ジャカルタを訪れて感じたのは、
インドネシアの物価が思ったほど安くはないということ。
マレーシアに出稼ぎに来るぐらいの国なので、
所得は決して多くない。
新卒の初任給であれば15,000円程度の月収のため、
物の価格が高ければ生きていけないはず。
これにはカラクリがあった。
階層分けされた社会
インドネシアの物価について無視できないのは、
クラス分けがはっきりとされている点。
つまり、外国人や現地の富裕層向けの店と、
中流階級以下の人が利用する店がまったく別。
日本のように月収10万円代や20万円ぐらいのサラリーマンでも、
時には奮発して高級レストランに入るといった習慣はない。
インドネシアでは階級によって入れる店は事実上決まっていて、
日本人が利用するような店舗では
そこそこの物価になっている。
とは言え、日本に比べれば安い。
たとえば、
ヤシの実のジュースが100円ぐらいとか、
(ちゃんとヤシの実をくり抜いてある)
中級ホテルが5000円弱で泊まれたり。
電車も数十円で乗ることができる。
こういった部分はとても安い。
あとは服もバンコクよりは高いものの、
マレーシアよりは安めだった。
日本で5000円の服を買うとしたら、
バンコクが1500円、
ジャカルタは2000円から2500円、
マニラも同様の価格帯で、
マレーシアは3500円といったイメージ。
それにしても、
通貨のルピアの桁が大きすぎて分かりづらい。
100ルピアが0.85円程度なので、
街中でざっくり計算するなら0を2つ取った価格が
日本円に換算した為替相場となる。
たとえば、1000円のものをジャカルタで買うなら、
約100,000ルピアとなる。
0が多すぎて把握しづらく、
それを文字としての視覚情報ではなく
耳で聞き取ろうと思うとなかなか難易度が高い。
ベトナムのドンやラオスのキープと同様の困難が
ルピアにもつきまとう。
それはそうと、インドネシアの物価と言っても、
日本人が行くのは外国人向けのエリアが中心。
たいていはジャカルタやバリの観光地となる。
こういった場所は外国人向けのレストランもあるので、
景観的にも衛生的にも、そして味の面でも満足できる反面、
日本と比較しても大差のない価格となる。
当然人件費はインドネシアの方が圧倒的に安く、
バイトなら時給1万ルピア、100円弱で雇うことができる。
一部の一等地を除けば、テナント代も安い。
そのため、外国人向けレストランは
日本の飲食店よりも利益率が高い。
短期間で初期費用を回収できるのも当然の話。
外国人向けレストランで食事をすれば1000円を超えても
特に珍しいことではない。
レストランやバーで飲む場合、
地元のビンタンビールだと60,000ルピア、
輸入物のビールは70,000〜110,000ルピア、
グラスワインが60,000ルピアから、
カクテルは80,000〜120,000ルピアが相場。
ただし、インドネシアの物価の中でも
現地の人の感覚としては外国人向けレストランの価格は異常で、
ジャカルタの街中にある屋台なら
100円程度で食事ができる。
人口の構成比で考える限り、
後者が圧倒的多数ということになる。
あくまで日本人がインドネシアに旅行に行って感じる物価は、
この国の中でも特殊な値段ということ。
特にツアーに参加している場合には、
基本的に旅行会社がもろもろの手配をするので
自分で物価を感じることは少ない。
個人で色々自由に動き回っていると、
スーパーに行ったりして現地の物価を確認できるのが面白い。
ジャカルタのスーパーに潜入
スーパーもいくつか階層があって、
富裕層や外国人向けのスーパーはそれなりの価格になる。
インドネシアでは月収10万でもあこがれの対象。
平均月収が5万円未満と言われる国のため、
日本とは基準が違う。
そのため、現地の人達が住むエリアには
それに向けた価格帯の店がある。
住む場所によって店も違ってくるので、
おのずと物価も違って感じられる。
まずはカルフールに行って物価を確認してみた。
(0を2つ取るとざっくりした日本円の金額になる)
まず、500mlのミネラルウォーターが4000ルピア、
同サイズのコーラが7900ルピア、
ギネスビールが16000ルピア、
ポテトチップスが4400ルピア、
キャベツが一玉で10000ルピア、
すいかが一個19000ルピア。
イスラム教の国なので
ビールの価格が高いのかと思いきや、
意外に安かったのは少々驚き。
カルフールの他にも、
スーパーマーケットとしてgiantやHeroも
ジャカルタではよく見かける。
これらのスーパーでお土産を買うのもありだし、
店によってはルアック・コーヒーやビンタンビール等の
インドネシアらしい商品も売っている。
日系スーパーの場合
続いて、ジャカルタの日本人街、ブロックMにあるパパイヤ(papaya)へ。
こちらはインドネシアの中でも高級な部類に入る。
外国の食材は当然輸送費もかかるし、
インドネシアの場合はハラールのチェックも厳しく、
納豆がタレなしで輸入されている場合も。
どうやら納豆本体は検査に通ったものの、
タレの許可が遅れていたらしい。
では、パパイヤでの物価調査の一部を。
サッポロのPREMIUM BEERが90,000ルピア。
栗まんじゅうが16000ルピア、
くず餅が12000ルピア、
大福が13500ルピア。
ごましゃぶのタレが65500ルピア。
カップのきつねうどんが36700ルピア、
鍋焼きのカレーうどんが43100ルピア。
サッポロビールが意外に安いほかは、
さすがにジャカルタで日本の食材を買うと
それなりの金額がすることを実感。
街中での物の価格は?
