タイの貧富の差の激しさを垣間見た出来事



タイで貧富の差が大きいことを感じたのは、
バンコクでのある場面だった。

この街の中心部の1つである
スカイトレインのASOK駅直結の
ショッピングモール、ターミナル21。

こちらは同じバンコクのモールでも
プロンポン駅のエンポリアムやエムクオーティエ、
サイアム駅のサイアムパラゴンと比べると
やや庶民的なモールという位置付け。

ASOK駅は近くに地下鉄のスクンビット駅に
乗り換えができることもあり、
交通の要所になっており、
通りがかることも多い。


その日はASOK駅からナナ駅方面に歩いたところにある
和食レストランで食事を済ませ、
ターミナル21の地下のスイーツ店で
マンゴーケーキを食べてホテルに戻ることにした。

ホテルはトンローに取っているので、
スカイトレインで2駅。

普段ならモールから直で駅に向かうが、
この日は少し外をブラブラしたかった。

というのも、モールの中がかなり冷えていた上、
スカイトレインは日本の弱冷房車とは違って
キンキンに冷えていた時期なので。

バンコクのスカイトレインのエアコン事情は
タイミングや車両によってだいぶばらつきがあり、
この時期は半袖だと乗った途端に凍え始めるほど。

外との気温差が激しい。

タイだけではなく、
東南アジア全般で寒くするのがおもてなしという風潮があるが、
スカイトレインの温度は少々異常なレベルだった。

そのため、夕方のバンコクの街を
少し歩いて身体を温めてからトンローに帰ろうと
ターミナル21の地上階から出てしばし歩くことにした。

モールを出た直後、
母子のホームレスが座り込んでいた。

母親はほぼ動く気配がなく、
ただ疲労困憊したようにじっとしている。

5歳ぐらいの子供は通行人に目をやったりしてはいたが、
特に遊び回ったりしているわけでもないし、
何かをしているわけではなさそうだった。


それだけなら
タイでも、他の国でも見かける光景だが、
貧富の差を感じたのは先程までとのギャップ。

ターミナル21は高級ショッピングモールではないが、
タイ人の一般的な給与水準から考えれば
ハレの日に少し奮発して来るようなところ。

人々の表情も明るい。

もちろん大人だけではなく、
多くの子供も買い物や食事を楽しんでいる。


一方で、
そのターミナル21のすぐ外で座り込み、
おそらくモールに入ろうとすれば止められるほど
汚れた格好でマクドナルドの紙コップを置いている母子も。

これだけの貧富の差が生まれた理由は、
個人の事情なので分からない。

どの国でも見かける光景なので、
タイの政策に特別落ち度があると批判するつもりもない。

ただ、この子供が公平な競争のスタートに
立てているかと言えば、
やはり違うだろう。

もし読み書きや簡単な計算もできなければ、
そのレベルの教育がなければ
接することができる情報量に格段の差が出てしまう。


バンコクのローカルレストランやマッサージ店でも
店の人の子供がスマホやタブレットで
動画を見て時間を潰しているのをよく見かける。

彼らはネットにつないで情報を得る手段を
幼いころから持っている。

特にきれいな店ではなく、
旅慣れない外国人旅行者だったら
入るのを躊躇するぐらいの店構えの店でも、
そういった光景は日常茶飯事。

外部の情報を自由に取り入れられる子供と、
ホームレスの親やごく限られた人との接点しかない子供。

貧富の差は情報格差につながり、
結果として将来にも大きな機会損失をもたらすだろう。

本人の落ち度とは、まったく別の環境要因で。



フィリピンに住む始める直前に
貧富の差を感じたのも子供を見たときだった。

ホームレスの子供と
普通の生活をしているであろう母子で通りがかった子供が、
話し始めて打ち解けているように見えた。

言葉は分からないので、
何を言っているかは理解できなかったが。

それを見た母親はあわてて我が子の手を引っ張り、
汚いものを目にしたような表情で足早に立ち去っていった。

残された子供は、
ただ黙ってその背中を見つめているだけだった。

この母親に悪意があったわけではないだろうし、
文章にするとひどい人間のように受け取られてしまうかもしれないが、
ごく自然な反応だと思う。

衛生的に考えても、
自分の子供をリスクにさらしたくないだろう。

この時には、
貧富の差が子供同士の交友関係を
壊してしまう事実を間近で見せつけられた。


タイに関しては、
そこまで露骨な場面には出合ったことが今のところない。

ただ、ふと思うのは、
アジアに限らず、ヨーロッパや北米を含め
各国を旅していてホームレスを目にするのが日常茶飯事になりすぎ、
もはやそういう大人を見てもスルーする癖が付いていたこと。

これはその国の多くの人も同じなのではないだろうか。

頻繁に似たような光景に遭遇すれば、
衝撃は小さくなっていく。

それは関心が薄れることにもつながる。


ただ、自己責任で片付けられるべきではない子供の未来が
貧富の差によって奪われるのはいかがなものか。

そんな疑問が頭の中を巡るのを止められなかった。

結局、バンコクの街を気楽に歩く意思が萎え、
そのままスカイトレインに乗ってホテルに戻ることにした。



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執筆者、伊田武蔵
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