地方移住も生き方の選択肢として面白い


私がマレーシアに転居した2011年の段階では、移住というと海外に引っ越すことを指すことが一般的だったように思えば、最近ではだんだん情勢が変わっているようで、地方に移住するという意味で使われることも多くなってきた。

実際、検索エンジンのGoogleやYahooで移住と打ってみると、日本移住交流ナビとか全国移住ナビ、京都移住計画、愛媛県で暮らそう、といったサイトが上位に表示されている。

東日本大震災を境に一時的に海外に脱出するというブームが起こったが、既にその流れも沈静化しているし、円安によって金銭的な意味で日本以外の国に住むハードルがあがったこともあり、今後はしばらく地方に目が向けられる時期が続くかもしれない。

ブームになるような動きではないだろうが、東京都等の大都市圏に住んで高い家賃や物価を強いられるよりは、生活コストの安い地方としでそこそこの暮らしをしたいというのも選択肢として有望ではないかと思う。

特に地方に移住するといっても、いわゆるど田舎とされるような山奥とか限界集落とか毛虫や百足がうじゃうじゃと沸いて出るような所ばかりではなくて、生活に必要な店舗が一通りそろっているような中堅都市とか、そこから一段階縮小したような町というのは各地にあるわけなので、かなり幅広い中から選択することが出来る。

湧き水が出るような小川の近くに住むということも出来れば、緑豊かで肺一杯に新鮮な空気を吸い込みたくなるような山の中とか、あるいは花粉が飛ばない沖縄とか自然環境1つ取ってもさまざまな選択肢があるし、利便性のことを考えても車を持たないと生活できないような場所から、一通り公共交通機関として電車やバスが通っている地域まで、日本にはいろいろな選択肢がある。

ここ数年だと、福岡が移住先の人気が高い町として有名だが、マイナーな町や村の中でも住み心地が良いと感じられる人が決して変わり者とかレアというい部類ではないぐらいの魅力のある場所は発掘されていないだけで眠っていると思う。

最近は行政も移住支援をしているところが多いし、ただ単に引っ越して来ることだけではなく、創業支援をしていたりとか、高知のように移住コンシェルジュ、あるいはお試し移住施設といったものを用意していたり、さらに移住促進NPOとして"れいほく田舎暮らしネットワーク"を初めとしたNPOの活躍。

政府主導の下、地域おこし協力隊という3年間を上限に給料をもらいながら新しい町で生活できる仕組みがあったりと、都市に集中する形での国土設計から、地域活性化へと国ぐるみで動きを見せている。

これが世界的なアーバニゼーションの潮流と逆行するものであるという点は気がかりなところではあるものの、少なくとも個人のレベルでは自分自身が住みたい所に住むという権利があるし、それはもっと柔軟に活用されていいのではないかという風に常々感じる。

ただ、ここでもネックとなってくるのはやはり収入源という部分で、一部の自治体が創業支援をしていることからも読み取れるように、通常は場所と収入源というのは密接に結びついており、それは言い換えると会社からの収入という部分に表現することも出来る。

つまり、近隣であればともかく全く別の場所に引っ越すとなればこれまでの会社にそのまま勤めるということは困難なので、地方への移住がなかなか促進されず停滞してしまうという側面がある。

逆に言うと、この点さえクリアしてしまえば大幅に居住地の選択肢というのは広がるわけで、テイワークとか個人で稼ぐ仕組みであるとか、そういった場所にとらわれないスキルを持っていると個人として大きな強みになるということをここでも認識することが出来る。

もちろんこれは地方に引っ越す場合ばかりではなくて海外に転居する場合にも言える事で、住みたい町に住むということは少なくとも現役のうちであれば決して低くはないハードルを越えていかなければ実現できない。

しかしながら、それは達成するだけの十分な価値がある目標だという風に確信している。



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執筆者、伊田武蔵
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