マクドナルドは新興国でも大して安くはならず、
日本と比較してもあまり変わらない。
ジャカルタのチーズバーガーセットは300円ほどだった。
これはマレーシアやフィリピン、タイで見た時も同様。
その国の経済力や物価、平均収入に合わせて
どんどん値下げするということはしない。
そのため、国によってマクドナルドのイメージも違っていて、
マレーシアではローカルレストランよりも
高めの店として扱われていた。
高級とはいかないまでも、
半額以下で食べられる店が大量にあるので、
そこそこ高めというイメージ。
インドネシアでも同様のポジションになるのだろう。
スターバックスはそれ以上に強気で、
それぞれの商品が日本より100円程度安いだけ。
日本人の感覚でもスターバックスのコーヒーは
他のカフェと比べて高い。
ブランドイメージがなかったら利用者がいなくなるほどに。
ましてインドネシアの物価を考えれば、
コーヒー一杯の料金で丸1日の食費を越えてしまう。
ローカルレストランで3食食べるより
多くの額をコーヒーに費やせる層は当然限られている。
ではジャカルタではスターバックスがガラガラかというと、
決してそんなことはない。
東南アジア各国で似たような価格帯でありながら、
どの国でも混み合っているという現実がある。
それは貧富の差を表している側面もあるし、
経済成長を遂げている新興国では
将来の不安を感じずに貯蓄よりも消費を優先できるという一面もある。
交通費に目を向けると、
タクシー会社によって異なるが、
タクシーの初乗りが安いところだと5700ルピアから。
なお、インドネシアはタクシーの評判が悪く、
ブルーバードタクシーやシルバーバードタクシーが
中では安全性が高いとされている。
市内の鉄道は1,140ルピアから。
ジャカルタでは日本で引退した車両が使われているため、
それを目当てに訪れる人もいるらしい。
住宅事情としては、
駐在員等の外国人向けには
家賃10万円以上で1ベッドルーム、
プールやテニスコート付きのコンドミニアムも多数。
一方、格安の住宅としてはコスがあり、
シェアハウスのようになっている。
外国人でも現地採用の場合、
駐在員よりも通常は給料が少ないため、
コスに住む場合がある。
このように、インドネシアの物価はいくつかの顔を持っている。
そうした要素を見つけていくのも面白い。
東南アジアの中では割高感
インドネシアと言えば、
ジャカルタとバリが外国人にとってなじみのある
二大勢力と言えるだろう。
しかし、ジャカルタは治安が悪く、インフラも弱い。
地域によっては水道水から海水のような臭いがしたり、
かろうじて電車は走っているものの
日本で引退した古びた車両が走っており、
駅は夜には真っ暗なところもある。
交通渋滞もひどく、
スカルノハッタ国際空港と市内は
30分で到着したり、3時間以上かかったり。
バリも年々渋滞がひどくなっており、
宗教的に十字路が不吉なものとして扱われる関係もあり、
T字路に頼った都市づくりには限界がきている。
インドネシアは経済力も弱く、
タイやマレーシアに比べると大きく出遅れている。
2億人を越える消費市場は注目されるものの、
国としての成熟度を考えると
物価は東南アジアの中でも安そうなもの。
しかし、外国人旅行者や移住者の目線で見ると、
バンコクやクアラルンプールとジャカルタが変わらない。
むしろバンコクの方が、
ジャカルタよりも若干ホテル代が安いほど。
金額は同じでも、クオリティーはだいぶ違う。
ジャカルタはいまだにホテルのロビーが
喫煙可能な場所さえある。
周辺諸国と比べても、やはり遅れている感じは否めない。
結果として、物価水準が同程度だと
コストパフォーマンスの悪さが目立ってしまっている。
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