ジャカルタの治安はかなり悪いというイメージが、
実際にインドネシアに行くまではあった。
爆発物があったり、スリや強盗が横行していたり。
そんな印象があっただけに、
安全の面で行くのをやめるべきではという思いもあった。
しかし、マレーシアからシンガポールのチャンギ空港を経由し、
いざジャカルタに行くとイメージは一新された。
ジャカルタ現地を見てみて
スカルノ・ハッタ国際空港はとてもきれいで現代的。
新興国の未発展な印象はない。
この段階では治安についてはまだ懸念があったし、
実際に市内に行こうとタクシーを探していると
明らかにタクシーではない車が客引きをしてきたりもした。
しかもブルーバードタクシー等の
インドネシアで実在する会社の名前を騙りながら。
いかにもあやしく、安全とは思えない。
うさんくさい思いも抱きながらジャカルタ市内に到着。
ホテルに荷物を残して街を歩いていて気づいたのは、
人がとても親切ということ。
治安の悪い街というと見るからに危険な人物が
そこら中にあふれていそうだし、
実際にそういう国もあった。
しかし、ジャカルタに関しては意外にも
インドネシア人の穏やかさや、にこやかさを知った。
同じインドネシアでも
バタム島ではそんな印象がまったくなかったのは、
島によって文化や民族性が違うのかもしれない。
そして日が暮れた。
ジャカルタの治安が悪いのなら、
夜に歩くのは避けるべきだろう。
しかし、友人2人と共に夜道を歩いても危険はなかった。
ただし、まだまだ電灯が街中に足りていないらしく、
場所によっては首都と思えないほどに
真っ暗な深い闇が広がっている。
そういった場所をむやみにうろついていれば、
当然危険に巻き込まれることはあるだろう。
海外ならどこでも必要なレベルの注意は、
当然ジャカルタでも必要。
また、郊外にあるボゴール植物園に行った帰りには、
日が暮れていたのもあったが、途中の乗換駅はほぼ真っ暗。
あまりにも辺りが暗いので
密航でもしているのかと錯覚するぐらいで、
さすがに治安に不安を感じた。
ボゴール植物園はジャカルタ郊外にあるのだが、
長距離鉄道で移動することができる。
ただし、行きは1時間以上電車を待つことになり、
なかなか骨の折れる旅路となった。
それでも、ジャカルタでそれ以上の治安の悪さは感じなかった。
試しに電車も使ってみたが、
こちらは駅が暗くて少し心細い思いもした。
ただ、タクシーを使って移動すればこうしたこともない。
東南アジアの中でも深刻な渋滞に巻き込まれ、
時間がかかったり、車に酔うリスクは否定できないが。
結局、友人達は先に帰ったので、
残りの期間は1人でジャカルタにて過ごしたのだが、
特に不安な思いをすることもなかった。
インドネシアに限らず、
新興国の治安は急激に改善していく時期がある。
景気が良くなることで雇用が生まれ、
そもそも危険な橋を渡らなくても収入を得られるようになったり、
国が警官を増員して犯罪防止に力を入れたり。
ジャカルタの治安が予想外に良かったのも、
この数年で大きく改善されていたのかもしれない。
隣国のマレーシアでも、
インドネシアといえば危険な場所として認知されていたぐらいなので
安全になってきたのは最近のことではないかと思う。
不思議なもので、
隣国同士でも過去のイメージは簡単には消えない。
シンガポール人は隣町のジョホールバル(マレーシア)を
いまだに危険な場所だと思っている。
そのジョホールバルの住民は
ジャカルタを危険地域と認識している。
近くにあるからといって、情報は決して早くはない。
特に過去に治安が悪かったという負のイメージは
早々には消えないらしい。
だからこそ、現地に行ってみると、
予想外の変貌ぶりに驚かされたりもする。
そうは言っても、
世界には噂通りに危険な場所もあるので油断はできないが・・・。
とりあえずジャカルタの治安はそこまで悪くなく、
常識的な範囲で注意すれば快適に過ごせるレベル。
行く前よりもずっと印象が良くなった。
ジャカルタで多い犯罪の手口
スリや置き引きといった
どの国でも見られる犯罪はもちろん、
