流動性が確保されていない。

二社しか上場していない市場で
活発に売買がなされないのは当然だろう。


そんな前科がある国だけに、
不動産投資においても十分にルールが整備されているのか
あやしまざるを得ない。

表向きのルールは魅力的でも、
実際は後出しジャンケンのようなことをしてくる可能性もある。

このあたりがカンボジアという国のリスク。

特に不動産の購入や売却は手続きも多く、
煩雑になりがち。

税金や仲介業者への手数料、維持費等、
途中でかかる費用も多い。

ルールと実際の運用手順が確立されていないと、
思わぬ出費を強いられることになり、
当初の目論見通りの利回りを出せなくなる。


定期預金に対して低い不動産投資の利回り

同じ国で銀行の定期預金を組んだ場合と
不動産投資を行う場合では
後者の方がリスクが高くなるのが通常。

ハイリスクにはそれに見合ったリターンを期待できないと
わざわざ参入する意味がない。

そして、カンボジアは現地通貨リエルではなく、
米ドルで7%という定期預金がある。


では、コンドミニアムを購入した場合の利回りは
どれだけ高くなるのだろうか?

実際に購入した知人が言うには、
表面利回りが12%弱、ネット利回りが9%ほどという話だった。

しかし、家賃が途切れる時期への見通しが甘い気がしたし、
個人的にはネット利回りは7%程度という印象。


他のコンドミニアムを見ても、
そのくらいの利回りを見込んでおくのが適正に思える物件が多い。


わざわざ手続きが煩雑で物件選びに手間がかかり、
ハイリスクな不動産投資をして定期預金と同じ利回りでは
何の目的で購入するのか分からない。

ローンを組むことでレバレッジをかけるというのはありだが、
現地銀行だと10%近くの金利がかかることが多いと言う。

何しろ借入金利が7%なのだから、
ローンの金利も高いだろう。

これではレバレッジをかけても意味がない。


売却益狙いならどうか?

家賃収入ではなく売却益を狙う手もある。

ただ、すでにプノンペンの代表的な物件の平米単価を見る限り、
高騰しすぎているとしか思えない。

バンコクやクアラルンプールと比べても
大差ないだけの価格が付いてしまっているので、
この点も先行きは暗いというのが個人的な印象だった。


結論としては、
今の段階でカンボジアに不動産投資をする気はない。

東南アジアの情勢についてはメルマガでもたびたび書いているが、
楽観視できない点も多いのでご注意を。


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