TOEICの点数をみてみると、多くの商社は730点というハードルを設けている。
ちなみに伊藤忠商事はさらに低く700点を要件にしている。
ではこの730点という数字を基準にしている会社としてどういったところがあるかというと、住友商事や丸紅、三菱商事、三井物産こういった日本の中でも指折りの商社が意外にも低いハードルを設けていることがわかり感心した。
というのも、実際海外に住んでいてわかることだが、それほど英語力が必要がない国も多い。
正しい英語が通じやすいとは限らない
例えばフィリピンのような国においては、東南アジアの中で最もネイティブに近い英語を話せるといわれるが、文法的には決して正しくない英語を話す人のほうが多い。ということは、丁寧な会話の仕方等のネイティブに近い話し方をしても、かえって通じないことが多く、むしろ単語を並べて話したほうが相手の理解が進むことがある。
結局どの国もそれぞれの国の訛りがあるので、ネイティブに近いきれいな発音さえできれば理解してもらえるわけではない。
逆に自分の英語力が上だと思っている人ほど、コミュニケーションにおいて相互理解を深めようという努力を怠る傾向にあるので、TOEICで700点くらいというのは意外にちょうどいい数字なのかもしれない。
さすがに基本的な挨拶すらもろくにできないとか、そういった英語力の人は相手が何を言っているのか理解できないし、かといってネイティブレベルの人を雇うのも時に無駄になる。
英語よりも鍛えるべき要素
やみくもに英語力をあげる暇があったら、仕事上のスキルを磨くとか、健康を手に入れるためにトレーニングをするとか、そういったことの方が仕事の上では役にたつ。商社マンといえども、赴任する先は欧米諸国ばかりではなく、東南アジアであったり、場合によってはアフリカや中東に派遣されることもある。
そうなった場合に、ただ単に流暢に英語を話せればいいというだけではなくて、むしろ手ぶりや身振り、表情も含めたボティランゲージを磨いていく事によって、意思疎通がスムーズに行われることもあるし、食中毒を起こさない胃腸の強さのほうが重宝される場合もある。
例えばインドに赴任する場合、どれだけ英語がきれいに話せたところで、インド人の訛りのひどい英語に対応できなければ使い物にならない。
彼らのめちゃくちゃな商慣習や無責任な態度、がさつで自己中心的な立ち振る舞いに耐えられなければ、とてもではないがビジネスをすることができない。
さらにいえば、胃腸が弱くてすぐにお腹を下して体調を崩してしまうような人の場合は、インドでは仕事も生活もできないことになる。
こういったこともあるので、決して高い英語力ばかりを求めるのは合理的ではないし、その点商社は合理的だと感じた。
ちなみに商社以外でも様々な企業がこういったハードルを設けていて、例えばキャノンの場合には600点ということなので、商社の700点や730点という数字よりもさらにハードルが下がっている。
ちなみに、隣の韓国に眼を向けて見ると、サムスンやLGの場合で言うと、TOEIC900点程度が基準になっているので、かなり大きな違いが出ている。
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