あまり日本では見られない犯罪もジャカルタでは報告されている。
たとえば、昏睡強盗。
これは飲み物の中に睡眠薬を混ぜられ、
眠っているところで金品を盗まれるもの。
他人から勧められた飲み物は
リスクがあることを忘れてはいけない。
他にもケチャップやアイスクリームを付けられ、
それを拭いてくれると言いながら
スリを行う手口も。
この場合、複数犯の犯行の場合もある。
注意をそらすという意味では、
コインを大量に落として
親切に拾っていると荷物が盗まれている、という手口も。
唐突に後ろから首を絞めて
意識が落ちたところで所持品を盗んでいく
危険な手口も報告されている。
強盗関連として、
荷物をひったくった後、
追いかけてきた相手に催涙スプレーをかけて
逃げるスプレー強盗もある。
犯罪の手口は様々だが、
ジャカルタ特有なわけではなく、
世界的に手口がコモディティ化している印象。
ある意味、犯罪の手口もボーダレスに
各国に波及している。
2度目のジャカルタで気づいたリスク
初めて行った時には気づかなかったことも、何度か訪れるとふと意識したりする。
ジャカルタを2度目に訪れた時、
30日と長めの滞在をしたので複数のエリアを周った。
その中の1つにブロックMという日本人街もある。
ブロックMでは和食も色々と食べられる。
このブロックMとJl.Panglima Polim Rayaという
大通りを挟んだところに
ショッピングモールがある。
プラザブロックMという名前のショッピングモールで、
ここはB級感が漂っていた。
館内で普通に喫煙が許されているという驚きを除けば、
取り立てて見るところはない。
が、このJl.Panglima Polim Rayaの上にかけられた
歩道橋が日本はもちろん、
多くの国では考えがたい状態だった。
歩道橋に出店が並んでいるのだが、
それ自体は珍しい光景ではない。
東南アジアではありがち。
問題は内容で、ミリタリーグッズが売られている。
しかもカバーも何もない状態で、
10数本のナイフが無造作に置かれている。
通行人が誰でも簡単に手にできる状態で。
さすがに公共の場で、
危険物をこれだけむき出しにして置いておくというのは
色々な国を訪れた中でも特殊だった。
これを見てジャカルタの治安が悪いと
短絡的に結論を下すことはできない。
しかし、安全対策や人の命に対する意識の低さは見て取れる。
実際、交通事故にあったりすると、
人命の安さを感じることになるらしいが・・・。
東南アジアの中でも貧しい部類の国だし、
まだまだインフラが整っていないことも感じた。
水道もネットも環境が弱い。
2度目にジャカルタを訪れた時は
初めての時より冷静な目で観察していたが、
今後の移住候補からはあっさり外れた。
率直に言えば、イメージダウンがかなり激しかった。
ブロックMに泊まっていた時には、
ホテルの朝食と和食レストランでしか食事をしていなかったのに
ひどい腹痛と発熱に見舞われた。
思い返してもどの食べ物かは分からないが、
どれかに当たったらしい。
飲食店で最も嫌われるあの虫を見かけた店もあったので、
衛生環境が良くないとは思っていた。
しかし、マレーシアとフィリピンで暮らして
東南アジアの衛生事情に免疫ができた後で
当たるとはなかなか・・・。
テロが継続的に起こっているインドネシア
インドネシアの治安のリスクと言えば、どうしてもテロを無視することはできない。
ヨーロッパ情勢が悪くなって相対的に目立たなくなっているが、
元々ジャカルタやバリと言えば毎年のように
テロの報道が行われていた。
これはインドネシア人ばかりではなく、
旅行者や現地在住の外国人にとっても脅威。
標的は外国人御用達の店の場合も多く、
ジャカルタへ行くなら決して他人事ではない。
過去の事例を振り返っても、
中心部、サリナデパート近くにある
タムリン通りのスターバックスで
自爆テロが行われた上、
外に出た客を共犯者が銃撃した事件がある。
この時は同時に別の爆破事件も起きており、
大統領のジョコ・ウィドド大統領も正式にテロと断定した。
他にもクニンガンのマリオットホテルとリッツ・カールトンで
爆破テロが行われ、9名の死亡者と52名の負傷者が出ている。
他にもテロが規模の大小を問わず起きている国なので、
この点ではインドネシアを危険と捉えざるをえない。
交通事故のリスクも
その他の治安関連で言うと、
道が歩きやすく作られていないため、
交通事故に巻き込まれるリスクも高い。
道路に信号も歩道橋もないのは普通だし、
バイクも多くて交通が途切れることがない中、
無理やり横切らなくてはならないことも日常茶飯事。
現地の人は当たり前のように車を止めて渡って行くが、
1ヶ月たってもなじめなかった。
というより、なじみたいとも思わなかった。
ジャカルタの治安については、
事件だけではなく事故もリスクとして考慮すべき。
それにはこうした事情が存在する。
なお、いざという時の連絡先は覚えやすく、
日本と同じで警察は110、救急車は119。
また、ジャカルタにある
日本大使館の住所と電話番号は以下の通り。
住所:Jalan MH Thamrin No.24、Jakarta Pusat、DKI Jakarta 10350
電話:+62 21 3192 4308
ジャカルタのコンドミニアム事情
今後住む場所としての適性を把握するため、
外国人向けのコンドミニアムの視察をしてきた。
いわゆる中心部にある物件をいくつか紹介してもらったが、
当然のこととして24時間体制で警備員が常駐。
コンドミニアム内の治安は問題なさそう。
気をつけるべきは、外出時だろう。
もっとも、マレーシア・クアラルンプールのモントキアラのように
警備員が住人の留守を狙って空き巣に入るとか、
そういった事例が存在する可能性については要注意。
インドネシアにおいても、
同様の事例が存在しないとは限らない。
ちなみに、不思議な縁で
これまでジャカルタやバリに頻繁に行っている人、
移住して住んでいた経験がある人、
これから住もうとしている人に他の国で会うことが何度かあった。
現地人の彼女がいるため、
まとまった休暇が取れるたびにインドネシアを
訪れているという猛者も。
彼らの話に共通しているのは、
ジャカルタへの不満は治安ではなく、
交通インフラの弱さによるひどい渋滞という点。
危険だから嫌だという声は聞いたことがない。
ここらへんは、一般的なイメージとは異なる点かもしれない。
インドネシアの他の島でも問題が
ジャカルタと同じくインドネシアであるバタム島。
一応リゾート地という扱いになっている。
私はマレーシアに住んでいた時、
居住地だったジョホールバルのZONホテルにある港から
フェリーで移動し、現地で友人たちと合流した。
一般的にはシンガポールから船で移動することが多い島で、
同じくインドネシアのビンタン島と人気を二分する。
このバタム島を訪れた時にトラブルに巻き込まれた。
友人達と島内を移動したが、
ホテルに戻ったところで当初聞いていた額を払おうとしたら、
それでは全然足りないという。
一箇所当たりの金額を決めていたが、急に強気に出始めた。
期待していた店からのキックバックが入ってこなかったため、
運転手としては不満だったらしい。
結局、ホテルのレセプションまで入ってきて、
ボブサップを小さく縮めたような男を携帯で呼び出し、
散々怒鳴り散らしてきた。
ホテル側も慣れているらしく、
受付の人は怯えるでも驚くでもなく、
うんざりといった表情だった。
面倒なので提示額の半額程度を払って妥協することにしたが、
バタム島は(というかインドネシアの大抵のところは)
タクシーぐらいしか移動手段がないため、
運転手がトラブルを起こすのはかなり致命的な問題。
この点、ジャカルタのタクシーでトラブルは経験していないが、
慢性的に渋滞がひどい上、
残念なことに改善の兆しはない。
むしろ年々悪化しているのは不便なところ。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼントすることにした。
電子書籍の目次等も掲載しているので、
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